下町くらし不動産

つながりから生まれ変わり続ける長屋喫茶

2019年3月20日


長田区南部、海に面した駒ヶ林という漁港町には、古い木造長屋や入り組んだ細い路地、そして路地に露出した物干し竿など、どこか懐かしい古き良き下町の風景が色濃く残っています。そんなこの町に2011年にオープンした「喫茶初駒」。築130年以上の歴史を持つ古民家を、建築事務所「スタヂオ・カタリスト」が地域の人が気軽に集える喫茶として、オフィスに併設して改装しました。オープンから3年間は町内会会長の奥さんが店長として喫茶店を営んでおりましたが、現在は日替わりで様々な人がオーナーとして運営しています。毎週水曜日は和田岬の笠松商店街にある「MAISON MURATA」のスタッフさんによるお手製サンドウィッチが味わえる喫茶、金曜日はコーヒー好きの2人による飲み比べのできるコーヒー喫茶、そして3月よりカレー喫茶が毎週月曜日にはじまりました。

 

 

 

集いの長屋オフィス | みんなでつくろう

本記事はこうべ空き家活用支援事業サイト「みんなでつくろう」より抜粋し掲載しております。

 

 

 

Q 誰とどんな改装をしたの?

設計前の段階からいろんな人に関わってもらいたいと思い、まずは実測調査から大学の先生や学生、まちづくりプランナーや行政職員などの多く参加で行ないました。その後昔ながらの大工さん1人に棟梁としてついてもらい、改修が始まりました。

解体、漆喰塗り、古色塗装、土間の三和土(たたき)、庭の竹垣づくりなどいろんな人が関わると面白そうな工程は積極的に呼びかけてみんなでワイワイやりました。外人さんや近所の子どもにも参加してもらいました。

お金もそんなにかけられなかったので、事務所の床は杉の足場板を使い、庭の竹垣はむらづくりで交流のある集落の竹をタダで伐らせてもらい、(あちらさんにとっては伐採してもらったほうが助かるみたいです。)店内の欅の無垢カウンターは同じくむらづくりの仕事で交流のある養父市の臼職人さんに譲ってもらいました。

 

物件種別 古民家物件概要:延床面積85㎡ ( 喫茶店16㎡ / オフィス54㎡ / 屋根裏部屋15㎡ ) 平屋建て ( 屋根裏部屋あり )、木造
かかった日数 2ヶ月半
お金のこと 改装費300万円

 

 

Q なぜこの場所・この建物だったの?

「喫茶初駒」は、最初はオフィスとして改装しました。当時からスタヂオ・カタリストは駒ヶ林地区のまちづくり支援を行っていました。そのなかで建物の元の所有者から「空き家で困っている」と相談を受け、所長が買い手などを色々あたりましたが見つからず、実際に支援しているまちの現場で色々考えられることは願ってもないということで、結局会社で買い受けることになりました。

拠点をここに移すと地域内には多くの高齢の一人暮らしの存在がわかりました。所長の考えで、気軽に寄れておしゃべりができる喫茶店を!ということでオープンしたのがはじまりです。
実は、駒ヶ林は木造密集市街地や地図混乱地域という課題を抱えており、道が狭く車が中まで入れなかったり、土地の境界がきちんと定まっていないといった事情が多く、ほとんどの空き家は市場にのりません。しかし、裏を返してみると、お互いの事情が信頼関係の上でうまくマッチングできさえすれば、現在まで残り続けた他にはない昔懐かしい古きよき環境が得られるのだということも分かりました。
 

Q 楽しかったところは? しんどかったところは?

改装のプロセスもいろんな人が関わり楽しかったですが、その後の使われ方もとても楽しいです。駆け出しの若手農家が無農薬有機野菜を売りに来たり、農村部の特産品開発のための試食会が行われたり、近所の発明家を名乗るおっちゃんが新しいアイデア商品を見せびらかしに来たり。また、私は新長田の人情あふれる町中を舞台にしたアートプロジェクト「下町芸術祭」の実行委員もしているのですが現代アートの展示の舞台としても活用しました。先に触れたように課題の多い地域ではありますが、人々のくらしの営みがにじみ出ていて、人情や懐かしい路地の雰囲気など、他にはない魅力にあふれています。日常の暮らしとアートプロジェクトなどの非日常がここで結節され、たくさんの人に町の魅力や素晴らしい建物の存在に気づいてもらい移住や空き家活用のきっかけに繋げていければと思っています。

 

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