靴のまち、神戸。
その始まりは、神戸港開港後、居留地に住む外国人の靴を修理・新調するために草履や鼻緒職人が転業してきたことがきっかけでした。戦後には、長田区でゴム産業を起点としたケミカルシューズが誕生し、現在も「神戸産シューズ」として全国で愛用されています。(神戸産シューズについて詳しい情報はこちらから:https://www.kobesan-shoes.jp/)
この記事では、長年にわたり受け継がれてきた靴づくりの技術と、職人のこだわりがつまった神戸・下町のシューズブランドをご紹介。前編の4社は、2024年1月12日、13日に開催されるオープンファクトリーで工場を見学できるチャンスも。普段は見ることのできない現場が一般開放される機会、ぜひ足を運んでみてください!
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女性の足元を美しく支える靴づくり「カワノ株式会社」
カワノ株式会社
1921年に創業した婦人靴メーカー「カワノ」。長田区に本社・工場を置き、女性の美と健康のため、ファッション性と機能性を備えた靴づくりを行なってきました。自社を代表するブランド「BARCLAY」など、メイド・イン・ジャパンの靴を企画から製造、販売まで一貫して手がけているブランドです。イチオシの靴は、BARCLAYの「ボリュームグルカサンダル」。
BARCLAY ボリュームグルカサンダル
革のバンドを編み込んだデザインで、ソールの丸いフォルムが目を惹きます。革靴の重厚さとサンダルのかろやかさを合わせ持っており、見た目よりも軽いので普段使いもできる一足。また、「エコレザー」と呼ばれる人工皮革を素材として使用していて、環境にも配慮している点がポイント(エコレザーとは、裁断時に出た革の余りを捨てずに圧縮し、上からコーティングしている素材のこと)。100年以上の長きに渡りユーザーの支持を得てきたその魅力は、こうした時代に合わせた靴作りからも伝わってきます。
店舗情報
カワノ株式会社 神戸市長田区大道通5–101-6 公式ホームページ:http://www.kawanog.jp/ BARCLAY 公式Instagram:https://www.instagram.com/barclay_1921/ 販売サイト:https://www.barclay-store.jp/ |
未来へつなぐ靴作り 「株式会社中谷加工所」
株式会社中谷加工所
1989年に創業し、主にスポーツシューズ底のOEMを行うメーカー「中谷加工所」。兵庫区に本社・工場を構え、社内で一貫生産体制を取ることで小ロット・多品種のオーダーにも応えてきたブランドです。コンセプトは、日常のなかで「はずむ心」と「彩りある毎日」を提供すること。どんな服にも合わせやすいシンプルなデザインと豊富なカラー展開を用意しています。イチオシは、COLiNKiiKA(コリンキッカ)シリーズ Berylの「ラベンダー」。幅広のラインで、ベロア(起毛革)と生地を使った異素材コンビスニーカーです。
COLiNKiiKA Beryl ラベンダー
中底もアッパーに使う国産レザーもほどよいやわらかさで、長時間履いても足に負担を感じさせない履き心地。1つ1つのパーツを手作業で丁寧に組み合わせており、寿命が短いイメージのあるスニーカーでも「コリンキッカは長持ちする!」とよく喜ばれるそう。百貨店の催事では靴底の厚みや色、アッパーの素材や色などを変更して自分だけの一足をオーダーできるそうなので、見かけたらぜひ!
店舗情報
株式会社中谷加工所 神戸市兵庫区和田山通1–2-25 A棟507号 公式ホームページ:http://www.nakatani-kakousyo.co.jp/ COLiNKiiKA公式Instagram:https://www.instagram.com/colinkiika_/ 販売サイト:https://nk-online.shop-pro.jp/ |
何歳になっても履きやすいやさしい靴づくり 「株式会社ベル」
何歳になっても履きやすいやさしい靴づくり 「株式会社ベル」
1969年の創業以来、長田区で「足にやさしい」をコンセプトに靴づくりを続けてきた「ベル」。海外製造の安価な靴が増える時代に通販サイトや直営店での販売体制を整え、独自開発のインソールや国産の人工皮革を取り入れるなど、時代の変化に対応してきたブランドです。イチオシはSofaシリーズの「COCOT」(ココット)というナチュラルスニーカー。坂が多い神戸でも歩きやすく、毎日履きたくなる靴を目指して開発したそう。
Sofaシリーズ COCOT
本革の繊維構造を人工的に再現したヴィーガンレザーを使用しており、本革に比べて軽いのが特徴。抗菌性があり、雨の日も気にせず履ける便利な一足です。このヴィーガンレザー、原材料としては高めで靴業界で使っている会社は少ないと言いますが、ブランドのこだわりである「履く人へのやさしさ」の1つ。釘を使わない靴のやわらかさ、軽さを、ぜひ体感してみてください。
店舗情報
株式会社ベル 神戸市長田区大橋町1-2-11 公式インスタグラム:https://www.instagram.com/belleandsofa 販売サイト:https://www.belle-co.jp/ |
カジュアルにつくれる、オーダーメイドの革靴づくり 「ミサキシューズ」
ミサキシューズ
靴職人の内尾暢志(のぶゆき)さんが2015年に立ち上げたセミオーダーブランド「ミサキシューズ」。神戸ものづくり職人大学で靴づくりを学びながら、国内外の職人を訪ねて一つひとつの工程に対しての知識を深め、独立に至りました。イチオシの靴は、セミオーダーラインの「ミサキシューズ」。
ミサキシューズ
こちらはくるぶし丈のチャッカブーツで、羽根(靴ひもを通す穴部分の革)が甲部分にかぶさる「外羽根式」のデザイン。これ以外にも内羽根式やローファーなどのモデルがあって、靴ひもの下にサイズ調整用のフォルスタンを入れる、ステッチをダブルに変更するといったカスタマイズも受け付けています。基本的にはモデルと革を選ぶだけで注文できるので、オーダーの革靴が初めての方にとっては価格も含めてハードルが低い一足。「靴をつくりに行こうと思ってもらえる街になればいい」と語る内尾さんの工房は、和田岬にあります。現在はスニーカーの商品開発を進めているそうなので、そちらもお楽しみに。
店舗情報
ミサキシューズ 神戸市中央区元町通1-12-9-1-2F 公式ホームページ:http://www.misakishoes.com/ 販売サイト:https://misakishoes-online.stores.jp/ |
掲載日 : 2024.01.07