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シタマチコウベ

ぶらり、下町

読書や自分時間に!神戸・下町のレトロ喫茶店6選

読書や時間を忘れてホッと一息!レトロな雰囲気のある神戸・下町の喫茶店【喫煙可有り】

2023.10.21

下町に点在するレトロな雰囲気が残る喫茶店たち。忙しい日々の中でも、お店に入ればコーヒーの香りに包まれ、ホッと一息つけるゆったりとした時間が味わえます。今では珍しい喫煙が可能なお店が多いのもレトロ喫茶のいいところ。お店に集う地元の常連さんの話に耳を傾けたり、読書をして自分時間に浸ったり、過ごし方は様々です。今回は神戸の下町にあるおすすめの喫茶店を紹介します。紹介してくれるのは、2021年に神戸に移住してきたダンサーで振付家の小松菜々子さん。本にまつわるイベントを企画するほどの無類の読書好きの菜々子さんに喫茶店のお供にぴったりな本も教えていただきました。

朝5時から営業でレトロな内装が美しい純喫茶「コトブキ」

コトブキ 外観
コトブキ(喫煙可)

地下鉄「駒ヶ林」駅から徒歩4分、東西に伸びる六間道商店街を東に進むと見えてくる青いタイルが美しい喫茶店「コトブキ」。スモークガラスの自動ドアの先ではオレンジ色の暖かい照明と夕暮れ時の街を描いた壁のモザイク画がノスタルジックな雰囲気を作っています。平日はなんと朝5時からオープン。軽食としてカレーライスやナポリタンも提供しているので、モーニングだけでなくランチ利用でもおすすめです。

おすすめポイント

お皿にコトブキの文字が入っているのがチャーミングなモーニングセット。熱々のゆで卵つき。外観がレトロで青いタイルと看板のレタリングが絶妙なセンス。朝の5時から開店しているので、長田港で朝の海を見てからこちらにコーヒーを飲みにくるのがオススメの早朝お散歩ルート。こちらでは小倉ヒラク作『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』(角川文庫)を紹介したい。単なる食品と侮るなかれ、発酵とはその地域特有の自然環境に根ざしたローカルな微生物とローカルな人間の関わりの中で生まれた食文化である。発酵と腐敗の表裏一体。生物の多様性とその生物間で行われるコミュニケーションによってもたらされる豊かさ。下町の生き方と”発酵”はなんだか良く似ている。
喫茶店 コトブキ

『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』 小倉 ヒラク 著

『発酵文化人類学 微生物から見た社会のカタチ』 小倉 ヒラク 著

店舗情報
コトブキ
神戸市長田区庄田町2丁目5-22
営業時間:5:00〜15:30(月〜土)、13:00〜16:00(日)
定休日:不定休
喫煙可否:喫煙可能

 

こだわりコーヒーとアンティーク家具に惹かれる「珈琲専門店 メリット」

珈琲専門店 メリット(喫煙可)

地下鉄「駒ヶ林」駅から徒歩2分、住宅と隣り合わせの二軒長屋に佇む「珈琲専門店 メリット」。7席ほどのこぢんまりとした店内で、奥の棚には綺麗に整えられたコーヒーカップが並び、ステンドグラスの照明や小さな花瓶が静かで落ち着いた空間を演出しています。軽食の提供はなく、数種類のコーヒーを含むドリンクのみ。こだわりのコーヒーを一つずつハンドドリップで丁寧に淹れてくれます。

おすすめポイント

本格コーヒーを味わいたいなら、迷わずメリットへ。震災の倒壊からギリギリ免れた駒ヶ林の一角にあるこちらのお店。向かいは新興住宅、隣は老舗の銭湯屋さんと新旧混じる不思議な景色が楽しめるのもポイントの一つ。穏やかなお母さんが一人で切り盛りしていて、コーヒーの種類を選ぶと豆から挽いてくれる。カウンターの奥には様々な素敵なコーヒーカップが並べてあり、飾られている絵もどこか外国を感じさせる。自分が今どこにいるのかふと分からなくなってしまう様な静かで気品に溢れた空間が広がっている。こちらで開いてみたのが、さとうち藍作『園芸図鑑』(複音館書店)。園芸図鑑なのに、庭が描かれた物語の紹介を一番最初にしてくれるこちらも素敵な図鑑。流れるジャスを聴きながら、美味しいコーヒーととびきりの一冊の本をどうぞ。
喫茶店 メリット

『園芸図鑑 花や野菜いっぱいの庭づくり』さとうち 藍 著

『園芸図鑑 花や野菜いっぱいの庭づくり』さとうち 藍 著

店舗情報
珈琲専門店 メリット
神戸市長田区駒ケ林町2丁目20-9
営業時間:9:00〜17:30
定休日:日曜
喫煙可否:喫煙可能

 

ホッと温まる長田名物”かたくり”がいただける「喫茶カルモ」

喫茶カルモ
喫茶カルモ(喫煙可)

地下鉄「苅藻」駅から徒歩7分。昔懐かしい長屋が立ち並ぶ路地を眺めながら北上すると住宅と一体になった「喫茶カルモ」に辿り着きます。1986年創業の喫茶で、昭和レトロな雰囲気を残す明るく広い店内。メニューには載っていないモーニングセットや軽食があり、おいしいと評判です。ドリンクメニューが豊富で長田名物「かたくり」も。抹茶とオレンジ味があり、熱々トロトロの優しい風味が身体を芯から温めてくれます。

おすすめポイント

2号線から少し入った場所にある喫茶カルモ。お店に入ると元気なお母さんが声をかけてくれる。近くにすむ老夫婦や新聞を読みながらコーヒーをすする常連のおじさんなど、店内は互いに良い距離感を保ちながら賑わっている。窓からしっかりと路地の光が入るので店内は明るい。こちらのお店では伊藤亜紗/村瀬孝生作『ぼけと利他』(ミシマ社)を開く。伊藤亜紗さんのお母さんがペットのモルモットをゲージに入れるのがいやで、家の中で放していたら伊藤家とそのペットが互いに相手の生活仕様によって小さく変化を繰り返しながら一緒に暮らしていく。色んな他者と境界線をくっきりと分けずに混じり合って暮らすのが下町の醍醐味。お客さんが同じ空間でそれぞれ楽しく過ごすカルモの雰囲気は唯一無二。
喫茶カルモ

『ぼけと利他』伊藤 亜紗 ・村瀨 孝生 著

『ぼけと利他』伊藤 亜紗・村瀨 孝生 著

店舗情報
喫茶 カルモ
神戸市長田区苅藻通2丁目1-12
営業時間:9:00〜17:30
定休日:日曜
喫煙可否:喫煙可能

 

昔懐かしの喫茶スイーツが味わえる「FLIGHT SQUARE」

フライトスクエア
FLIGHT SQUARE(フライト・スクエア)(禁煙)

地下鉄「駒ヶ林」駅から徒歩3分、西神戸センター街にあるレンガ造の洋風喫茶「FLIGHT SQUARE(フライト・スクエア)」。自宅の倉庫を改装して1984年にオープンしたそうです。モーニングは7:00〜11:00までで、厚切りのトーストやピザトースト、サンドウィッチなど複数のパンから選べてボリューム満点。昔ながらの喫茶メニューであるホットケーキやアイスの入ったクリームソーダ、搾りたてのミックスジュースも堪能できます。寒い日には甘酒やぜんざいも◎

おすすめポイント

喫茶店の甘い系のメニューが食べたい時は、だいたいフライトスクエアーへ。クリームソーダも良いけど、パフェや自家製のバナナジュースもオススメ。いつも常連さんが新聞を読みながら店主たちと近所の世間話をしているので、ディープな長田事情を入手したかったらここで聞き耳を立てると楽しい。このお店に合わせて読みたいのがヨシタケシンスケ作『思わず考えちゃう』(新潮社)というエッセイ集。この中の『ぼくのストローのふくろ』という話が大好きで、ヨシタケさんと奥さんの真逆の性格の二人が一緒に暮らしている矛盾と可笑しさと豊かさが詰まったお話。是非、人間味のあるこちらの喫茶店とヨシタケシンスケワールドを合わせて味わってもらいたい。
フライトスクエア

『思わず考えちゃう』ヨシタケ シンスケ 著

『思わず考えちゃう』ヨシタケ シンスケ 著

店舗情報
FLIGHT SQUARE(フライト・スクエアー)
神戸市長田区久保町4丁目1-2
営業時間:7:00〜18:00
定休日:火曜
喫煙可否:禁煙

 

地元民に愛されて50年以上「COFFEE ROOM アトリエ」

アトリエ
COFFEE ROOM アトリエ(喫煙可)

地下鉄「苅藻」駅から徒歩3分、兵庫運河の西側にある「COFFEE ROOM アトリエ」は、創業から50年以上地元の人に愛されている喫茶店です。7:00から11:00までモーニングが利用でき、ランチで賑わう12:00〜13:00は禁煙の時間分煙制を採用しています。昭和レトロなアンティーク家具と店主さんの心遣いが心地よく、自分時間を愉しむのにピッタリ。喫茶店では珍しく缶ビールを提供しているのも嬉しいポイント。

おすすめポイント

入り口の黄色のインコのパインちゃん(オス)4歳がお出迎えしてくれる。お店に入るとお母さんがテキパキとお店を回していて、モーニングも日替わりランチもコーヒーゼリーもケーキもどれも美味しくてオススメ。店内に所狭しと並べられている置き物たちが一つ一つとても可愛らしい。BGMは懐かしい歌謡曲で心が落ち着く。こちらで読んでみたのがお店の本棚にあった養老孟司作『自分の壁』(新潮新書)。生死を彷徨った脳の研究者の人の話が面白くて、「絶対に自分のこの体験を研究してやる」という気合いで生きて帰れるのかも分からないのに、死にそうな自分を客観的に観察しているガッツに心が撃たれた。本棚の本もお店のメニューも何度でも開拓しに通いたい喫茶店。
アトリエ

『「自分」の壁』養老 孟司 著

『「自分」の壁』養老 孟司 著

店舗情報
COFFEE ROOM アトリエ
神戸市長田区東尻池町8丁目1-9
営業時間:7:00〜17:00
定休日:日曜
喫煙可否:喫煙可能

 

濃いめのコーヒーで朝活にぴったりな喫茶店「珈琲屋 ほわいと」

珈琲屋ほわいと
珈琲屋 ほわいと(ホワイト大橋)(喫煙可)

JR「新長田」駅から徒歩8分、地下鉄「駒ヶ林」駅から徒歩6分。国道2号線を一本南に下ると路地の角に「珈琲屋 ほわいと」の赤い看板が見えてきます。モーニングは6:30〜11:00まで利用でき、朝活にピッタリ。少し濃いめのコーヒーにトーストまたは卵がついてワンコイン以内でいただけます。モーニング以外でも終日小さなサンドウィッチのセットが頼めるため、小腹が空いた時にも利用しやすい喫茶店です。

おすすめポイント

キッチンからいつもひょっこり顔を出して「いつもありがとう」と声をかけてくれる優しいお母さん。入口の光が入る席がわたしのお気に入りで、店の奥からは常連さんがテレビを見ながらコーヒーをすすっている。テキパキと手際よく注文を準備する音をBGMに本を読むのは喫茶店で読書をする醍醐味だ。こちらのお店ではいしいしんじ作の『麦ふみクーツェ』(新潮文庫)を読む。小説を読んでいるのに、アニメーションを見ている様な気持ちになる不思議な作家さん。本の中から打楽器が鳴る。色が飛び出る。ねずみの雨が降る。独特のひらがなの文体と少し濃いめのホワイトのコーヒーを一緒に。落ち着いて物思いに耽るのにピッタリな場所。
珈琲屋ほわいと

店舗情報
珈琲屋 ほわいと
兵庫県神戸市長田区腕塚町7丁目1-1
営業時間:6:30〜15:30
定休日:火曜
喫煙可否:喫煙可能

登場人物

小松菜々子|ダンサー・振付家

横浜育ち。2021年にArtTheater dB KOBE主催のダンス留学7期に参加し神戸へ移住。2022年度 ArtTheater dB KOBE アソシエイト・アーティスト。長田に住む人たちと一緒にウソとホントの入り混じった長田まち歩きダンス作品『あわいにダンス』を発表。2023年秋に『あわいにダンス まち歩きZINE』(仮)を発表予定。



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