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第3部
「シタマチと空き家」

下町「すまい」のあれこれ

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    筆者:山本誠、早川玲美(すまいるネット)
    編集:岩本順平(DOR)
    写真:ぺぺ

    駒ヶ林駅から徒歩3分のシタマチエリアに位置する神戸市すまいの総合窓口「すまいるネット」のスタッフによる、下町の「すまい」あれこれ。ラストとなる第3部は空き家・空き地活用担当の山本、早川からそれぞれお届けします。普段、すまいるネットに寄せられる相談に重ねて、個人的な経験や思うことを執筆しました。

     前半は山本が担当いたします。

    田舎も都会も下町も、空き家や相続のことはどこも変わらず一緒。そう感じたのは自分の祖母が亡くなり、四十九日法要が終わった日でした。
    私の地元は兵庫県の真ん中にある田んぼと空き家が多い過疎化した田舎。父は長男で、実家と祖父から聞いていた、知らない土地を相続するという状況になりました。『何からどうすればええのやろ…。』普段は頼もしい父もそんな言葉を発していて。一生に一度起こるかどうかの相続。私は『司法書士さんへまずは相談してみたら。わからんことは僕も調べとくから。一緒に考えていくわ。』と父に伝え神戸に帰りました。
    私は、すまいるネットで神戸市内の空き家や空き地を持っている方が、どうやったら空き家や空地を売却や賃貸など、活用できるか支援する仕事をしています。担当のエリアには“下町”と呼ばれる地域があり、毎日のように空き家で困っている方々が相談に来られます。
    そもそも何から始めればいいのか。この家を貸せたりできるのか、長屋は売却できるか?など様々な相談を受けて、物件調査をおこない、不動産専門の相談員の方と市民の方が相談できる環境を準備しています。
    相談される方の多くに共通しているのは、そもそも相続の状況が整理できていないということです。自分の父と同じように『何から始めればいいの?』そんな言葉を多く耳にします。
    さらに、下町エリアでは、建物や土地の所有範囲、権利状態が不明瞭な場合が多く見受けられます。昔は近隣の方々が助け合って生活を共にしてきたので、敷地や登記なんて気にもしなかったことだと思います。ただ、それも時がすすみ、世代交代や地元離れといった変化がおきています。近所の方々との接点が希薄になり、『隣のことはわからない。』『子供の頃はこうだった気がする。』『昔のことはよくわからない。』下町でもそんな言葉が多く聞こえてきます。現状がわからない。だから活用に向けて、二の足を踏んでしまうという状態の方が多いように感じます。
    そんな二の足を踏んでいる状況でも、すまいるネットでは専門家の相談員の方や様々なパートナーとともに、解決に向けて一緒に取り組んでいきます。ぜひ、安心してお越しください。

     後半はディープな下町にハマりつつある早川がお届けいたします。

    すまいるネットのお仕事ではリノベや空き地整備の補助金を通して、元空き家や空き地が生まれ変わる過程に関わっています。空き家を使いたい多くの方の思いを受け止める中で感じることをご紹介します。
    第1部でも紹介がありましたが、すまいるネットのある新長田周辺では、「元すまい、元空き家」からたくさんの素敵な場所が生まれていて、有難いことに個人的にも豊かな時間を過ごさせてもらっています。
    ディープな丸五市場にスタイリッシュにオープンした『丸五Spice Up』で美味しいスパイスカレーのランチ、『ジョブ・スペース・ラボ』では間借り出店するお店のご飯やおやつ、下町芸術祭のアートを見たり。『柳谷縫務店』さんに穴が開いてしまったお気に入りのワンピースを可愛い刺繍で蘇らせてもらったり。空き地でも『おさんぽ畑』の区画をすまいるネットスタッフで借りる予定で、ランチついでに水やりをして、野菜が収穫できたらみんなで食べて…と楽しみが膨らみます!
    こうして人と場が集まるのも結局はタイミング、口コミがきっかけになると思いますが、徒歩すぐの距離感でもこれだけの空き家改修事例があるエリアは、神戸でもそう多くありません。人と人が近くて皆顔見知りで、「あそこの場所空きそうやで!」「なんかやってみいへん?」「手伝うわ!」と声を掛け合って背中を押して助け合う、シタマチならではのパワフルさが現れていると感じます。
    空き家活用の補助金では「この場所を使って何をしたいか」を尋ねています。建物を買ったり借りたりリノベするなんて誰でも簡単に踏み出せないことです。活用しようとする皆さんが「自分を取り巻く世界が少しでも良くなってほしい」という想いを持って行動していることに、毎度頭が下がります。
    行政や職員がやりたくても手が届いていないことと、皆さんがやりたい!と思うことが重なったとき、補助金というツールが役立ちます。
    でも、補助金の申請ってエネルギーを使う。そういった意味でも、勇気を出して補助金と空き家を活用してくれる方がいて、まちやすまいに素敵な変化や循環が起きることはとても有難く思いますし、いち市民としても嬉しい限りです。
    すまいるネットでは長く住むために古い建物の無料耐震診断&耐震改修補助などもあるので、背中を押す存在としてうまく活用してほしいです。

    「空き家がなかなか売れない、傷んでいて貸すにはリフォームしないと…でも資金がない」とお悩みの所有者さんと、使いたい人をつなげるマッチング制度『地域利用バンク』もあります。一般の空き家バンクとは異なり、交流スポットや子ども食堂などの、収益目的でない活動の拠点探しに限られるけど、掘り出し物件に出会えるかも。空き地情報もあるので『下町スタートアップ』の物件とあわせてチェックしてみてください。

    登録物件数を増やすためには所有者さんの賛同あってこそ。お持ちの物件を使いたい人がたくさんいることを、もっと届けられるよう工夫していきたいです。

    「このエリアでこんなことしたい!」という存在で所有者さんの心も動くかもなので、ぜひご相談ください。


    すまいるネット[神戸市すまいの安心支援センター]

    山本 誠|すまいるネット

    ずっと不動産に関する業務全般に携わってきました。建物好きはもちろんなんですが、誰かが困ってるときの問題解決が一番好きです。休みの日でもお出かけの寄り道先が相談を受けてる空き家…なんてことが多い音楽好き男子です。現在、自身のバンドでイベント企画していて、何か空き家と音楽をかけ合わせれる企画ができたらなぁと画策中です!

    早川 玲美|すまいるネット

    インドやネパール料理にハマり、「新長田でスパイスカレーが食べたい…!」と念じていたのでマルシェやお店で食べられる機会が続々とやってきて喜んでいます。仕事をきっかけに関わった方の空き家DIY体験や生け花教室などに行けてプライベートも豊かになり役得?!です。

    掲載日 : 2025.10.14

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