
2025年6月29日、新長田の昭和レトロを象徴する場所「丸五市場」のフリースペースを会場に「START UP BAR vol.3」を開催。この日は、新長田での起業や活動に興味を持つ人々、約25名の方が集い、下町エリアで新たに事業を始めた方の生の声に耳を傾けました。今回はその様子をダイジェストでお届けします。
下町スタートアッププロジェクトが目指すもの
イベントの冒頭、下町スタートアッププロジェクトの運営を担当する岩本順平さんが登壇。プロジェクトの概要や新長田のポテンシャルについて説明しました 。岩本さんは、ウェブサイト「シタマチコウベ」の運営や、漁師さんと連携した「海と魚と」、町工場の魅力を伝える「オープンファクトリー」など、この地域に根差した活動を展開するプレイヤーの一人です 。岩本さんによると、新長田は空き家・空き店舗の増加という課題を抱える一方で、近年新しいプレイヤーが増加しているとのこと 。プロジェクトの目的は、こうした空き家や空き店舗などを活用したい起業家をサポートすることで、働く人や訪れる人を増やし、継続的な賑わいという好循環を生み出すことにあると語られました 。具体的にこのプロジェクトでは、「物件との出会い」「事業者やクリエイターとの繋がり」「上限80万円の支援金」という3つの柱で挑戦者を支援しているとのことです 。
街を丸ごと盛り上げる「丸五Spice Up」
ここからは、今回のゲストである「丸五Spice Up」の首藤さん、「COPAIN」の岡本さんにマイクをバトンタッチ。今回の会場となっている丸五市場で拠点を開設した株式会社Happyの首藤さんは、多世代が集うコミュニティ拠点「はっぴーの家」や移住支援にもつながっている「おせっかい不動産」を手掛けており、新長田のまちを牽引する存在。
その株式会社Happyが丸五市場で運営を開始したスパイス料理店「丸五Spice Up」 。この店のコンセプトは「spice up(=盛り上げる)」という言葉の通り、市場にすでにあるそばめし屋さん、キムチ屋さん、果物屋さんなどの料理や食材をスパイスでアレンジして提供することで、市場全体のお店を紹介し、盛り上げることを目指しています。現在このコラボレーションは、市場を飛び出し、町の中にどんどん広がっている様子。また、内装は車椅子でも調理や接客がしやすいユニバーサルデザインを採用し、障害のある方の就労の場にもなっています。
カフェ併設トリミングサロン「COPAIN」
この日のメインスピーカーとして、トリミングサロン「COPAIN」の岡本かおるさんが紹介されました 。岡本さんは、シングルマザーとして子育てと仕事の両立を目指し、新長田へ移住、起業した一人です 。
もともと垂水区塩屋で13年間サロンを運営していましたが、移転を決意 。お子さんの子育て環境を考えた際に、『比べられる価値観がない』新長田のコミュニティに惹かれたのがきっかけだったそうです 。しかし、トリミングサロンができる物件がなかなか見つからず、一時は心が折れかけたと言います 。その状況を打開したのが下町スタートアップでした。地域のつながりによって、空き家だった元喫茶店「シスター」の大家さんと出会うことができ、夢だった店舗物件を確保することができました 。
2024年6月にオープンした「COPAIN」は、飼い主が愛犬の様子を見守れるカフェスペースを備えた、新しい形のトリミングサロンです 。元喫茶店のシャンデリアやカウンターを活かした空間は、かつての常連客や元店員も訪れるなど、新たなコミュニティの場となっています 。
オープン当初は客足が伸びず不安な日々だったそうですが、地域の繋がりやサポートのおかげで事業は軌道に乗り、1周年を迎えることができました 。岡本さんは「1人でやっている感覚はなかった。物件探しから融資のことまで、たくさんの人に助けてもらい本当に感謝しています」と話しました 。
「COPAIN」の物語は、下町スタートアップが目指す「思いを引き継ぎ、人と事業を繋いでいく」というかたちそのもの。この場所から、また新たな繋がりが生まれていくことに、ぜひご注目ください。
Instagramはこちら:
丸五Spice Up @marugo_spice_up
COPAIN @copain111/@cafe_copain
下町スタートアッププロジェクトは、現在も参加者を募集中です。下町の空き家や空き店舗を活用し、事業や活動をやってみたいという方はぜひお問合せください。
掲載日 : 2025.07.07