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第1部
「シタマチでの暮らし」

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    筆者:川瀬葉月(すまいるネット)
    編集:岩本順平(DOR)
    写真:ぺぺ

    駒ヶ林駅から徒歩3分のシタマチエリアに位置する神戸市すまいの総合窓口「すまいるネット」のスタッフが3部にわたって下町の「すまい」あれこれをテーマに、コラムを執筆。

     第1部、筆を執らせていただきくのは、すまいるネットの川瀬(づっきー)です。9月に少しだけ職場の近くのシタマチ(新長田)で暮らした、その個人的な体験記と感想を。

     

    「シタマチでの暮らし」 

     私の暮らしたところは、本町筋商店街と丸五市場の近くで、シタマチど真ん中。車の入らない路地に面して、ぎゅっと住宅が建て詰まっているような三軒長屋の一角でした。家と家との距離が近く、路地を挟んでお向かいのテレビの音が聞こえてくる場所でした。静かに暮らしたい人など、この距離の近さは苦手な人もいるかもしれないけど、私にとっては心地良い場所でした。「今日の朝、挨拶してくれた、猫に餌をやっていたあのお母さんがテレビを見ているんやなあ。」とわかっているので、安心感というか、ほっこりする感覚さえあったのでした。

    仕事前に、朝ベッドでゴロゴロしていると、横に住んでいる子どもを近所の子が迎えにきた声やお父さんが一緒に学校まで送りに行ってるんだろうなあ、という会話が聞こえてくる。見てなくても路地の生活が声や物音で感じられるのがとても癒しのBGMでした。

     少子化と言われているこのご時世でも、私の暮らした界隈には、子どもの姿がたくさんでした。移住も含め、子どものいる家族が集まってきていて、子どもが勝手に人の家を出入りして遊んでいたり、なんならよくお風呂も入らせてもらったりするらしい。そして、友達親子で一緒にお店で夜ご飯など、ごちゃまぜで同じ時間を過ごしていて、お店の人もお客さんも子どもにとってもやさしい!商店街でもお店の人も含めてみんなが、子どもたちの名前を覚えていて、地域で見守っている感覚があって。特に「子どもを絶対産みたい!」などの感情はなかったのですが、子どものことで頼りあえたりするこのまちなら、子育てできるかもしれない、楽しめるかもしれない!と思えました。

    そして、子どもがいる世帯だけではなく、大人一人でも楽しいんでいるのがこの長田というところ。

    私もこのエリアで働いているので、ランチの開拓が日課になっています。だいたいどこも安くて美味い。夜ご飯はまだ行きつくせてない場所がたっくさんあります。酒屋で飲める角打ちも、最高じゃないですか。私の大好物の餃子だってたくさん(餃子コラム参照)。そしてむしゃくしゃした日も、いつだって銭湯は最高。疲れをスーッと洗い流してくれます。ほぼ一見の私を、おばちゃんたちが「こんばんは~」とあいさつして暖かく迎え入れてくれ、帰ってそのまま寝れる贅沢も、銭湯が近いまちならでは。朝も、頑張っていつもより30分早く起きれば、喫茶店でお得なモーニングセットを享受することができます。喫茶店はたくさんあって、どこも個性があって、どこにいくか迷うほど。

     長屋の間取りは、家族で住むと広くはないので、自然と家の外(喫茶店など)で朝ごはんを食べたりしていた、と聞いたことがあります。今回、暮らしてみてわかったことは、ここには路地・喫茶店・銭湯・飲食店・商店街・・など、家の外にたくさんの「居間(リビング)」があふれているということでした。この現象は、最近の言葉ではサードプレイスともいうのでしょうか。私の生活のなかに、なくてもよいけど、あった方が確実に人生が彩られるものがこの長田にはたくさんありました。

     すまいるネットでは、住まいの相談を受けているのですが、よく「空き家」の相談がきています。相続をして困っているとか、売りたいけど本当に売れるの?など。

    長田など下町エリアで、空き家が多い理由は、車が入れない路地や狭小な宅地も多く、なかなか不動産流通にのらないためです。

    空き家を所有する方の悩みは様々でもちろん大変なのですが、このまちにとっての「空き家」は資源かもしれないな、と感じました。

     最近、長田では空き家をリノベーションして住み開いたり、拠点をつくったりしているところがたくさん増えてきています。古い喫茶店をリノベーションしたトリミングサロンの横が間借りでカフェやbarができるところになっていて、保育園のお迎えに来たお母さんが子どもと一緒にゆっくりできる『コパン』、住居の1階を本屋にしながらアーティストの活動拠点にもなっている『空地文庫』、親も子どもたちと一緒に工作を楽しめる『ナガタbond』などなど。私が暮らした『ゲストハウスとまりぎ』も、空き家になった長屋をとある家族が活用しています(同じ長屋にはbarも!)。

    他にも空き家を活用して、たくさんの拠点が生まれていて、みんながそこに集いコミュニティが生まれ、長田の新たな「居間」になっています。。家の外に居間のような場所が元々多かった長田だから、空き家を活用した拠点もまちの生活に馴染みやすかったのかも。

    課題だった空き家が、人々が集うまちの宝、資源に変わってきている転換期のような気がします。

    嗚呼、これからの長田がますます楽しみ。

     

    余談ですが、“空き家”が生まれる原因は、人口や世帯数に対して住宅戸数が過剰にある状態。なので、その解決方法の1つに1人が2つの家を持つ、2拠点居住(2地域居住)があります。通常は平日は職場が近い都会に住み、土日に自然豊かな山間部で暮らす、などがよく聞く形態ですが、神戸は海も山も近くにあるので特に遠くで2拠点しなくても楽しいので、今回のような電車で数駅の気軽な2拠点居住は、やってみて楽しかったです。おすすめ。

    神戸市すまい安心支援センター”すまいるネット” すまいのお困りごと、お気軽にご相談ください。

    すまいるネット[神戸市すまいの安心支援センター]

    川瀬 葉月|すまいるネット

    すまいるネットでは、広報やイベントの企画をしたりしています。すまいるネットは阪神淡路大震災を契機に設立され、おかげさまで、10月に25周年を迎えます。これからも皆さまの住まいの相談役になっていきたいです。大学時代に駒ヶ林のフィールドワークをした際、まちの面白さに目覚め、まちに関わり始めました。プライベートでは「神戸まちあるきジャンキーズ」「神戸餃子クラブ」など。

    阪下滉成(pepe)|風景標本家

    1998年10月1日産まれ。兵庫県出身。
    2018年から新長田に拠点を移し、現在、風景標本家として生活している。
    鉱物を眺めるのが好き。

    掲載日 : 2025.09.30

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