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今夜、シタマチで vol.15

すくすく新長田編 by 小笠原舞

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    第12弾は、こどもと一緒に新長田をぐるっとまち歩き。今回のゲスト、小笠原舞さんは2016年に神戸へ移住。合同会社こどもみらい探求社の共同代表として、こどもに寄り添い続けてきた小笠原さんが一児の母となった今、新長田のまちや人はどのように映っているのでしょうか。”「こども」だけでなく、「わたし」にも優しい街”だという新長田の、朝・昼・夜の表情をお楽しみください。

    文:小笠原舞 写真:阪下滉成

     

    我が子が育つ未来は、全く想像がつかない。
    そんな不確定要素いっぱいの社会で自分らしく生きるために、どんな力が必要だろう?と以前、夫婦で話し合ったことがある。
    その時に出たのは、「コミュニケーション能力」と「多様な経験」の2つだった。

     

    こどもは家の中や教育現場だけで育つわけではない。
    社会の中で多様な人の価値観に触れ、自らの心を揺らしながら経験を重ねることが、これからの未来をよりよく生きるための鍵だと思っている。

     

    この街で成長したらそれらが手に入るかもしれない…。
    そう思って、私はこの街で子育てしたい!と移住した。

     

    せっかくの機会なので、その要素を入れ込みながら、私の大好きなこの街の紹介をしようと思う。

     

    いろんな「人」に触れる

    家からすぐにある『本町筋商店街』。ここは朝らからとても賑やかである。
    果物を数える声や、「おはよう!」「いってらっしゃい!」の言葉が飛び交っている。ここで生活するようになって、挨拶することの気持ち良さを私自身が実感した。お店が休みの時には静かで、なんだか寂しくなるほど…。

     

    コミュニケーションは、挨拶から。
    無理やりさせられる挨拶運動よりも、こうして日常の中で大人たちが実行していることが、”身につく”ための近道だろう。

    果物屋の『安田商店』さんとは、こんな口約束をしている。
    “息子が話せるようになったら、売り子のお手伝いをさせてほしい”というものだ。
    私がそうお願いしたのはいくつかの理由がある。
    圧倒的に人と話す機会が増えるし、お金の勉強にもなるだろう。
    さらに街の人と多く知り合い、関わることで、これからやんちゃ坊主になるかもしれない彼を、街中で見守ってくれる人(時に叱ってくれる人)を増やすことにもなる。思春期には家以外の居場所が必要になるかもしれない。
    だからこそ、私はこういう関係性を大切にしていきたいし、今の世の中にとても必要なことだと思っている。

     

    さて、この日は休日なので保育園がお休み。
    お昼ご飯を持ってお邪魔したのは、自宅から徒歩3分ほどのところにある、多世代が集える介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」。

     

    「ここに座って!」「食べさせてあげるわよ!」
    息子が生まれ、退院したばかりの生後1週間から頻繁に通っているため、入居者さんとも仲良し。最近では歩けるようになり、自ら笑顔いっぱいでハグをしにいくことも多く、親としてなんとも嬉しい光景だ。

     

    息子が座った瞬間にみなさんが寄って来て、あっという間に囲まれていた。

    ここのいいところは、誰がどんなハンデがあるのかなんてどうでもよくて、「○○さん」として知り合うことができるところ。
    彼にとって、車椅子に乗っている方や認知症の方がいることが日常であり、はじめからそれが個性として目に入っているので、きっと仲良くなった一人のおじいちゃん・おばあちゃんにしかすぎないだろう。
    これからしゃべれるようになって、どんな話をしているのか、今からとても楽しみだ。みなさん、長生きしてね!

     

    そして、夕方になるとよく行くところがある。
    こちらも自宅から徒歩3分ほどで、六間道商店街に面している「r3(アールサン)」だ。
    ここは、オフィス、カフェ、ピアノやプログラミングなどの習い事やイベントなど、様々な用途で使われている。

    日々、学校終わりの小学生たちが集まって、宿題をやっていたり、店の前で遊んでいたりする。
    しかし、ここだけではなくて商店街や路地裏のいたるところでこどもたちが遊んでいるのだ。この光景は、いつか自分の家族にこどもが加わった時、こんな環境で育ってほしいなと思ったことの1つである。
    加えて、この街の子は人懐っこく、息子を見ると駆け寄って来て遊んでくれるため、こども同士のコミュニケーション機会も豊かにある。一人息子ではあるが、街の中にすでにたくさんの兄姉がいて、毎日誰かしらに声をかけられて嬉しそうにしている。
    こちらもまた、しゃべれるようになったときのやりとりが、とても楽しみだ。

     

    いろんな「経験」に触れる

    近所でいろんな人に出会えるだけでなく、様々な経験ができることも大きな魅力。
    その1つとして、徒歩5分ほどで本物のアートに触れられる。しかも、親子で。

    『NPO法人Dance BOX』には、子連れでアフリカンダンスを習ったり、コンテンポラリーダンスを見に行ったり。大学時代に踊っていた私にとって、これほど嬉しいものはない。

    『大正筋商店街』出張ナイト屋台にて

    昔から外国人が多く住み、多文化・多言語の街でもある長田区は、「多文化共生のまちづくり」に力を入れているため、行事・祭ごとに様々な国の文化に触れることができるのも、かなりポイントが高い。

     

    徒歩5分の海岸線「駒ヶ林駅」から2駅乗れば、芝生がとても気持ちいい「御崎公園」がある。
    こども向け遊具はないが、歩くことが楽しい息子にとっては十分だし、個人的には何もない方が大人ものんびりできて嬉しい。

    公園の隣にはヴィッセル神戸のホーム「ノエビアスタジアム』があるので、サッカー部出身の主人とそのうち家族で試合観戦に来ることになるだろう。

     

    余談ではあるが、駒ヶ林駅のエレベーターはかなり広く、最寄り駅まで向かう「六間道商店街「や「大正筋商店街」の道幅も広い。その上、アーケードがあるからほぼ雨に濡れずに家までいける。子連れ移動がノンストレスなのも、この街の好きなところ。

    それだけではない。自然も近くにたくさんある。
    まだ息子とは一緒に行っていないが、自宅から自転車で5分ほど行くと長田港が。

    ここではアジやタイが釣れるし、エイが悠々と泳いでいる。

     

    須磨海岸までも10分ほど自転車を漕げば行けるし、淡路島も車に乗れば30分ほどで行けてしまう。

     

    街中でアート、国際文化、スポーツに触れられる上、少し移動すれば海や山でも遊ぶことができる。
    長距離移動なしにこんなにもたくさんの種類の体験ができるなんて、贅沢すぎる!

     

    少し話はそれるが、2019年6月に保護犬カフェから犬を授かった我が家。
    近所にあるホームセンター『ホームセンターアグロ』はペットも入店OK。

    こうやってみんなで一緒に買い物に行けるのは最高に嬉しい。
    さらにはとっても親切なスタッフ・先生のいる動物病院もあって、ありがたい限り。

     

    こどもだけでなく、大人にも優しい

    この街には、行きつけのお店がいくつももある。

     

    例えば、喫茶店『ギャザァー』は朝早く起きてしまった3ヶ月の息子とウロウロしていたときに入ったのが通うようになったきっかけ。

    「子連れですがいいですか?」と言うと、
    「ええに決まってる!」と、お店のおばちゃん。

     

    そして、そのあとにかけられた言葉に耳を疑った。

     

    「抱いといてあげるから、ゆっくりご飯食べなさい!」

     

    「……(一瞬止まって)、!!!!!!!!!(衝撃)」

    寝不足でしんどかった私にとって、何より嬉しい言葉だった。

    このお店に限らず、うなぎ屋の「菅川魚店」さん、お好み焼き屋「喜楽」さん、料理屋「よじま」さん、飲み屋「今井やん」さんなどなど。
    息子の成長を一緒に喜んでくれ、楽しみにしてくれている人たちがいっぱいいる。

     

    銭湯『萬歳湯』さんだって、協力的。
    「昔はこうやってみんなで育ててていたんだよ!」
    と、主人がお風呂に入れていた息子を、男性風呂からロビーまで番台のおばちゃんが運んで来てくれた時には、夫婦揃ってとても感動した。
    遅い時間に行っても、いつだって笑顔で迎えてくれ、「おやすみ!」と送り出してくれるから、疲れた日の終わりにはここに行きたくなる。

    萬歳湯 キンキンの生ビール中ジョッキが250円と安いのも、たまらない!

     

    なんていうか、街に親子まるごとを受け入れてもらえている感じがする。
    何かあっても、きっと誰かが助けてくれるだろうと思える。
    なんて孤独感がないんだろう。
    ここだけじゃなくて、社会全体がこんな風に優しくなるといいのに。

     

    「こども」だけでなく、「わたし」にも優しい街。

     

    この街にいると私自身がナチュラルに生きていられる。だからこの街が好きだ。

     

    ”大人が自分らしくいることができ、暮らしている環境が安心・安全基地になっている“

    これこそが子育てで一番大事なことなのかもしれない。

     

    そんな私の隣で、
    彼は何を見て、何を感じて大きくなるのだろう。

    記事を書いてみて、できることが増えて行く彼と、この街での暮らしがますます楽しみになった。

     

     

     

    ※掲載内容は、取材当時の情報です。情報に誤りがございましたら、恐れ入りますが info@dor.or.jp までご連絡ください。

    掲載日 : 2019.11.01

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