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第1部 
「子育てしやすい社会とは?」

下町ぐらしに辿り着いた
保育士起業家が描く未来

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    筆者:小笠原舞(合同会社こどもみらい探求社 共同代表 / asobi基地 代表 / 下町ゲストハウスとまりぎオーナー)
    イラストレーション:和田直子

     

    こんにちは!3部作のコラムを担当させていただくことになった、小笠原舞です。
    大学では福祉を学び、会社員・保育士を経て、自ら子育て支援の団体や会社を立ち上げて10年以上。そんな私が、子育てするならここだ!と直感で選んだのが神戸の下町、長田でした。神戸歴8年の間に、妊娠・出産を経て、現在は6歳の息子と、2歳の娘の母に。(オスの柴犬もいます!)
    私の体験記を含みコラムを書いてみますので、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。きっと最後まで読むと、私がこの町を選んだ理由がわかると思います。ということで、1部は「子育てしやすい社会」とは何かを考えてみたいと思います。

    2023年4月1日、「こどもまんなか社会」の実現を目的として「こども家庭庁」が発足されました。
    それと同時に、すべてのこどもが将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指した「こども基本法」も施行されました。

    こども家庭庁HPより:https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-kihon

    ですが、子どもについての話は近年になって考えられるようになったわけではありません。この話よりも20年も前の2002年の文部科学省の報告 『「社会の宝」として子どもを育てよう!』には、こうあります。
    “子育ては親だけが担うことだと思っていませんか? そうではありません。子どもを育てることは未来の日本を支える人材を育てることです。社会の一人一人、みんなが主役なのです。子どもの成長を社会全体で支え喜び合いましょう。”と。

    しかし実際に、上記のように感じて子育てしている人は、どのくらいいるのでしょうか?

    子育て現場で活動を始めて12年間。1万人以上の親と子に会ってきて感じるのは、「親ならば、このくらいでききゃ」「みんなやっているんだから、自分もやらなきゃ」と、とにかく必死に頑張っている人が多いということ。
    そういう私も、第一子が生まれた時には「仕事も子育ても全部うまくやるんだ!」と張り切っていましたし、できない自分に落ち込んだり、思うように時間が取れずにしんどさを抱えていました。
    さらに、とにかくじっとしてられない性格の私は、産後3ヶ月くらいにしんどさがピークに…。

    そんな私を変えてくれたのは、とある喫茶店での出来事でした。
    どこか行きたい!外でコーヒーが飲みたい!と感じた日に、思い切って3ヶ月の赤子を抱えて近所の喫茶店に行ってみることにしたのです。

    私)「すみません。赤ちゃん連れなのですが、入っていいですか?」

    店主のおばちゃん)「何、言ってるの!ええに決まってるわ!謝ることやない!」

    さらに隣に座っていたおばちゃんが、
    「抱っこさせてもらえる?孫がいるけど遠くにいるのよね」
    「このくらいって大変な時期だから、ゆっくりコーヒー飲みなさい!」と。

    優しさが身に染みるとはこういうことかと自然と涙が溢れ、

    あぁ、ここには “ 私 ” の居場所があるんだ。
    日常の中に、子連れの私=ありのままの私で受け入れてもらえる場所があることって、
    こんなにも幸せなことなんだ。

    と感じ、無意識のうちに固まっていた身体がほぐれていきました。
    今でもその感覚は忘れられません。

    と同時に、子育てしている人たちが安心していれる場(子育て広場や親子イベント等)も、もちろん大切だけれど、そこしか安心安全な場がないなんておかしいよな…
    私が行きたいところに子連れで行けることって重要なことで、それこそが子育てしやすい社会につながるんじゃないだろうか、と感じたのです。

    そして、今、息子は6歳。娘も生まれ、先日2歳になり、2児の子育て中です。娘はそれはそれは活発で(さすが私の子)、てんやわんやな日々ですが、とても幸せな気持ちで暮らせています。それができているのも、喫茶店だけでなく町の皆さんのおかげです。

    この私の暮らしの中に、子育てしやすい社会を作るためのヒントがたくさん詰まっているのではないかと考えています。

    と、こんなところで1部はおしまい。 次の部では、喫茶店以外で体験したエピソードを中心にお届けします!

    小笠原 舞|合同会社こどもみらい探求社 共同代表 / asobi基地 代表 / 下町ゲストハウスとまりぎオーナー

    1984年 愛知県生まれ、埼玉育ち。2016年から神戸市に移住。大学では福祉を学び、社会人経験を経て、保育士となる。自分らしさ全開で生きるこどもたちに魅了され、彼らから得られる学びを広げることで「誰もが幸せに生きる社会」につながると考え、活動をスタート。最近では多文化共生をテーマにする神戸の下町にて、暮らし・子育ての中での「Well-being」を実践・探求中。

    和田直子

    神戸市出身・神戸市長田区在住。
    嵯峨美術短期大学 洋画科卒。
    昭和の家庭用印刷機「プリントゴッコ」で神戸の風景などをモチーフに作品を作っている。
    神戸を中心に個展やグループ展を開催。
    https://www.wada-n.com/

    掲載日 : 2024.07.30

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