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今夜、シタマチで vol.35

角打ち探訪
by ナガタメデタイ

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「今夜、シタマチで」と題しての飲み歩き企画、今回は新長田の角打ちめぐり。まちを案内してくれたのは、新長田のまちを愛でる3人組「NGT愛で隊(ナガタメデタイ)」。普段からこのまちの面白い人や場所を見つけては、ゆるく楽しみながら活動しているメンバーです。

文:タダノヒトミ 写真:ナガタメデタイ

わたしたち「NGT愛で隊」(ナガタメデタイ)は、新長田南部に住む40代女性3人グループ。なんてことのない近所の路地や商店街を歩いては、「こんなんあった?」「こんなんできてるやん!」と、ささいな発見を日々共有しあい、それぞれが良いと思ったまちの片隅にあるあれやこれやを愛でながら暮らしている。
新長田南部といえば、誰もが思い浮かべるイメージはやはり人情味あふれる下町。そして下町といえば喫茶店と銭湯と、角打ちでしょう!ナガタのまちはあちこちめぐったけど、最後のひとつだけ、まだ究められていないのでは!?
ということで、わたしたちが最近ハマっているのが角打ち探訪。角打ちとは、酒屋の片隅で升に入れてもらったお酒をその場で飲むことからはじまったとされる、労働者の町ならではの文化らしい。
昔は新長田のまちにも角打ちを楽しめる酒屋がたくさんあったけれど、今ではどんどん少なくなり、「角打ち」という言葉を知らない世代も増えてきた。それでもまだ、店主さんが日替わりで手作りのお惣菜を用意してくれていたり、コップに注がれた日本酒を格安で飲めたりと、古き佳き文化はかろうじて残っている。そんな場所には、それをこよなく愛するまちの人々が夜な夜な、時には昼間からも!?集い、にぎわいが生まれている。
今回は、そんな新長田のなかでも比較的アットホームで初心者にもやさしい角打ちを選び、わたしたちナガタメデタイで巡ってみた。

まず1軒目は『坂田商店』。
新長田のシンボル、鉄人広場から駒ヶ林中学校の北側をさらに西へ、徒歩5分くらいの住宅街にポツンとあらわれる酒屋さん。
お店の前に停まっている配達用のバイクがなんともかわいらしい。


カウンターに並んだお惣菜たちを横目に店内へ。メニューはバリエーション豊富で、お酒はもちろん角打ちならではの激安価格。缶ビールやハイボールはたっぷり冷蔵庫で冷えているし、樽チューハイも置いてくれているのが嬉しい。


だし巻にベビーハム焼、ミニお好み焼、マカロニサラダ…気になるメニューをどんどん注文していくと、たちまち豪華な食卓に。


開店早々、つぎつぎと常連さんで埋まるテーブル。17時前にはもう満席となる。おかあさんが大皿に載ったカツみたいなものをつまようじにさして、一人一人に配ってくれた。頼んでないのに出てきたおつまみは、お客さんの旅のお土産だという。

幸運にも1番奥のテレビの下という特等席で相撲を観戦しつつ、ゆったりと飲みながらテーブルを囲んで、まるで実家にいるみたいな贅沢な時間を過ごすことができた。
この店が愛される理由は、一度行けばすぐわかる。店内に飾られた懐かしい手しごとの折り紙や、ブックバーならぬ角打ちにはあまり似つかわしくない本棚。そしてメニューの手書きの文字から伝わってくる温もり。

おとうさんとおかあさんのお人柄が染み入る、とっても人情味あふれる佳き酒場。

さて、1軒目でまあまあお腹いっぱいになってしまったけれど、お次は2軒目『横山酒店』へ。夜風に吹かれながら、腹ごなしにみんなでてくてく歩くのが心地よい。
新長田一番街を抜けてさらにまっすぐ、大正筋商店街の真ん中よりちょっと南にあるファミリーマートの角を西へ、ふたば学舎の北側の道をさらに西へと進む。本屋ロカンタンのすぐ西側にある緑色の日よけテントが目印だが、看板はなくテントにも店名は入っていない。

ポスターが貼られたガラス扉のすきまから、常連さんがすでに何人か座っているのが見える。ちょっと勇気がいるが、ガラッとドアを開ければ明るいおかあさんの笑顔に迎えられ、一気にアットホームな雰囲気に包まれる。
店内にはあちこちにその時代を見守ってきた逸品が飾られており、常連さんが腰かけるカウンターの角などにもその歴史が感じられる。焼酎や日本酒の一升瓶が並んだ棚を眺めているだけで、古き佳き昭和へとタイムスリップしたような気持ちになれる名店だ。

ここのおすすめはなんといってもお手製のおいしいあてたち。わたしたちメデタイのお気に入りメニューは、季節ものならおでんや粕汁、出会えるとラッキー!なズッキーニタルタルチーズ、それからベーコンチーズ春巻き。注文が入るとさっと奥のキッチンへ立ち、アツアツのお料理を出してくれるおかあさんの味は、なにを食べても最高なのだ。

ビール派ではない人におすすめなのは、濃い目の抹茶ハイ。缶をゆっくり振って、しっかり底に沈んだ部分までグラスに注ぐのが難しい。
「わー!振りすぎ振りすぎ!」「もっと底まで混ぜなあかんやん!」
おかあさんに注意されながら缶をあける。盛り上がりすぎてこぼさないように気をつけて。

わあわあ言いながらいったい何度目?な乾杯をするのが楽しくて、あっというまに夜は更ける。楽しいけれど、そろそろ次のお店に向かわなくちゃ。

「おかあさん、ごちそうさまでした!」
お会計を求めるわたしたちの声に、カウンターの常連さんが口々に答えてくれる。
「またおいでなー」「おやすみー!」
「ありがとう!またくるねー!」

長田のまちはどこにいってもあったかい。
こうして実家みたいな場所がどんどん増えていく。

横山酒店を出たらふたたび大正筋方面へ戻る。合同庁舎前の『タンク筋』まで出て北へ、ひとつめの信号を東へ曲がったら、萬歳湯を過ぎてしばらく行ったあたりで夜道に光る看板が見えてくる。

『山口酒店』は古くからここで店を構えてきた人気の角打ち。2025年にリニューアルし、メニューもバージョンアップしたため、いつ行ってもたいてい満席で、17時のオープンとともに続々と常連さんがやってくる。おかあさんの美味しいお料理に、昔ながらの酒屋価格のお酒がついついすすんで、来る人みんながえびす顔になってしまう素敵なお店。

今日みたいに3軒目ともなると、引き戸を開けた瞬間に帰る間際のオジサマがわたしたちを目ざとく見つけて、「ここもう空くから!座っときー!」と急いでお会計してくれたりする。せっかくなので遠慮なんてせず、ありがたく座らせていただく。

わたしたちメデタイのイチオシは、ここの気さくな先代のおとうさん。代は変わっても毎日席に座って楽しく常連さんと飲んでいて、いつ行ってもご機嫌さんで迎えてくれる。お店にある古いものや、新長田のまちについて聞くとなんでも教えてくれて、いつも陽気にこの酒場を盛り上げてくれている。会って話せばきっと、みんなが好きになっちゃうのがわかるはず。

予約もできるので、人数が多めの時は要確認。メデタイで行くときはたいてい事前に予約して、だいたい最後はおとうさんと一緒にテーブルを囲んでいるから、閉店近くまでいることになる。
カゴから自分で種類を選べて、小鍋で出してくれる韓国ラーメンはマスト。おなかいっぱいでもやっぱり〆は別腹で、汁物大好きなわたしたちにはたまらないサービス。

チューハイを片手にラーメンを平らげたころにはすっかり常連さんの数も減って、もう表の扉は閉まっている。さあ、そろそろおいとまの時間。
店を出たらすっかり宵は深まり、人通りも少ないけれど遠くにぼうっと萬歳湯の灯りが見える。ここは本当に下町・ナガタを象徴するいい通り。店の横ではおとうさんの配達用のバイクが明日の出番を待っている。

「あーおいしかった!」「ほな、またあしたなー!」
まるで小学生みたいな挨拶をして、それぞれの帰路へ。

笑いすぎてなにをしゃべったかさっぱり覚えてない数時間、大人になってもこんな風に感情や情景を鮮明に共有しながら、このまちで一緒に過ごせることがどれほど貴重な体験か。願わくばこんな時間が、次の世代のこどもたちにも引き継がれていってほしい。

日常の片隅にあたりまえに角打ちのある風景。ナガタならではのこの街並みを、明日も変わらず愛でながら暮らしていきたいな。

掲載日 : 2026.04.13

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