
兵庫運河環境学習施設の張弦梁に使用する神戸市産材の確認のため、雨の中、地下鉄苅藻駅から苅藻島の木材加工所まで歩いて行った。
道中には工業建築が立ち並ぶ。機能が剥き出しで、無駄がない構築物たちにぐっとくる。坂口安吾の『日本文化私観』で語られていた、工業建築への賛美を思い出した。
我々の施工チームが加工所として使わせてもらっている場所には、JAS材のように規格化されていない、個性的な神戸市産材が並んでいた。
神戸には山林が近接して数多く存在する一方で、地域材の流通体制はまだ限定的であり、神戸市産材が一般的な木材流通に多く乗っている状況ではない。
今回のプロジェクトでは、シェアウッズの山崎さんに木材調達をご協力いただくことで、神戸市産材の活用を実現している。
兵庫運河環境学習施設では、約6mのスパンを飛ばすために張弦梁(写真奥で大工さんたちが作業台代わりに使っている、弓のような梁) を採用している。使うのは、流通材として一般的な4m材。そして神戸で無理なく採れる小径材。その土地に合った構造計画を目指した。
数に限りがあり、かつ個性的な木材を適材適所で使うため、節の位置や大きさを一本ずつ確認していった。
図面に合わせて木を選ぶのではなく、木に合わせて設計を調整していく。時には構造設計の西野さん(西野建築構造)に設計図を調整していただく場面もあり、とてもエキサイティングなやりとりだった。
神戸市産材を調達・製材していただいたシェアウッズの山崎さん。手刻みで加工していただいている森川工務店の大工さん。設計以外にも、さまざまな立場の人が関わることで成立している建築だと感じる。
構造設計の西野さんの粘り強い検討のおかげで、最終的には今ある木を一本も無駄にすることなく使えることになった。
木材調達者、設計者、現場監督、職人。
それぞれが妥協せず、一丸となってつくり上げているプロジェクトだと思う。

北川 浩明|文化工学研究所
一級建築士。1984年神戸生まれ。大学院修了後、イタリア・ミラノの建築設計事務所に6年間勤務し、2014年に帰国後独立。2018年、定年退職した父(機械エンジニア)とともに株式会社文化工学研究所を設立。現在は神戸・兵庫区七宮町を拠点に、「汀(みぎわ)」を編集者や木工家と共同運営。兵庫県建築士事務所協会常任理事、神戸芸術工科大学非常勤講師。
掲載日 : 2026.05.22


