予定を終えて、自転車ダッシュで新長田に向かう。
今日はダンスボックスにて『DonDon Thanks Party!2023(略して、『ドンぱ』)』が開催されていた。
しかし到着した時には後の祭り。
ずっと見たかった多国籍リズム&ダンスチームギンガンゴンが退場する姿を見送るだけとなってしまった。
新長田界隈はイベントが目白押しなため、往々にしてこういったことになってしまう。
その度に自分が2人いればいいのにと思ってしまう。
イベントに参加することはできなかったが、お土産としてどんぶり君のイラストの入った真っ赤なオリジナルトートバッグと、可愛いどんぶり君のバッジを購入した。
これらを手に入れられただけでも来てよかったと思えた。
会場にてどんパを十分に楽しんだ様子の友人たちと合流し、しばらくして小腹が空いてきたので、個人的におすすめのベトナム料理屋「四姉妹」へご飯を食べに行った。
その名の通り、四姉妹のお子さんがいるお店なのだが、今日は4人のおじさんがカラオケを熱唱していた。
ベトナムの人たちはカラオケが好きだとは聞いていたが、みんな歌唱力抜群だった。
好きこそものの上手なれということわざを思い出す。
注文を終えてしばらく待つと、香草やレタスなどの葉物野菜が盛りに盛られた大皿が出てくる。
一番最初に店を訪れた時は、この野菜たちはサラダかな?と思って食べようとして、店主さんにフォーのスープにつけて食べるものだから、まだ待っていてくれと制止してもらったのを覚えている。
店主さんもベトナムの人なので、お互いに言葉が通じていなかったが、コミュニケーションを取ろうとすればなんとか通じるものである。
この野菜盛りにはミントやホーリーバジルなど、沢山の香草が入っているのだが、これまでミントやバジルは料理の最後にちょこっと乗せたりするだけのものだと思っていた。
ベトナムではこれらの香草を大量に食べるそうだ。
今までの常識が打ち破られるのが、経験としてとても嬉しく思う。
この日はブンボーフエという、太麺と牛肉の入った麺料理を注文。
とてもあっさりとしたスープで、量もボリューミーなのでとても満足感を得られた。
満足し過ぎて、大音量のカラオケを聴きながら少し寝てしまった。
新長田には韓国・中華・ベトナム・ミャンマー・奄美など、多様なルーツを持つ人々が暮らしており、そのため多様な料理屋が並んでいる。
店に入るのはちょっと勇気がいるけれど、同じ場所にこんなにも色んなルーツを持つ人々が暮らしているのかと実感できるし、自分の見ている世界とはまた少し違ったものを見ることができる。
こんな近場で多様な文化を体験できるのは長田南部ならではで、とてもすごいことだと思う。
これからも常識を破るため、色んな店に行ってみようと思う。そんなことを考えながら、長田のまちを一日楽しんで過ごした。
上野天陽(TAKAHARU UENO)
1997年神戸市長田区生まれ。地元神戸のまちづくりに関わりたいとの思いから、2018年に(有)スタヂオ・カタリストに入社し、主に建築設計やまちづくり支援に携わる。2023年現在は、フリーランスとして長田北部に拠点を構え、空き家空き地の活用や、屋台でのコーヒー出店、推し本を語る会を開催するなど、幅広く活動しながらまちを楽しんでいる。合同会社廃屋 まちづくり/申請担当。
掲載日 : 2023.08.23