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池内宏行

十月十三日(木)

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    以前、とあるプロジェクトで六甲山の間伐材のコナラを使ったスツールとベンチをデザインしたが、どうしても気に入らず、その後何度もモデル検証をしてようやく本製作。

    この木材は商用として育てられておらず、腐りがあったり割れがあったりして、一筋縄ではいかない。
    どのように材料をとるか、線を引いては材料のとりを考えて、長い時間コナラとにらみ合う。

    実寸モデルとCGで何度も検証しているが、やっぱり最後は実際の素材を使いながら全体のプロポーションを調整。

    「もう5mm内側に脚を入れた方がー」、
    「座面のスリッドはあと1mm大きくー」、
    あーでもないこーでもないと考えながら、クランプで固定しては何度もその周りをぐるぐる。

    だんだんと違いがわからなくなってくるので、この時はいつも撮影して記録をしている。

    座面のサイズ以外同じ規格でできているので、1人掛けスツールを買って使ってたけど、ベンチがほしくなったら座面だけ交換して使用できる。

    「スツールとベンチ、同じ規格で展開できるようにする」
    なんてめんどくさいコンセプトをつけたもんだから、両方いいプロポーションを探すのに苦労。

    毎回自分に無茶振りして、納得いくまでやるもんだからいつまでも貧乏だ。
    でもまぁいいものができて使ってもらえるならいいかーと、完成したものをみると毎度思う。

    池内 宏行 | HIROYUKI IKEUCHI STUDIO

    1985年兵庫県生まれ
    兵庫県神戸市を拠点としながらデザインワークからクラフトワークまで、出会う人との関係性の中で立ち位置をフレキシブルに変えながら、ものづくりをトータルで行なっている。
    モノが飽和している状況で、常に新しい可能性・常識を探究し、「思考を促す」ような問いかけるデザインを心がけている。

    掲載日 : 2022.11.08

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