以前、とあるプロジェクトで六甲山の間伐材のコナラを使ったスツールとベンチをデザインしたが、どうしても気に入らず、その後何度もモデル検証をしてようやく本製作。
この木材は商用として育てられておらず、腐りがあったり割れがあったりして、一筋縄ではいかない。
どのように材料をとるか、線を引いては材料のとりを考えて、長い時間コナラとにらみ合う。
実寸モデルとCGで何度も検証しているが、やっぱり最後は実際の素材を使いながら全体のプロポーションを調整。
「もう5mm内側に脚を入れた方がー」、
「座面のスリッドはあと1mm大きくー」、
あーでもないこーでもないと考えながら、クランプで固定しては何度もその周りをぐるぐる。
だんだんと違いがわからなくなってくるので、この時はいつも撮影して記録をしている。
座面のサイズ以外同じ規格でできているので、1人掛けスツールを買って使ってたけど、ベンチがほしくなったら座面だけ交換して使用できる。
「スツールとベンチ、同じ規格で展開できるようにする」
なんてめんどくさいコンセプトをつけたもんだから、両方いいプロポーションを探すのに苦労。
毎回自分に無茶振りして、納得いくまでやるもんだからいつまでも貧乏だ。
でもまぁいいものができて使ってもらえるならいいかーと、完成したものをみると毎度思う。
池内 宏行 | HIROYUKI IKEUCHI STUDIO
1985年兵庫県生まれ
兵庫県神戸市を拠点としながらデザインワークからクラフトワークまで、出会う人との関係性の中で立ち位置をフレキシブルに変えながら、ものづくりをトータルで行なっている。
モノが飽和している状況で、常に新しい可能性・常識を探究し、「思考を促す」ような問いかけるデザインを心がけている。
掲載日 : 2022.11.08