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服部真貴

十一月二十六日(金)

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    金曜の夜はつい長風呂になる。
    次の日に店も息子の学校もなく、なんとなくゆっくり。
    ただただ湯船でぼーっとすることもあるけれど、大抵、本を持ち込んでいる。
    読書量が小学生の頃から多かったみたいだけれど、記憶の深さが半端なく浅いようで、ほとんど内容を覚えていない。覚えていられない。記憶力が持続しないから、歴史のテストが常に赤点スレスレ。たくさん登場人物がある本も、読み進まない。

    日々楽しいし、そんなに逃げたい現実があるわけでもないけれど、読書の現実逃避の時間。どっぷりつかるとスッキリする。涙脆さも手伝って、新聞の読者投稿欄を読む5分で泣ける。読むものが手元にないと、広告の文字ですら愛おしくなる。

    常に風呂の前とベッドの横には積んである。雑誌やムック、写真集、広報誌も。そんな中でも、繰り返し読むのは児童書。図書館でも、とりあえず児童書コーナーからスタートする。ファンタジーの中に、奥深いことの様々が潜んでいて、何度も同じ物語を読む。そして、初めて読んだ日と同じように吸い込まれ、幼かった自分と重ねあわせる。

    息子が小さかった頃は、寝る前の読書の時間も風呂の読書の時間もとりにくく(息子を寝かしつけると同時に私も寝てしまっていたから)、10年の間、息子と寝る前に読み聞かせる絵本の時間がとても大切だった。
    そんなことで、北の椅子とにもカフェの中に、いろんなところに本を置く。ちょこっと現実逃避ができると良いな、と。

     

    服部真貴|北欧ヴィンテージ店 北の椅子と

    1975年須磨生まれ育ち。兵庫区在住。小さな頃から通っていた父の材木屋の上に住んで、住まいの裏で店「北の椅子と」を運営。仕事柄、インテリアや食べることにまつわること、北欧の暮らし方のことに興味あり。キャラクターが濃い息子の周辺の話題もしばしば。

    掲載日 : 2021.12.16

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