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北の椅子と

服部真貴さん

服部真貴さんが選んだ3冊

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    STAYHOME特別企画「下町選書」、第3弾でご紹介いただくのは、和田岬にある「北の椅子と」オーナーの服部真貴さん。もともと製材所だったこの場所。1階では、北欧ビンテージ家具を取り扱い、2階では、北欧雑貨の販売やカフェを営業されています。カフェには、本や雑誌が並べられていて、手ぶらで行っても読書が楽しめるお店です。服部さんからは、児童文学を中心とした、オススメの本の紹介が届きました。

    何度も訪れ花を摘む

    『秘密の花園』

    著者:フランシス・ホジソン・バーネット

    出版社:福音館書店(福音館文庫)

    いつもはリンドグレーンやエンデ推しなのだけれど、今はバーネットが気分で読み返している。児童文学上にも稀ではないかと思う、ひねくれすぎてかわいくない主人公メアリが両親を亡くし、インドからイギリスの荒涼とした地に立つ大きな屋敷に移り住み、従兄弟のコリン、友人のディコンと出会い、打ち捨てられた屋敷の秘密の庭を美しい花園に甦らせてゆく。白黒だった世界が次第に色鮮やかに豊かになっていく様子が頭に描きやすく、心にうれしく読み進めることが出来て、満たされます。今はディコンの母親スーザンに、母親として憧れ、大切なことを再確認させられている。読む度に登場人物のそれぞれの心の動きに発見があり、重なり、好きになる一冊です。

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    私はどんなおばあちゃんになっているか

    『西の魔女が死んだ』

    著者:梨木香歩

    出版社:新潮社(新潮文庫)

    高校生だった時に友人が九州に住むおばあちゃんの話をよくしていた。季節ごとに届く手紙や孫を思って作られた手仕事の物が送られて来て、それを素敵だなぁと。そして、そんなかわいらしいおばあちゃんになりたい!と思い、そして強く思い続けている。この本は中学生になって間もなく、学校に行けなくなった少女まいが、田舎のおばあちゃんのところで、規則正しく、また自然に寄り添い暮らすことで回復していく、梨木香歩さんのベストセラー。私にとってはなりたかったおばあちゃん像がより具体的になった本。そうか!私はかわいい魔女のようなおばあちゃんになりたかったのだ、と初めて読んだ20年ほど前から修行を続けている。

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    「北の椅子と」が大切に思う役割

    『種をまく人』

    著者:ポール・フライシュマン 訳:片岡しのぶ

    出版社:あすなろ書房

    舞台はアメリカ貧民街。アパートに囲まれた荒れた小さな広場に、ヴェトナム人の少女が小さな種をまくところから始まる。様々な人種、年齢、境遇の人が一人またひとりとやってきて、かつてゴミ溜だった場所が変化していきます。「北の椅子と」の店を始めるときに、場として大切に思ったことはこの本からもらっていて、好きすぎるこの本は、何度もなんども人に薦めて、プレゼントして、今手元にあるのは何冊目だろうと思う。本を読むことになれていない人もさっくり読める100ページにも満たないこの本に、人とのつながりは、場所の役割を作ることは、そう難しいことではないと教えられる。

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    今は細々と店を開けており、休みは畑で夏野菜の準備をしています。きっと私がずっと家にいると、日ごろ気になる掃除や片付けなどには手も付けず、ずっと本を読んでいると想像する。空想の中で世界に羽ばたいたり、時代を遡ったり未来を覗いたり…きっとそこにはいない。いつも枕元に10冊くらいの読みかけの本があり、風呂の中から寝入るまでが読書タイム。そして、どこかに飛んでいきたいときに開くのは、たいてい児童文学。

    北の椅子と
    服部真貴さん

    神戸市須磨区で生まれ育ち、保育士、雑貨店の販売員を経験。2013年に、もともと輸入業を営んでいた夫とともに「北の椅子と」オープン。店舗裏の建物を自分たちで改装し、9歳の息子と、愛犬の2匹と暮らしている。

    掲載日 : 2020.05.21

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