神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン シタマチコウベ

  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • facebook

神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン シタマチコウベ

Shitamachi NUDIE

下町の人たちのインタビュー記事です

今夜、下町で

下町の飲み歩き日記です

下町くらし不動産

物件情報やリノベーション事例を紹介します

下町日記

下町に暮らす人たちに日記を書いてもらいました

下町の店≒家

下町ならではの家みたいな店を紹介する記事です

ぶらり、下町

下町の特集記事です

下町コラム

下町の「あの人」が書く連載記事です

Shitamachi Chemistry

下町の「あの人」×「あの人」の科学反応を楽しむ企画です

第2部
下町ぐらし研究とは?

下町移住のあとさき、
現在地

    この記事をシェアする

    筆者:くりのさやか(下町ぐらし研究所)
    編集:岩本順平(DOR)
    イラスト:六一

     

    こんにちは!下町ぐらし研究所のくりのさやかです。
    前回のコラムでは、長田に移住を決めた経緯についてお話しさせていただきました!今回は、下町ぐらし研究所を立ち上げた経緯と活動について紹介します!

    このエリアに初めて来た時、驚いたこと。それは、ベビーカーの親子や車椅子の人、ゆっくり歩くお年寄りが当たり前に道を歩き、お店に入っていること。東京で暮らしていた私には衝撃的でした。

    長田では、色んな人が普通に暮らしています。それは道路がフラットであるとか、ベンチが多いとか、まちの構造も関係しているけど、それ以上に重要なのが、まちの人同士のつながりかなって。席まで料理を運ぶ店員さん、酔っ払った人を助けるまちの人、子どもをあやしてくれる人…。そうした何気ない助け合いがまちの住みやすさを作っているように感じます。

    自分が感じたこのまちの良さを伝えたいという思いで、友人たちと「下町ぐらし研究所」を2023年に立ち上げました。研究所とは名乗ってはいるものの、やっているのは自分たちが好きなこのまちの「推し活」です。ゴミ拾いをした後にみんなでごはんを食べる朝活部、防災空地を利用した畑を楽しむ畑活部、子どものいるママたちが月一古民家カフェをやるママ活部。部員がそれぞれ好きなことややりたいことをまちで行っています。

    その中でも、私が力を入れている活動の一つが、放送部が行うポッドキャスト(インターネットラジオ)です。このエリアには多くの方が訪れているけど、行くところはほとんど同じ。よく知られている場所は、このまちの一部で、もっとまちの面白さを伝えるために、表舞台に立つ人だけでなく、日常を支える「普通の人」たちをゲストに呼んでいます。

    実際、抽象画家、不登校だった経験を持つ10代の若者、在日コリアンダンサー、タクシーの運転手、ボートピープル2世の方…みんながそれぞれの視点でまちの魅力を語ってくれます。自分より年上の人の喜怒哀楽も見えやすい、喫茶店の隣の人たちの話が面白い、「どうしたいの?」と聞いてくれる人がいるなどなど。(詳しくはポッドキャストを聞いてください!笑)
    https://open.spotify.com/show/5CMZSaowM0RUBGUjyR8Gz1

    この活動をやっていると、まちの魅力はわかりやすい活動をしているキーマンだけが作っているのではないと感じます。日常的に交わす挨拶や、ちょっとしたおせっかい、一見マイナスに見えるようなことでさえ共有していく。そんな一人ひとりの他者とつながろうとする意識や人間くささが、このまちの魅力の土台になっているのではないでしょうか。

    面白いことに、「ポッドキャストを聞いてきました!」とまちに遊びに来た人もでてきました。ラジオを入口に、まちの人に会いにきてくれることが嬉しいです。

    私が思うこのまちの特徴は、日常の何気ない関わりが大きな「セーフティーネット」になっているということ。制度ではなく、人と人との自然な交流から生まれる安心感みたいなものです。

    子どもに挨拶するおばちゃん、シャボン玉をくれるおじちゃん、買い物で一言かけてくれる店員さん。そんな関係がたくさんあります。路地やベンチには必ず人がいて、「あのおばあちゃん今日もあのベンチにいる」「子どもたち今日も路地で遊んでる」「あのおじちゃんたち今日も将棋してる」。名前は知らなくても、なんとなく知っている人が増えていくから、何かあったときに迷わず声をかけられる。

    私自身も子どもを産んでから、まちを歩いていると「あ、産まれたんだね」と声をかけられて。妊婦だった頃からずっと見ていてくれていたんだと感じました。東京では子どもを産むイメージを持てなかったけど、長田ではまちの人の関わりから「産める」と思えるようになったのも、「もし自分に何かあっても、このまちの誰かが子どもを見てくれる」という安心感があるから。これがこのまちの持つセーフティーネットというすごさだと私は思います。

    このすごさを知ってほしい、そんな思いから、研究者の方々と一緒に、まちで起きていることがどのような価値があるのか、言葉にする機会を作りました。次回は、研究者の方たちとの対話から見つけた気づきやそのイベントの様子についてお話ししたいと思います。このまちの日常は、実は社会の大きな問題を解決するヒントを持っているかも。

     

    くりのさやか|下町ぐらし研究所事務局

    1995年、新潟県生まれ。大学進学と共に上京し、社会人としてのキャリアを積んだ後、2021年に神戸へ移住。多様なNPOや地域団体との関わりを通じて、ソーシャルスタートアップの要となる「事務局チーム」の魅力と、その担い手育成の重要性を探求している。
    かつては情熱のままに走り、ボランティア活動に私生活のほとんどを捧げた結果、バーンアウトを経験。今は、自分の情熱を追求しながらも、日々の暮らしに余白を持ち、自分自身を大切にする生き方を模索している。

    Twitter:https://x.com/8989manpuku
    note:https://note.com/kurichandaze
    Instagram:@corocorowarae
    下町ぐらし研究所:@shitamachigurashi.lab

    掲載日 : 2025.04.22

      この記事をシェアする

      記事一覧

      新長田でスタートアップしませんか

      2025.04.25

      四月九日(水)

      2025.04.24

      四月三日(金)

      2025.04.23

      三月三十日(日)

      タグ一覧

      関連記事

      2025.04.15

      下町移住のあとさき、
      現在地