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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

下町日記|十月二十六日(木)

ワタナベモモコ

十月二十六日(木)

2023.10.31

世界のどこかで戦争が起こっている、ということに、心がズキズキする。世界のどこかでしか戦争が起こってないことに、違和感がある。
戦争なんかやらんとって、と怒っている。戦争を、自分がしていなければいいと願っている。

駒ヶ林からの帰り、電車の中でそんなこと考えていると、向かいのおじさんが読んでいた読売新聞の「子どもの詩」が目に飛び込んできた。

ぼくのすんでいるところは
地きゅうぎでみると
さびしいところのとなり

下町日記|十月二十六日(木)

糸島でみた海

今日はシェアハウスのグンシが、下町芸術祭のための作業を手伝いに来てくれた。昼には、39 SAIGONでフォーを食べた。グンシは人生初のチェーを食べた。グンシは多国籍料理が好きだから、チェーを食べたことがなかったのは意外だった。

グンシの向かいでフォーを啜りながら、テレビのニュースを見た。戦争の話をしていた。
作業が終わり、一人で暗くなった大倉山公園を横切りながら、戦争のことを考えていた。
歩きながら数年前のラジオのアーカイブを聴いていたら、ラジオパーソナリティーが「まだまだ先の見えない日々が続きますね」と言っていた。2023年の今は、先が見えなくない日々らしい。

夜はリビングルームにたくさん人がいた。そんな夜だった。みんなのおしゃべりを聴きながら、眠すぎてソファで眠った。気がついたらリビングルームには自分一人だった。
案外深く眠ってしまって、寝付けずこれを書いている。

下町日記|十月二十六日(木)

さっきまでいた人たちの気配がまだ残っている、映画館の座席がまだ暖かいみたいな。
冷めないうちに寝よう。

登場人物

ワタナベモモコ

京都在住。神戸市垂水区に生家が、兵庫区に実家がある(19で見つけた家を実家と呼んでもいいなら)。身体表現を軸に、あまり箱や枠や型にはまらず表現する。
2021年、お金を介さず生活する〇円生活を実行。下町芸術祭2023の参加アーティスト。

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