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「柳谷縫務店のふだん着とダーニングのすすめ」

下町の冬のおすすめの過ごし方

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    暖かい日も増えてきましたが、なんだかんだ風が強かったり、急に雨が降ったり。結局、家にいる時間も長くなりがちなこの時期。

    そんな日は、タンスの奥に眠っているセーターや靴下を引っ張り出してみてください。スニーカーでもいいかもしれません。シミがあったり、少しトレンドから外れていたり、なんとなく気分じゃなくなったものたち。

    そういうものに「ダーニング」で手を加えてみるのも、おうちでの過ごし方のひとつです。器用でなくても、だれでも簡単にはじめられます。

    (ダーニング:穴があいたり擦り切れた衣服などを糸で繕う、ヨーロッパの伝統的な修繕方法です。)


    「うまくやろう」と思わなくて大丈夫です。普段から縫製をしているわたしでさえ、何もないところに針を入れるのは気が引けます。

    でもダーニングには「あいてしまった穴」という明確なとっかかりがあります。そこを埋めるように針を動かすだけ。正解もありません。

    あたたかい飲み物やお酒を飲みながら、音楽や動画を流しながらでOK。針と糸とハサミ、そして布を支える土台を目につく場所に置いておけば、思い立ったときに始められます。道具や糸は100円ショップでも揃います。専用のダーニングマッシュルームは便利ですが、家にあるカプセルトイのカプセルや料理用のお玉でも代用できます。


    刺繍糸や余り糸を直感で合わせてみてください。対照的な色を置いても、同系色で馴染ませても、どちらもかわいくなるはずです。

    生地が薄くなった部分は、細かい並縫いを重ねるだけ。糸の処理も雑でかまいません。表に玉結びが見えていてもいいし、切りっぱなしでもなんとかなります。


    そんなふうに直した服が、明日急に着たくなります。「もう着られない」と思っていた服が、「コーディネートのメイン」に変わるのがこの作業の面白いところ。踵が出ていた靴下も、みんなに見せたくなるほどです。

    わたしがダーニングを好きな理由は、服になにかあっても「まあ、直せばいいか」と思えるところです。きれいに保とうと気を遣いすぎるより、ガシガシ着て、傷んだら手を加える。「直せる」という安心感があるだけで、お気に入りの服をもっと気楽に、長く着られるようになります。

    外に出るのが億劫な日こそ、服に手を加えてみる。タンスにしまい込むより、捨てるより、少しだけ直す。それだけで、つぎに外へ出る日が待ち遠しくなります。

    柳谷菜穂

    柳谷縫務店店主。建築士。2021年特技の裁縫を活かした地域密着型の縫製屋「柳谷縫務店」を開業。神戸市長田区に作業場を構え、オリジナルキャップの製作販売を中心に「縫う」をテーマにまちの困りごとを解決している。

    掲載日 : 2026.02.28

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