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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

パズーの朝メシDX

ナガヌマ ナオキ

六月十二日(月)

2023.07.12

グッドモーニング和田岬

眠たい。身体が重い。毎朝、目覚めが悪い。ベッドの上で数分間のたうちまわって起床。もうすぐ43歳。ちゃんと中年。大人って本当に疲れが取れないんだなぁ。

数年前に少しいい感じだった、うんと年下の女の子が夢に出てきた。もう口も聞けない関係になってしまったが、夢の中では楽しそうに話かけてくれていた。あの子が今、楽しく暮らしていてくれたらいいのになぁ。

1階に降りて、湯を沸かす。フライパンを火にかけ、ソーセージと食パンを焼く。パンに焼き目がついたらうらっ返して、マヨネーズとチーズ。作り置きのポテサラと適当自家製ピクルス、隣で焼いていたソーセージをパンの上にのせる。あとは目玉焼き。毎日やっているのに目玉焼きはどうも上手くいかない。変な形の目玉焼きを最上階にのせて出汁醤油とたっぷりのマヨネーズ。「パズーの朝メシDX」の完成。

インスタントコーヒーを淹れて、リビング扱いにしている土間へ移動。口と指先をマヨネーズと玉子の黄身でベタベタにしながら一気食い。皿に垂れた黄身をパンの端っこで舐めとるように絡めて、最後の1口。3分で完食。

神戸市高松町

神戸市高松町

コーヒー片手に表に出る。通勤ラッシュがぬけて少し静かだけど、ハッキリと目を覚ましている高松線を眠気眼のまま眺めて、一服。BGMは毎朝、GEZANの「blue hour」コード進行、タイトなリズム、コーラスワーク。全てがカンペキ。

2階へ上がりシャワーを浴びたら、ライブ用で買った黒いワークパンツを履く。クラストパンツに早く育てたいので、ダメージを与えるために毎日、仕事着にしている。

出勤。雨が降っていなければ、自転車で神戸駅まで出る。橋を渡るときは風が強くなるので帽子に手をやる。運河、防波堤のコンクリ。鉄骨や古い趣の倉庫。この街の景色が好きだ。

 

神戸の運河の町「和田岬」

神戸の運河の町「和田岬」

神戸の運河の町「和田岬」から大阪の運河の町「阿波座」まで電車に揺られながら、約1時間半。先日のスタジオ練習の音を聴きながらリリックをぼんやり考える。キラーワードになるようなパンチラインは何も思いつかない。

もうすぐ、会社に着く。はぁ、仕事。今日はPB在庫の大口入荷があるんだっけ。今日も、大変な1日になるぞ。

登場人物

ナガヌマ ナオキ

1980年、神戸生まれ須磨区育ち。会社員。ハードコアバンド「kuragali」のボーカリスト。個人名義でノイズ音楽「numahamaru」。神戸ハードコアシーンの先輩たちで構成されている「Re-formation b.B.」にゲストボーカルで参加。正体不明、謎の覆面ノイズテクノユニット「スケベ電気」を発掘し、彼らのマネジメントを務める。間借カレー屋としてスタートさせた「コウベクラウドサーフカレー」を屋号はそのままにレコード屋として活動を再開。場所は和田岬、通称「釣具ビル」。開店日は、本業が休みの日。人と街、未来と文化をテーマにしたライフスタイルを模索している。

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