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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

駒ヶ林のアトリエKOMA

小松菜々子

六月一日(木)

2023.06.30

駒ヶ林の最南端、長田港のすぐ近くにわたしの秘密基地がある。

大正時代に建てられた長屋の一角をエコール神戸(福祉事業型専攻科)の学生さんがリノベーションした「アトリエ KOMA」。そこをご縁あって使わせてもらっている。

作品の制作や打ち合わせを主に使っているが、最近は前庭の雑草を仲間と引っこ抜いて(これがとても大変な作業だった)耕し直し、畑にした。キュウリとオクラとピーマンとズッキーニを育て中。南向きなのもあり、今の所順調に育っている。

駒ヶ林にある「アトリエKOMA」

駒ヶ林にある「アトリエKOMA」

駒ヶ林にあるアトリエKOMA

土を掘り返していると、様々な生き物と遭遇する。ミミズやダンゴムシ、ムカデやクモ、何かの幼虫。

初めは見るたびに少し背筋が凍っていたが、2ヶ月くらい毎日のように会い続けていたらひょいと触れるようになった。

普段の生活をしていると忘れてしまうけど、たくさんの生き物と私たちは共存している。

雑草もそうだ。ヨモギの根っこの先を辿って掘り進めて行くと、恐ろしいほど地中深くまで根を貼っている。力強く生き生きと、岩やアスファルトだって砕いてしまう。

駒ヶ林にある「アトリエKOMA」

毎日前庭を通ってお散歩する丸い黒柴とお母さんに挨拶する。デイケアの送り迎えをKOMAの前で待つおばあさんが駒ヶ林の昔話をしてくれる。

庭にいるだけで毎日色んな発見がある。出会いがある。下町暮らしの醍醐味はこうやって私有地の境界線を曖昧に人や生き物が行き交う所だと思う。

KOMAの前庭で車を待つおばあさんをはじめ、色んな人が座れるベンチを作りたい。フリーリトルライブラリーも設置予定だ。

そんな妄想をしながら、喫茶店「ホワイト」で朝ごはん。最近の贅沢な休日。

駒ヶ林にある喫茶店「ホワイト」

駒ヶ林にある喫茶店「ホワイト」

登場人物

小松菜々子|ダンサー・振付家

横浜育ち。2021年にArtTheater dB KOBE主催のダンス留学7期に参加し神戸へ移住。2022年度 ArtTheater dB KOBE アソシエイト・アーティスト。長田に住む人たちと一緒にウソとホントの入り混じった長田まち歩きダンス作品『あわいにダンス』を発表。2023年秋に『あわいにダンス まち歩きZINE』(仮)を発表予定。



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