しばらくぶりに空堀商店街を歩いている。
2023年1月22日、晴れ。
干支を1周した「年賀状展」の集大成「大年賀状展」最終日なので、朝から車を走らせて大阪の空堀(と呼ばれる谷町六丁目)にやってきた。
金なし足長おじさんとも呼ばれる僕は、現在、車を持っていないので必要な時に職場で借りている。
ウチのスタッフさんが車を買い替える時に「大事に乗っていた車を知らん人が無茶苦茶に乗ってほしくない」という想いで「職場のみんなが使っていいよ車」が誕生したのだ(なんて素敵な考え方だろうと心震えた)。
今日1日、大事に乗らせてもらいます。
11万キロかあ。
いろんなところに行ったんだろうなあ。
乗る人が変わればいつもの景色も、やはり違うように見えるのだろうか。
以前の持ち主や、いまの車の心境なんぞに思いを馳せながら、大阪までちょっとドライブ。
僕は今年42歳になる。イクハイクニパ生まれたよA2C。
人生の折り返しって感じかしら。
11万キロって言ったら車寿命でどれくらいかしら、折り返しくらいなのか。
いままでの経験は短くもなく長くもなく、濃ゆくもなく薄くもなく。
いい出来事も悪い出来事も、まあまあ、勿論それなりにあって、今後の生活を平坦で穏やかに過ごすのも、まあ、そんな人生かも、なんて思っていたが。
昨年出会った、新しい職場の、そのエネルギーは僕に「希望」として、うーん。
「希望」なんて言葉にすると大袈裟に聞こえしまうだろうが、それまで、ほんと、実は結構、落ち込んでいた。
半ば諦めていたっていう状態だったから、やはり「希望」なんだろう。
まあ、なんせ、その光のようなものが僕を包み込んでくれて、時には笑い飛ばしてくれて、怒ったり泣いたりも勿論あって、つまり。
最近、ごはんが美味しい(なんのこっちゃ)。
蕎麦は細く長くと言って縁起もんだけど、うどんは太く長く柔らかくって更にいいんじゃないかなあ。
なんてことを考えながら運転していたので、空堀に着いた頃には腹ペコだった。
一軒のうどん屋さんに駆け込む。
運ばれたうどんは濃ゆくもなく薄くもなく、短くもなく長くもなく、柔らかいでも硬いでもない。
ただ美味しいうどんだった。
なんの変哲もないうどん屋さんのうどん(と言えば失礼なんだが、褒めている)が、近年の冷たく固まった僕の心にジュンワリと沁みる。
いい蕎麦屋さんのキリッとした清々しさも好きだが、この庶民的なズルンとした肩肘を張らずに付き合える存在が心地良い。そう、僕は、犬も猫も好きだ。
日記用に撮影した写真をボツにしようと思っていたら
「素朴でいいと思う」
なんて優しい言葉をもらって、そんな時だけ素直に嬉しいので、なんの変哲もないうどん屋の、なんの変哲もない写真を掲載することにした。
下町がテーマと聞いて、なんとなく、ちょうど空堀に行くし、いい題材やん。と思ったが、もう、うどんの話だけで満腹になった。ソースカツ丼もつけた所為だろう。
下町の定義がわからず、ちょっと調べたけど、開けた箱に詰まっていた世の中の解答は、どれも僕の腑に落ちることがなく、丁寧にラッピングして棚の奥に戻しておいた。
僕の人生は印象で成り立っている部分が多いと思う。
定義だ由来だナンダカンダ、気になるのは気になる性分なのだが、腑に落ちるか落ちないか。
臓物、五臓六腑に響くか響かないかの、印象。
そんなことを書いていたらホルモンを食べたくなってきた。
この日の帰り道、信号待ちをする車内で目に飛び込んできた焼肉屋があった。
この車の以前の持ち主とチラリとした会話を思い出す。
美味しいホルモンが食べられる店の話。
確か、こんな屋号だったような気がする。ので、写真に収めておいた。
今度、車を提供してくれたお礼に誘ってみよう(勿論ワリカンな!)、などと、満腹なはずなのに、もう次の美味しいもの探しをしてしまう自分に「僕もアホだなあ」と呟くのだった。
THE YELLOW MONKEYのBRILLIANT WORLDを聴きながら、お土産のどら焼きが潰れていないかチラチラっと確認していたら、変わっていた信号に気づかずクラクションを鳴らされたのも、良い思い出だ。
A2C|はっぴーの家 介護士
1981年兵庫県姫路市生まれ。
東京、広島、大阪での様々な活動を経て、現在は神戸の新長田を中心にアテのない人生を歩き、アテをつまみ千鳥足で帰る生活を送っている。
飼っているピロリ菌の成長を楽しみにしながら、はっぴーの家ろっけんで介護士として働く。座右の銘は「一笑懸命」。
掲載日 : 2023.02.09