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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

趙恵美

七月三十日(土)

2022.08.24

今日の午前中は大阪のお祭り出演予定だったがコロナでキャンセルとなり、午後のはしご出演予定だったダンスボックスさんの祝賀会どんぶりパーティーのトリに集中できた。

とは言え、世間は夏休み。
自営業の子連れ芸人。
育児と仕事が平行線。

夫は祝賀会に参加。
1階のスタジオ・長田教坊ではボイストレーニングレッスン開始。
ママたちはプライベートレッスンで伸び伸び歌い、子どもたちは2階の我が家で伸び伸び下町な遊びを楽しむ。
時にはパンツ・ランニングでの水鉄砲路地裏合戦など。

そんな楽しむ子どもたちを眺めるのも芸の肥やし。
遊び心しかない遊びの天才たちの表情と会話がたまらん。

せやけど、そろそろ母から舞台人へとスイッチ切り替えなぁと思いつつ、この状況から切り替わらん。舞台がないときは片手にビール。

ぐぐっと耐える。

さっ!!出発するで!
楽器は夫に頼み、ちょっと普段よりは綺麗めなメイクでママチャリに子供と衣装のせて、長男とツーリングして劇場アートシアターdb神戸へ。

チャリですれ違う知り合いからは、
今日は公演かぁ~?と自然な会話が飛び交う。
メイクで私の仕事のオンオフを把握してくれてるまちの人たち。

今日は甘えます。と、子連れで劇場入り。
コンテンポラリーダンスの聖地ダンスボックスさんの懐に甘え、今日は子どもたちを開放することに決める。

丼パーティー開演。
劇場内が少し暗くなり、舞台上には華やかな照明でライトアップ。

我が子達も釘付け。
舞台下でダンサーと同じ振りを自然となぞり身体を動かせる。

また身体にハンディのある方々のダンスパフォーマンスでは、盲目のダンサーの方へ言葉で参加してみたり、車いすのダンサーの方の激しいスピーディーな車いすの速度に目を丸めたり。

ありのままの素の表現をする子どもたち。

長田区のマスコットなぁーたんがあらわれると、大人も子供も喜びいろんなアクシデントに大爆笑。

そろそろ私達のトリの出番。

ちょうど京都から来た妹夫婦と甥っ子たちも丼パーティーに参加。
我が子と甥っ子と近所の子を集めて、

今からへみっちょ(私)とウォンさん(夫)が舞台で楽器を打ち鳴らすから、
今日は今日だけはダンスボックスさんの許可を得て、この舞台上で自由に遊んでいいよ。

舞台上の壁と幕を触らない約束だけ守ればあとは自由にどうぞ。

夫婦から芸人へと衣装チェンジ。
子どもたちは妹夫婦に任せ、舞台裏で待機していると。
ウォンさんの足元がいつもと違う。なぁーたんのやん。爆

丼パーティー大トリのステージへあがる。
客席から爆笑。場をあたため本番開始。
音の粒を重ねると子どもたちが客席から舞台へと上がってくる。

センターを譲らない子。
気になるけど舞台のステップ階段より上がれない子。
舞台の左右をうろちょろする子。

客席で上がるか上がるまいか悩む大人。
あたたかく見守る眼差しに懐。

この環境が整うとそこには自由がある。
なかなか社会にハマっているとこの開放を味わえない。

私は単なる子連れ芸人。
この今日の舞台では子どもを通して遊び心と自由と開放を観てもらいたかった。
そんな表現を受け入れてくださったダンスボックスの皆さん、そして集まられた皆様に心より大感謝。

この後は萬歳湯で身体を解し、ロビーで生チュー4杯。

子どもたちを寝かせつけ我が家の裏にある隠れバーSAKAZUKIで妹と朝方4時半まで呑む。

本町商店街は平日週末昼夜を問わず、
立呑屋さんやスナックから乾杯の音頭や、
こぶしのきいたカラオケの歌声が溢れてるよ。

大人も子どもも人間だもの。
共に羽伸ばそう。
それが叶うまちなんかなぁ。

登場人物

趙恵美|コリアンダンサー、スタジオ・長田教坊、Salon Kongan

京都出身。夫は長田出身。天と地があるところ全て我が家という旅芸人から、結婚して神戸に住み、妊娠を期にスタジオ兼住宅の物件を探し、本町筋商店街の元スナックを改装し暮らす。コロナの大打撃で芸能活動が途絶え、スタジオ空間をサロンとしても活用。コロナ禍に~ココロとカラダを整えるSalon Kongan~を開業。韓国民間療法のよもぎ蒸しと中国整体を導入。月に一度世界中に訪れる満月の日に、~満月の日は踊り語ろうの輪~というものを勝手に開催している。

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