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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

田岡和也

十月二十七日(水)

2021.11.04

こんにちはこんばんは。絵が好きな田岡和也です。
香川の田舎から「画家になる!」と、大阪に飛び出て来たものの
さほど絵も描かず、体たらくに日々を消耗していた2005年頃。

「和田岬に住んでるの」と、彼女は言う。

崖の上には木々や草花が生茂り、先端には白い灯台がある。
青い海では波がざぱんと音を立て、風が強くて彼女のボブヘアーが柔らかに踊る。
遠くに林立する風力発電の風車がゆっくりと回転してる。

地下鉄和田岬駅を上るとそこは、JR和田岬駅のレトロな木造駅舎と、昼間スカスカの時刻表。
駅のホームには、ワンカップ片手にスローなモーションで歩くおじさん。
勝手に頭の中に思い描いてた和田岬の景観はどこにもなかった。
彼女の実家はまちの電気屋さん。周辺には激渋銭湯やら立ち飲みやら駄菓子屋やら。
17時に閉店するコンビニ。
「えっ、どれ岬なん。」

今年は2021年。で、結婚してもう和田岬には十数年住んでる。
とどまる事なく、時間は容赦なく流れてどこどこゆく。頭もうっすらとハゲてきたし。
この間でも随分と変わってく街の風景。
この街はゆっくりと歩くのにちょうど良い。歩いてスマホで写真撮って。
切って貼って、描いて。日常を問う。
僕はそれらを折紙とマーカーで絵にして記録していこうと思って。「兵庫景」と名付けた。
神戸の街をモチーフにしてきた版画家である故川西英さんのオマージュでもあったりする。
「兵庫景」は下町のREAL

※JR和田岬駅の駅舎は2009年に解体

登場人物

田岡和也

和田岬在住。折紙とマーカーで絵を描く。
主な展覧会として「マイホームユアホーム」(芦屋市立美術博物館)、「兵庫景」(兵庫図書館)、 「六甲ミーツ・アート2020」、「下町芸術祭」など多数。最近は登山と家庭菜園に没頭中。「デカい金時芋育ちました!」 

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