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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

みゆきち(首藤美幸)

十月二十六日(火)

2021.11.13

朝6時、介護のお仕事に出勤
いつもと違いとても静かなはっぴーの家の朝
徐々に賑やかな場所に戻っていく

 

「貴方の声聞くとホッとする」
そう話してくれていた方が亡くなった
昨日の早朝の出来事

 

一週間持たないかもしれない
そう言われて、一ヶ月半生き切った彼女は
難しいと言われていた69歳の誕生日もお祝いすることができた
身体は細くなっていくのに目の力はずっと強いままで
笑顔が少女みたいに可愛い方

 

夜になってはっぴーの家で不思議な送り出しをした

各テーブルバラバラに好きなボードゲームで遊び、
またあるところでは太鼓と踊りが始まる
いろんな料理を食べながら、お酒も飲む
家族さんも、住んでる方も、会いに来てくれた皆も、
あちらこちらでごっちゃになる
それぞれがそれぞれで思い思いに過ごす

娘さんからお通夜らしいお通夜というものは故人が望んでいないから。と成程これはきっと、まだ側にいてくれてる彼女と最高の時間を過ごすための時間

 

私はフルートでお孫さん達と「糸」を吹いた

 

家族さんから彼女のいろんな話を聞き
それをビンゴゲームに落とし込む旦那さん
笑いあったり、寂しくなったり、様々な気持ちが一気に押し寄せてくる
ここはやっぱりカオス

こんなことばかりしていたら
不思議と歳を重ねるのも、最期も寂しいものじゃないと思えてくる

 

「お疲れ様」
「ありがとう」
そんな言葉が飛び交う夜

 

「こういうの好き」と無邪気に笑ってくれてる気がする

登場人物

絵描きびと みゆきち(首藤美幸)

コミニュケーションの中から相手の本当にデザインしたいものを引き出し、描く仕事。 

1984年神戸生まれ。漫画を描きながら学生の頃からカットの仕事を受ける。 

高校卒業後は一人で暮らし。フリーで絵をかく仕事をもらう機会が増え、フライヤーや、挿絵、デザインの仕事にのめり込んでいく。仕事としての絵を見直したくなり、元町にある「絵話塾」で絵をかく心得を学ぶ。歌って踊れるイラストレーター。最近はフルート演奏、介護士として高齢者の暮らしも描く。 

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