「普段大切に考えている事」
先日ある方から完成してない絵を指してこれは幾らですか?と尋ねられた。
最初は自分が大切に考える絵画史に於いて抽象画の完成とはなどを伝えようと考えたが、
この広い美術観念内でそれは一視点を押し付ける行為になると客観視し発言を止めた。
私にとってはちょっとした大事件だった。
抽象画を語るにあたってカンディスキーの存在は外せない。
グラフィックデザインの世界に於いても技術、オブジェクトの組み合わせ等、多くの功績を残している。
そして点、線、面、の組み合わせによって絵画の完成を世界で初めて説いたのは彼だ。
これはテクノミュージックが点の波形、面の波形、線の波形が織りなされて整合している経緯と類似している。
世界の絵画史としてもレギュラーな出来事だから
抽象画の見方がどうあれば良いかまずは分かるはずなのだがこの事実を知らない日本人は多い。欠損してしまっている。
私が抽象画を目指した理由の一つとしてこの点を伝えたいという動機がある。
オートマシズム、ミニマリズム、チャンスオペレーション、ハプニング、マルセルデュシャンによる観念のシフト、様々なワイルドな手法や行為、観念が日本人の抽象画に対する距離や関係を湾曲させたと私は考える。
ロバート・ラウシェンバーグ、サイ・トゥオンボリー、ウイレム・デ・クーニング、アブストラクトエクスプレッション世代の多くはカンディスキーの考えを土台に自身の作品を広げた。
今もカンディスキーが土台で派生している作家は多い。
それをつまらなく感じる作家も増えているが、ミニマリズム以降中々普遍的レベルには収まらない。
そういう意味で世界を変えたキーパーソンの一人であるが、日本ではその事実を知らないパーソンが多いと感じている。
抽象画を紐解く時、その中に描かれた物がどの様に配置されたか、どう見事に関係をなしているか?
コンポジションがいかにその判断を下す目安になる事をお伝えして第一話目を終わりとします。
CBA|抽象画家
東京で20年以上グラフィックデザイナーとして
活動した後、2010年より画家活動始める。
神奈川県より2020年の4月に神戸市に移住。
しかし、世界的なウィルス拡大の影響で
当初の計画が崩れた中で長田区駒ヶ林町で画業を継続中。
繋がりを求めて今日もカジュアルに抽象画制作を
続ける。
掲載日 : 2021.08.24