
文・写真:上野天陽
芸術の秋、シタマチコウベのエリアでは、2年に1度開催されている下町芸術祭が開催中。苅藻にある様々な場所も芸術祭の展示会場となっています。今回は、芸術祭に参加している場所も、そうでない場所も含め、苅藻エリアにあるアート的スポットをご紹介。
案内してくれたのは、長田区北部の丸山生まれ丸山育ちの上野天陽さんです。11月3日まで開催している下町芸術祭に合わせてめぐってみてはいかがでしょうか。
こんにちは、上野天陽と申します。最近、長田区北部の丸山地区で「橋のたもとの喫茶店 大日HARBOR」というシェア型の喫茶店を始めました。
家は長田の北側ですが、長田の南の方にもよく遊びにきています。
最近、苅藻エリアでユニークな拠点が増えてきているということで、今回はそんな個人的注目したいスポットをご紹介いたします。
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喫茶パープレイ


最初の紹介はこちら、喫茶パープレイさん。レトロな外観と、イラスト付きの手書きメニューが目を引く外観をしています。この喫茶店も下町芸術祭の展示会場となっており、今回の展示では、下町で暮らす多世代の写真家さんが撮影した、長田の写真が展示されていました。
この喫茶パープレイ、当初は喫茶店としてだけの営業だったそうですが、近所の方の絵画を飾り始めたのをきっかけに、今では日常的にも、さまざまな展示が企画されるギャラリー喫茶となっているようです。
近所のご婦人たちやお弁当を頼んで持って帰る人、遠方から展示を見にきた人などなど、多様な人がこの場に訪れていました。


この日はたまごサンドとコーヒーを注文。分厚いたまごをふわふわの食パンでサンドしたたまごサンドは、このお店の人気メニューだそうです。
お母さんとのお話しがとても楽しく、気が付けば2時間以上もお店に滞在していました。追加でパンナコッタも注文。ベリーとアイスクリームがたくさん乗っていて大変満足。
お腹も心も満ちるような、素敵な時間を過ごすことのできる喫茶店。ぜひみなさんもお母さんとの会話を楽しみにいってみてはいかがでしょうか。
店舗情報
| 喫茶パープレイ 長田区苅藻通4丁目10-15 |
【下町芸術祭】
⚪グループ写真展 「町と人」
実施日時:10/18〜11/18 営業日に準ずる
料金:パープレイにて喫茶をお願いします
藻藻

喫茶パープレイから歩いてすぐ。長屋の1住戸を改修して作られたこの場所は、長田のアーティスト4人が運営する「藻藻」というスペースです。海の浅瀬で稚魚を育てる“藻場”のように、若手アーティスト達が育っていく場となるようにと名付けられたそうです。今回の下町芸術祭にて初お披露目となったこの場所では、展示、映画上映、身体表現など、さまざまな企画が行われていました。玄関に備えられた一枚板の縁側は、近所の方やお年寄りの方も気軽に立ち寄ることができる、そんな気配を漂わせていました。



建物内では作品展示と共に、ゆったりくつろげるようにセッティングされたソファと音楽。やわらかなイラストや写真を、心穏やかに鑑賞することができました。長田で生活するアーティストの4人は、さまざまな表現手法を通じて、人と町が出会う交流の場を作っていこうとしているそう。この日在廊していたのは楠田はるきくん。まちのお母さんが教える料理教室なども開きたい、いずれは料理提供もできるようにしたいなど、お互いにこれからの話を交わしました。
隣ではこの長屋を改修した廃屋グループ(西村組)による蚤の市も開催されていました。これからどのような場所になっていくのか楽しみな場所だなと思いました。
店舗情報
| 藻藻(もも) 長田区苅藻通4丁目2−9 |
【下町芸術祭】
⚪︎展示「蒐」
作:阪下滉成
日時:10/18-11/3 ※10/26,28は休廊
入場自由
⚪︎身体パフォーマンス「ブラックホールは蒸発している?」
振付/演出:秋田乃梨子
振付/出演:長野里音・森岡美結菜
日時:11月1日 14時〜
申し込み方法:グーグルフォームから
参加費:500円
⚪︎身体?表現「カルマモン」
表現者:石山樹野
上記パフォーマンス日や、まちの中に出没予定。皆さんの業(カルマ)をゆるく背負います。
上記の他に、アーティストよりゲリラ的にパフォーマンスやWSなど行う可能性あり。
随時下町芸術祭HPやアーティストのSNSで発信予定。
STUDIO神港荘

元々は町の商店街であったのであろう、石畳の小道を進んだ先に、全面ガラス張りのおしゃれな空間が。ここは、アパレル制作やシルクスクリーン体験を行なっている「STUDIO 新港荘」さんのシルクスクリーンスタジオです。
元魚屋をリノベーションして作られたこの建物。古材や左官技術の光る内装で、天井が吹き抜けているなど、趣向を凝らした開放感のある空間となっています。そこに、シルクスクリーンの版やインク瓶が積まれていたり、小部屋にDJブースが設置されていたりと、レトロさと新しさが混在する、居るだけでもワクワクするような空間が広がっていました。


最近引っ越してきたばかりということで、正式なお店のオープンは未だとのことですが、人が居るときにはふらっと立ち寄ってみてほしいとのこと。町の人たちにも気軽にシルクスクリーンを体験してもらえる場所になるそうです。
近くを寄った際には、少し覗いてみてはいかがでしょうか。
店舗情報
| STUDIO神港荘 長田区東尻池町4丁目11-8 |
喜楽すし

お昼ご飯を食べに行ったのは「喜楽寿司」さん。
自分にちょっとご褒美をあげたいと思った時に、よく訪れるお寿司屋さん。下町の気取らない雰囲気だけど、少し贅沢な気分を味わえる、個人的にとてもお気入りのお店です。

この日選んだのは、にぎり寿司+赤だしのランチセット。900円とお手頃な値段にも関わらず、中トロなど豪華なネタも乗っています。甘くてさっぱりとしたガリで口をリセットしながら、1巻1巻味わうお寿司が、口いっぱいに幸せな気分にさせてくれます。
店主のおじいちゃんおばあちゃんとの、何気ない会話も楽しみの一つ。
現在はお昼の営業のみとなっていますが、下町で味わう美味しいお寿司をぜひ食べに行ってみてください。
店舗情報
| 喜楽すし 長田区東尻池町3丁目4-22 |
ダニエルファクトリー

道路に面して大きく開いた鉄工場。ここは廃屋グループ(西村組)が改修を行ない、溶接加工などをおこなっているスペースです。
【過去の記事はこちら】
その隣の階段から2階に上がると、空間全体を使った写真展が開催されていました。
一般的なギャラリー空間では行えないような、実験的な展示や表現活動を行うことのできる場として、自身もアーティストであり、廃屋グループのメンバーでもあるダニー(ダニエルミラー)が運営するスペースです。
こちらも「藻藻」同様、今年の下町芸術祭にて初のオープンお披露目。

今回の展示は、神戸に住む3人のアーティストによる体験型のインスタレーション写真展。訪れた人は、4ヶ所の小さな空間で、包まれながら、寝転びながら、ゆったりと展示を体験することができます。展示空間の奥では、お茶を飲みながら、アーティストたちやここを訪れた人たちと、おしゃべりのできるスペースも用意されていました。どの空間が一番心地よかったかや、展示をどのように作り上げたのかなど、いろんな感想や裏話的なことを聞くことができて面白かったです。
元々が溶接工場であり、周囲も工場地帯であるため、音出しや汚したりするのも大体OK。アーティストたちがサポートを受けながら、自由な表現を行える場になればという、ダニーの優しい思いが込もったコミュニティと表現の場が生まれていました。この場所で何かを表現してみたい人、興味のある人はぜひ、展示期間を目掛けて足を運んでみてください。
店舗情報
| ダニエルファクトリー 長田区梅ケ香町2丁目2-24 2F |
【下町芸術祭】
⚪宿る(沈/胎)
神戸に住む3人のアーティスト、写真家:Shen Jun Han (台湾) 、ドローイングアーティスト:ダニエルミラー(アメリカ)、ダンスアーティスト: ならさきゆきの(日本)のコラボレーションによる体験型インスタレーション写真展。
胎児の時の、あの感じで包まれながら、寝ながら写真や音を鑑賞する体験ができます。
展示会期:金、土のみ開場 13:00~19:00
11月2日にはクロージングパーティ+パフォーマンスイベントあり。
いかがでしたでしょうか?この他にも苅藻エリアには魅力的なお店やスポットがたくさんあるので、 好きな路地をみつけてゆっくり歩いてみてください。
下町芸術祭は11月3日まで続きます!ぜひこの機会に苅藻エリアもお楽しみください。
掲載日 : 2025.10.30

