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2021.07.15

森本アリ 3rd week 『路地でつまずく、路地でうなずく』

見るだけだったインスタに、ふと、ちゃんと写真を載せ始めた。2ヶ月くらい前のこと。これまでは、いい風景、面白い情景を見つけても数人で分かち合うだけだったが、自慢しようと思い立った。インスタのプロフィール欄には「まちのかたち/サンポノキロク」とだけ記してる。本当にそれだけだから。

 

自分にとっての面白いもの・ことをせっせと撮っては、ふるいに掛けてアップして、いいねの数に振り回され、ない、振り回されるもんか。気に入ったものを人に気に入ってもらえた時は嬉しいもんだ。でも振り回されんぞ。

 

神戸〜兵庫〜新長田〜鷹取の南の方の路地巡りが趣味と言って差し支えない。数年前は駒ヶ林の路地を一本一本試すように制覇していた。細い路地の途中に、ほんとうに突然現れる「平忠度の腕塚」。駄菓子屋「たこやきフレンド」はおはなしも面白いし能面もいっぱい見せてくれる。「蛭子神社」には、舞子・西垂水・東垂水・塩屋・須磨浦・東須磨と刻印がある。「駒ヶ林神社」の鳥居から漁港への勇ましい道も素敵。そしてハードコアな空き地も好物だが、最近は防災空地として、そして多文化共生ガーデンとして、ベトナムの人たちがパクチーを育てていたりする。それも超豊作。話しかけたら大きな束をくれた。美味しかった。ありがとう。路地の先に路地の先に、次から次に繰り出すエンターテインメント。駒ヶ林は小宇宙。

 

最近は、苅藻の路地を一本一本試してる。細やかな装飾、ディティールの豊かな長屋がとても多い。地蔵尊が楽しい。あふれだす緑に心が躍る。町工場と住宅が隣り合わせ。鉄製の鳥居に周辺の鉄工業の気合いを感じる。突然現れる石畳から、かつてあった市場とその賑わいに思いを馳せる。そんな発見をすかさず記録する。

 

26年前の震災で大きなダメージを負った地域に残された小さな営みを訪ね歩いてるのかもしれない。残ってくれてありがとう。これからも大事にしていきたい。

 

そうして、元々楽しんでいる路地考がもっと楽しめるようになってしまった。インスタの思う壺だ。

 

インスタにつまずく、インスタにうなずく。地蔵尊につまずく、地蔵尊にうなずく。路地につまずく、路地にうなずく。

こんにちは。森本アリといいます。塩屋という神戸の西の海辺の町で、旧グッゲンハイム邸という洋館の保存活用をしています。だいたいいつも塩屋にいるので、他の場所で知り合いに会うと「異和感あるわー」と言われたりするけど、実は時間さえあれば長田区、兵庫区の地下鉄海岸線沿線付近をひたすら散歩している。何かと縁のある地域で、こどもが兵庫の「ちびくろ保育園」に通っていることもあるし、活動を始めて15年になる音楽集団「音遊びの会」の拠点も和田岬に移って3年になる。来春でこどもの保育園通いが終わってしまうので、ついでが少なくなる前に、最近は送迎の度に兵庫~長田間の通ったことのない道を一本一本開拓中。

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