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vol.18

モクモク新長田編by稲垣佳乃子

第18弾は、新長田での飲み歩きです。ゲストは、神戸の企画編集の会社KUUMAで働きながら、トリプルワークで神戸と京都、東京を行き来する稲垣佳乃子さん26歳。今回は、鉄板焼き屋さんと、ベトナム料理屋さんをはしごしました。KUUMAでは、些細なことも、みんなで深堀りすることが度々あるという稲垣さん。飲み歩き中も、様々なことに考えを巡らせます。ちょっぴり哲学な夜をお楽しみください。

文:稲垣佳乃子 写真:古本実加

 

神戸生まれ、神戸育ちの私が、東京へ向かったのが社会人1年目。そして、神戸と東京での往復生活を始めたのが社会人2年目、そして、神戸と京都、ときどき東京生活になったのが、社会人3年目。今である。毎週通っていた東京には月二回、一回と回数が減ってきていて、私は、少しずつ、自分の馴染みの深い地域である神戸へ引き戻されている。さて、飲み会の中での内容に関係するので、ここで一度私のプロフィールを紹介しておこう。稲垣佳乃子26歳。ふたご座。現在、神戸の企画編集の会社(株式会社KUUMA)で社員として働き、出版社さりげなくを立ち上げ、東京の株式会社ヘラルボニーに複業メンバーとして働いている。トリプルワークというやつである。複業いいね!なんて言われることが多いのですが、そうでもなく毎日、楽しい!と不安だ!の波を波乗りしている。

 

 

そんなこんなで、長田の飲み屋をめぐる飲み企画。誰かを誘ってもいいということで、株式会社KUUMAのボスである、れみさん(写真左側)を招いた。そして、出版社さりげなくでブックデザイナーをしている古本さん(写真撮影)をアサインし、西神戸センター街へ。ちなみに、3人で飲むのは初めて。こんな企画がなかったら、3人で飲むなんてことはなかったんじゃないだろうか。れみさんは、2歳の男の子のお母さんでもあるので、18時以降のご飯を一緒にすることはあまりなく、そして、古本さんは香川に住んでいるので、3人で飲み会は貴重な機会。私としては、かなりありがたい。わくわくだ。一軒目は『鉄板 かわしま』へ。

 

 

れみさんは、大学生のころからの付き合い。家族以外の大人で尊敬する人は?と聞かれたら名前をあげる人である。いつもポジティブで情に厚く、生き物をこよなく愛し、お酒をよくよくよく飲む。私は3杯で限界がくる。

 

一杯目は瓶ビールからスタート。

 

おすすめはなんですか?と聞いて、答えを聞いているところ。2人とも口が開いている。とりあえずのおすすめは『マグロぶつ』ということで、注文し、さっぱり食べられそうな名物の『しそ焼き』を注文。奥の鉄板でテキパキと料理を始めるお母さんと、パーマがお似合いのお母さんに声をかける。「パーマ素敵ですね〜」とれみさん。

最近、れみさんは、パーマをかけようか迷っていたらしい。知らなかった。「1年前にかけて、そのままよ〜」とお母さん。たわいもない会話が続くが、何を話していたか全く覚えていない。それが飲み会の醍醐味。ちなみに私は、髪色をピンクにしたいとここ数年ずっと思っている。そしたら最近、れみさんが髪の毛を赤色にしてきた。めちゃくちゃ羨ましい。

 

 

ふぅと落ち着いたつかのま、話出したのは、生まれ変わったら何になりたいか?という話。誰が興味あるねんと突っ込みはさておき、これも飲み会の醍醐味。誰も興味のない話を深く哲学していくのだ。「私は噴水かな」と古本さん。なんでそんな自信ありげに言うんや!!と2人で突っ込みをいれたところ、「うーん。それはなんでなんだろう。噴水ってフランスの庭園文化では、真ん中に置いて人工的に整えて左右対称の形をガチガチに作ってて。あれって支配欲の現れとかなんとか聞いたことある。ということは、古本さんも支配欲とかから来てる?」とれみさんから。

 

 

うーん、深い。深く考察していくには、一見ネタが軽いように見えるかもしれないが、こんな会話はKUUMAの中では多い。あれってどういうことだろう、これとこれは繋がりがあるんじゃないかな、なんてこともよく話す。先日、私がぎっくり腰になったとき「腰は、身体の基盤だから、土台を休めて、土台を固めろってことだって言われました」と伝えると、身体のなかの邪気が溜まりすぎると一気に放たれて痛手をおうという話になったこともあった。笑い話で終わることも多々あるが、あーなのかこーなのかとこねくり回して考えることの方が多い。れみさんの返事に対して、古本さんは、そうですね〜と言ってそのあとは、道端アンジェリカもいいっていう話になったがそのあとは、何を話していたか覚えていない。私は生まれ変わったら何になりたいだろう。考えたこともなかった。

 

 

いい匂いがしてきた、しそ焼きがもう少しで完成。

 

 

しそ焼きがおいしい。驚いた。この日の昼ごはんに14時ぐらいに行きつけの韓国料理屋さんでスンドゥブを食べてしまったので、お腹はあまり空いてなかった。「食べられなかったらどうしようどうしよう」と、道中話をしていたのだが、問題なく、お腹にするすると入っていくうまさ。他にも『白菜の漬物』と『トマトチーズ焼』そして、『どて焼きそば』も注文。笑いながら食べると、どんどんお腹が空いていく。らしい。

 

 

 

どろソースをかけていただく。濃いソースのおかげでお酒が進む進むなので、瓶ビール2本目を追加。

 

 

「そのカメラはなんや、ふたりは姉妹か」と隣から常連さんの声が。姉妹じゃないんです、ボスなんです、と私が続けると「うちのボスはこの人や!」とボス紹介をされた。ゴルフ教室の集まりで、ボスというのは先生のことらしい。有名な人だそうだ。何度か、常連さんと会話をしていると、大お母さんの登場。景品で当てたと、高い棚の上に置いてあったパネルを取り、見せてくれた。

いかなごのくぎ煮コンテストというのがなんとも地元っぽい。顔を出してください!!というと、少しだけね。という感じで出してくれた。大賞なんてもらったことないな。すごい。

 

 

お腹もいっぱいになったので、名残多く、かわしまを後にする。和やかな雰囲気のかわしま。あまり記憶にないがすごく笑ったと思う。二軒目はどこに行こうかと、近場の商店街をウロウロ。

 

 

唐突だが、小学生のときに、けん玉にハマった時期があり、とことん技ができるようになるまで挑戦を続けていた。(けん玉の他には、一輪車や鉄棒なども)ふとした瞬間にけん玉をしたくなることが増えたのでamazonで購入したところ、本日到着。けん玉衝動が抑えきれず、ポケットから取り出し開始。

 

 

ちなみにけん玉は、事務所に届くようにしていた。届いた瞬間、れみさんに得意げに披露。けん玉をやりたい気持ちを抑えきれず、仕事が手につかず、メールを打っては息抜きにけん玉。資料を作っては息抜きにけん玉を繰り返していたが、それでもれみさんは笑っていた(内心は怒っているのかもしれない…)。2店舗はあっさりがいいなぁということで、『鉄板 かわしま』からすぐ近くの、ベトナム料理『39サイゴン』へ。私はとにかくフォーにはまった時期を思い出し、今、フォーを食べたいんです!と半ば強引に、入店。

 

 

 

れみさんは、またビール。いつもひたすら、ビールを飲む。

 

 

私は、パイナップルジュース。これが驚くほどの美味しさで、一気飲みだ。ちなみにこれは、2杯目。早い。

お腹がいっぱいになったはずなのに、味が変わると、また食べられるのが、はしご酒の凄さ。2軒目は別腹という法則。フードファイターかという勢いで、食べだしていく。『生春巻き』『エビあげ春巻き』『鶏肉のフォー』を注文。

 

 

『生春巻き』をつまみに、話は、苦手なことについて。私は、人前に出て話すことが苦手である。人見知りをしないのは、しゃべるペースを相手に合わせたり、なんとなくの距離感を見つけるのが早いだけだと思っている。仕事上前にでることの方が多いので、えー絶対そんなことないでしょう、と言われるのだけれども。プレゼン、取材、打ち合わせ、実は全部緊張している。顔にはでないそうなので、緊張していることを伝えると驚かれるのもしばしばである。頑張ってやっているという感覚に近い。

 

 

「かのこちゃんが考えた企画も、自分で言いたい!!ってならないの?」とれみさん。れみさんがいるときは、ほぼプレゼンをお願いしている。とにかく、れみさんは、人前で話すのがうまい。自分の考えたものが、さらに良くなる瞬間が私は好きなんですという話をする。「そうか、適材適所だね。自分とかのこちゃんって似ているようで全然ちがうから、いつも面白いなぁと思うよ。KUUMAの社長も、必ずしも私でなくてもいいもんね。社長だってさ、かのこちゃんの方が向いてたら、かのこちゃんがKUUMAの社長やったらいいんだよ」とれみさん。おお、それは恐れ多いです。いや、れみさんでしょうよ、と私。「私が死んだときにも、KUUMAの思想とか哲学がなんか残っていくといいなぁ」それはすごいわかります、と鶏肉のフォーを頬張りながら考える。どんだけ食べるねん。

 

 

自分がいなくなったときに、残したいものってなんでしょう。思想とか、哲学とか、結局は誰かの何かを引き継ぎ、生み出しているということなんだけれども、私という媒体を介して、そのあとも続いていってほしいと強く願うもの。そんなことを考えて、今後も働きたいと思う。そして、あーだこーだ言う飲み会って、いい。

 

 

終電なので猛ダッシュ前の記念写真。歩きながらの、けん玉はできない。そして、ほとんどのことはあまり覚えていなくて、書いている内容もそのときに話した内容なのか、いつか別の場所で話をしたことなのか、もう定かではないのだが、素敵なことを話したような記憶はある。その夜の余韻が、原稿を書いている何十日後の今にも続いていて、こんな夜のおかげで、また毎日が作られていく。また3人でいきたいなぁ。

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