神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン シタマチコウベ

  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • facebook

神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン シタマチコウベ

Shitamachi NUDIE

下町の人たちのインタビュー記事です

今夜、下町で

下町の飲み歩き日記です

下町くらし不動産

物件情報やリノベーション事例を紹介します

下町日記

下町に暮らす人たちに日記を書いてもらいました

下町の店≒家

下町ならではの家みたいな店を紹介する記事です

ぶらり、下町

下町の特集記事です

下町コラム

下町の「あの人」が書く連載記事です

Shitamachi Chemistry

下町の「あの人」×「あの人」の科学反応を楽しむ企画です

下町ギャラリィ

インスタグラムで#シタマチコウベをつけている投稿を紹介します

下町日記 vol.05

suke_saku

七月十一日(日)

    この記事をシェアする

    最近の休日は妻と外食することが多い。

    今日は蕎麦を食べに行くことにした。兵庫駅の近くにあるお蕎麦屋さんで、タヌキ蕎麦が名物らしく、妻の好物のお揚げさんがボリューミーで実に食欲をそそる写真がネットに掲載されていたので、そのお店に決めた。
    しかし今日の気温は31度、店に着くころには汗だくで、温かい蕎麦なんて食べられる状態じゃなかった。タヌキは諦めて天ざるにしようかと話をしながら店に入った。
    店に入ると、昔ながらのお蕎麦屋さんらしい内装で、落ち着く雰囲気の良いお蕎麦屋さんだった。
    入る前に天ざるに決めていたので、メニューをよく見るわけでもなく、天ざると大天ざるを頼んで、店員さんが持ってきてくれたお冷を飲みながら待っていた。

    その時見てしまった。
    メニューに書かれた「冷やしタヌキ」という文字を。
    私は思わず「あ!」と声を上げてしまったが、店員さんが二人分の天ざるを持って来た。
    何も知らずにおいしそうに天ざるを食べる妻を見て、とてもじゃないが、冷やしタヌキがあったと言い出すことはできない。
    見ることのできない揚げの姿を思い浮かべていたら、さっきまでとは違う汗が首筋を伝い、海老天の味なんてわからず、私はおいしいねとつぶやくだけのロボットに成り下がった。

    店を出てもそのことを妻に言えなかった。あれは、優しさだったのか、それとも私が小心者なのか、いまだに悩み続けている。

     

    suke_saku

    1986年生まれ。長田区在住。 

    大学卒業後ドイツに留学し、芸術家を志すようになる。現在は気ままにアート作品を制作中。 

    掲載日 : 2021.07.11

      この記事をシェアする

      最新の記事

      2024.07.24

      地元民の知る和田岬編

      2024.07.19

      1人のダンサーが長屋に開いた新スペース!

      2024.07.17

      間借りから始まった工務店ならぬ縫務店

      タグ一覧

      関連記事

      2021.07.06

      七月六日(火)