朝が苦手だ。
時代的にはゆったりとしたモーニングルーティーンを優雅にこなす人々が注目を集めていて、それに憧れたりするが、アニメに描かれるパンをくわえた女の子とぶつかって恋が始まるシーンのように、現実とは違う世界の出来事のように遠く感じる。
朝は、毎日スプリントレースのようだ
8時半にアラームが鳴る。もちろんこれでは起きれない、一回目のアラームですっきり起きれたことなど人生で皆無だ。(アラームが鳴らなくて寝坊した時はすっきり起きられる。そのあと時計を見て氷水をかけられたように全身に鳥肌が立つが)
8時40分にもう一度鳴る。スヌーズ機能というやつだね、スヌーズとは居眠りという意味らしい。時間がないのに朝から居眠りとは、自分がまったくもって危機管理できない人間に思えてきた……。
気を取り直して、このタイミングで起きる。すぐに起き上ってはいけない。2年前、すぐに起き上ってぎっくり腰になったことがあった、危険なので皆もやめたほうがいい。
うつぶせになってから、尺取虫のようにゆっくりと背中を丸め、神に祈るようなポーズをとり、願う。起こしてください。起こさせてください。目覚めさせてください!と。
そして、むんずと起き上り階段を「慎重」に下りる。洗面所についたら顔を洗い、歯を磨き、服を着替え、8時50分に家を出る。
道端の公園にジャカランダの木が淡い紫色の花をつけて、見送ってくれている。
suke_saku
1986年生まれ。長田区在住。
大学卒業後ドイツに留学し、芸術家を志すようになる。現在は気ままにアート作品を制作中。
掲載日 : 2021.07.06