「職人に教わる漆喰塗りワークショップ@コミュニティサロンGnu(ヌー)」
長田区二葉町にある昭和4年に建造された旧二葉小学校「ふたば学舎」。2018年11月にその斜め向かいにコミュニティサロン「Gnu(ヌー)」がオープンしました。
今回は、「Gnu」のオープンに先駆けて開催された左官職人 人見正美さんに教わる漆喰塗りワークショップの様子をレポートします。
コミュニティサロン「Gnu(ヌー)」とは??
ワークショップの会場となった「Gnu」は、建築士 角野史和さんが代表を務めるまちづくりデザインオフィス「こと・デザイン」に併設されたコミュニティサロン。このサロンには角野さんが趣味で集めている全国各地のまち歩きマップやローカル情報誌が収蔵された私設ライブラリーも設置されており、誰でも気軽に立ち寄れる地域の交流の場になっています。元々この建物は、長田区の地場産業である「靴づくり」のミシン工場として機能していました。そのことから、ミシンで「縫う」ように情報と人が縫い合わされる場になることを願って「Gnu」と名付けたそうです。
いざ、漆喰塗り体験に挑戦!
今回のワークショップには、明石高専の学生や地域の方々7名が参加しました。講師を務めていただいたのは左官職人 人見正美さん。タイ王室の修繕工事にも携わった経験を持つベテラン職人さんです。
まずはじめに、床や漆喰を塗る壁面の養生からはじまりました。漆喰で汚れないように床は割いたゴミ袋やブルーシートで覆い、柱や天井はマスキングテープを用いて養生しました。その際、漆喰の厚みを考慮して壁面から2mmほど離して貼り付け、下の方は寝転がりながらも丁寧に養生していきました。
次は、漆喰を練る作業。
角野さんが希望するクリーム色の漆喰に仕上げるため、粉漆喰にカレー粉のような黄色のセメント石灰着色剤と水を加えて専用のミキサーで混ぜ合わせていきます。大量の漆喰を練るためかなりの力仕事。学生たちが交代しながら色むらがなくなるまで練りました。
今回使用するのは漆喰に砂を混ぜ合わせた「砂漆喰」。強度が高く、ヒビが入りにくいのが特徴だそうです。
いよいよ漆喰塗りへ。
あらかじめ人見さんに塗っていただいた下塗り材の上に漆喰を塗っていきます。下塗り材は仕上げの漆喰が下地から剥がれにくくさせる重要な役割だそう。
漆喰塗りはスピードが命。漆喰が乾いてくる前に綺麗にならさないと凸凹になってしまします。まずはお手本として新見さんに実演いただきましたが、スルスルといとも簡単そうにコテを滑らせていきます。
見よう見まねで学生たちもチャレンジしますが、コテの角度が難しいのか思うように漆喰が伸びていきません。
コテの扱いは理屈ではなく慣れるしかない、ということで四苦八苦しつつも続けること20分。最初は少しの凹凸も直そうと必死だった学生たちは、徐々にコツを掴んできたのかスピードも上がり、大胆さも増していきました。
仕上げは綺麗にならすのではなく、手でテクスチャーをつけていきます。手のひら全体を使って乾く前の漆喰に渦巻き模様や抑揚をつけ、動きのある壁面に。
私もコテと盛り板(漆喰をのせる板)を持っていざ漆喰塗りに挑戦!
まずはコテに漆喰をのせるのですがコツが必要で、漆喰が落ちてしまいそうなぐらいに盛り板を傾けてコテにのせます。一見簡単そうに見える動作も実際に挑戦してみると意外と難しく塗り出す前から関門に激突。
今度は漆喰を壁面にならしていきます。中央が分厚くならないように、口の字を書くように塗り、真ん中は最後に余った漆喰で塗ります。漆喰を薄く伸ばすコツは進行方向のコテ端を少し浮かせて角度をつけて塗ること。この手の感覚をつかむのが非常に難しく、コテの角度が甘いと、から回るばかりで伸びていかない。はたまた角度をつけすぎると漆喰が削れてしまって下地が見えてしまうのです。試行錯誤を繰り返し、担当壁面が終わる頃にようやくコツをつかみ始めました。
手が慣れはじめると黙々と作業こなす者や、喋りながら作業する者、職人の技に釘付けになる者などそれぞれが思い思いに作業を進め、完成まで約4時間。
出来上がった壁面は、担当した人によって模様の付け方が異なり、個性が際立つ味わいのある壁面となりました。
ワークショップ終了後には、角野さん行きつけのお好み焼き屋さんでプチ打ち上げ。コテを使って食べるお好み焼きは絶品でした。
BEFORE & AFTER
before
after
サロン主が趣味で集めた各地のまち歩きマップやドローカル系地元情報誌などの私設ライブラリーを併設したコミュニティサロン。開いているときはどなたでも立ち寄っていただけます。
長田区久保町8-2-3
掲載日 : 2018.12.14