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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町くらし不動産

元工場ビルに生まれた神戸最大級の撮影&レンタルスタジオ

2022.09.30

リノベーションされた空き家や空き地に伺ってリポートする不動産コラム。第17弾は、長田区若松町にある大型レンタルスタジオ「Studio HAKO」。2021年7月にオープンした空間は、神戸では最大級の約240平米という広さ。動画撮影・スチール撮影・展示会・イベントなど、幅広い利用が可能です。スタジオ内の一角にオフィスを構えて運営を行う合同会社MARUDE代表の村主靖典(むらにし やすのり)さんに、改修についてお話を伺いました。

 

元倉庫、元工場の跡地で

JR新長田駅から南西へ徒歩6分ほど。若松公園を越えたところにある「巨人ビル」の4階に、Studio HAKOはあります。スタジオ利用者は車での搬入が多いため、湊川インターチェンジから車で2分というアクセスのよさも、この物件を借りるひとつの決め手となりました。

村主さんはワンフロアを借りていて、事務所スペースは動画制作を行う「The Under Shot」の方とシェアしながら、スタジオ運営業務をサポートしてもらっているそうです。合同会社MARUDEの主な業務はグラフィックデザインですが、なぜ貸しスタジオを手がけるようになったのでしょうか。

「僕は昔、アーティストとして抽象寄りのアクリル画を描いていたので、オフィス兼スタジオというものにずっと憧れがありました。2018年に独立してから動画制作の仕事も請けていて、室内でおもしろい画が撮れたらいいなとか、場所貸しもできたら一石二鳥だなとか考えるようになって。所属している一般社団法人神戸青年会議所の先輩にいい物件がないか相談したところ、その方の持ちビルの中にあるこのフロアを紹介してもらいました」

前はスパイス屋の倉庫として、その前は靴関連の工場として使われていたというスペースにはオイルの汚れが残り、床ははがれ、インダストリアルな雰囲気が漂っています。こんなスタジオはあるようでなかった、と感じた村主さんは物件を借りることに決めました。


間取りとスペースについて

改修に掛かった日数は1ヵ月ほど。大きく手はかけず、建具と防音壁を取りつけて、ダクトレールと照明を吊るすポールを設置した程度とのこと。空間に備わっていた魅力をそのまま活かし、良質な空間に仕上がったといいます。フロアの間取りと各スペースをご紹介します。

【A Studio】
コンクリートの打ちっぱなしで、サイドはダークグレーの壁と黒革調のカーテン。Studio HAKOでもっとも大きなスタジオ空間で、大人数のモデル撮影や大型商品の撮影向き。利用例としては、ミュージックビデオやアウトドアブランドの動画撮影など。創造力を受け止める広大な空間が、クリエイターのイマジネーションを掻き立てます。

【B Studio】
日中はほぼ自然光が差し込む明るい空間。床面についた汚れは表情豊かで、時間が生み出したアートのよう。左手の大きな白壁は元からあったものだそう。アパレル商品の撮影などで使われています。

【C Studio】
白ホリゾントスタジオで、商品撮影やポートレート、クロマキー撮影など幅広く使える空間です。A Studioでシーン撮影、C Studioで物撮りといった組み合わせでの利用もオススメ。

【業務用エレベーター】
かつては倉庫として使われていたため、業務用エレベーターと店舗入り口の扉はゆったりサイズ。撮影対象物や機材が大きくても、容易に搬入・搬出できるのが利用者にとってはうれしいポイント。

 

クリエイターの背中を押す場でありたい

今後はファッションショーや作家の展示会、映画の撮影にも利用してもらいたい、と村主さんは考えています。Bluetoothスピーカーやアナログミキサー、照明機材、スモークマシーンにカメラまで、撮影に必要な物はそろっていて、有料で借りることができます。

「Studio HAKOのオフィスには、グラフィックデザイナーも動画クリエイターもいます。プロデュースしてほしい、絵を描いてほしい、デザインしてほしいなど、気軽にご相談ください。学生さんでもフラッとお越しいただいて構いません。クリエイティブな活動を後押しできる場所になれたらと思います」

Studio HAKOでは見学を随時受け付けています。まだつくりたいものの形が定まっていない方でも、足を運ぶことで発想が広がるはず。オフィス兼スタジオに憧れている方も、ぜひ訪ねてみてください。

 

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