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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

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平井陽さんが選んだ3冊

2020.06.10

STAYHOME特別企画「下町選書」第6弾では、平井陽さんに本を選んでいただきました。建設会社に勤める平井さんは、和田岬にある「カルチア食堂」や、西出町の「ニューヤスダヤ」などの空きビル改修を仲間たちと手掛けた、このまちのDIY実践者。「カルチア食堂」をつくる原動力となった本や、影響を受けた本の紹介から、平井さんのルーツが垣間見えます。

生きること、暮らすこと、カルチア食堂の原動力?

『TOKYO0円ハウス0円生活』

著者:坂口恭平

出版社:大和書房

僕は同郷の仲島義人と2010年頃から一緒に絵を描いて展示したり、イベントを催したりと、自由な活動を続けてきて、そのあと和田岬にカルチア食堂をつくりました。屋台なども色々手作りしたりと、好きなようにやってきたわけですが、その原点とも言えるのが、坂口恭平さんの活動なのです。まあ、とにかく影響を受けまくり、熱狂でした。

恭平さんの著作や活動には、こんな自由な生き方があるんだとか、お金がなくても幸福に暮らせるんだとか、世の中の見方をグルっと変えてくれる驚きと発見があり、その一つ一つに心動かされてきました。多くの著作から今回この本を選んだのは、はじめて知った頃で衝撃が大きかったということ。『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』や『独立国家のつくりかた』、画集『思考都市』も、当時熱狂した本としておすすめです。

音楽や絵も素晴らしいので、ライブや絵の展示にも何度か行ったものです。楽しく生きる原動力として、これからも勝手ながら慕い続けることでしょう。

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圧倒的天才のあしあとを辿る

『空海の風景』

著者:司馬遼太郎

出版社:中央公論社(中公文庫)

もともと寺巡りが好きだったり、チベットを放浪してポタラ宮に感動するなど、仏教とか密教とかに何となく興味はありました。そんな中で出会った一冊。

空海という天才の生き方・思想は衝撃的で、宇宙の原理とも言えるスケールの大きさから、当時ちまちまとこの世を生きている自分がバカらしく辛くもなったほどです。

この物語の空海の行動やセリフには想像からくるものも当然多くあるのだろうけれど、それでも鮮やかに、その天才ぶり或いは人間くささをリアルに体感できるもので、その描き方にも興奮しました。影響を受けてそのまま、年末に寒い高野山を訪れて宿坊で年越ししたほどです。

そう言えば当時、Parov Stelarの音楽を聴きながらこの本を読んでいました。すごい組み合わせ。ストーリーが何倍にも劇的なものとして伝わってくる(気がする)ので、おすすめの読み方です。

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ただただその線に惚れては読み返す

『ピンポン』

著者:松本大洋

出版社:小学館

まず最初のページめくってみ?この色鉛筆のタッチよ。ゆるい線画の美しさ、いいや、味わい。パースのきいた建物、風景。たびたび思い返される名言。ハナタレのぬかす常套句だ。血へどはくまで走りこめ。反応、反射、音速、高速。

学生時代に、例えば何かの課題にぶちあたって行き詰ったときなど、アイデアも浮かばず、やる気も出ず、ひたすら悩んでたとき、ピーンと創作意欲をもらってたのが大洋さんの『ピンポン』です。まず映画、それから漫画、そしてアニメ、という順番で見ました。一番影響受けたのが、漫画版なのですね。とにかくこのタッチが好きで、マネして色々描いてみたものです(『ピンポン』以外の画集なども含め)。

あわせて、これは必須で言わせてもらいたいのが、映画版での「スーパーカー」の音楽です。とにかく好きで、岡山で中高生過ごしてた頃、姉のカセットテープから勝手に聴いていました。はじめの恭平さんの選書にループしますが、大洋さんもスーパーカーもカルチア食堂の原動力です。(詳しくは仲島か平井にお問い合わせください。本という括りを外せば、もっと色々あります。野外演劇とかね。)

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皆さまお元気ですか?ありがたいことに、僕は元気でやってます。こんな状況だからこそ、温もりを感じることが増えました。みんな、通販やテイクアウトのとき、好きな(支えたい)お店を厳選するようになりましたね?普段とらないコミュニケーションが増えましたね?健康を意識するようになったね?なってない?
これを機によい世の中になる気がしてならない。楽観的。

休日のおすすめの過ごした方は、DIYです!(本でなくて、ごめん。)作業の続きに入りますので、ここらへんで。

 

 

 

 

つくる人

平井陽さん

岡山県津山生まれ。大阪の建築会社勤務。2013年、和田岬にある「カルチア食堂」のビル改修をきっかけに神戸に移住。「カルチア食堂」隣の元釣具屋ビルの改修プロジェクトを主導。その後、兵庫区西出町にある元老舗居酒屋「ヤスダヤ」のビルを購入、暮らしながら改装する空きビル生活を実践し、神戸R不動産の助けも借りつつスパイス酒場「ニューヤスダヤ」を誘致。現在はその近所でまた、新居となる空き家リノベーションを計画中なのだとか。

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