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2020.05.12

横堀ふみさんが選んだ3冊

STAYHOME特別企画「下町選書」、第二弾としてご紹介するのは、NPO法人DANCEBOXでプログラム・ディレクターを務める横堀ふみさんです。多文化が混在するまち新長田で、地域、歴史、習慣など、独自の切り口からアートプロジェクトを立ち上げています。また、横堀さんは、今年の1月に一箱古本市&アートマルシェ「新長田日和」を開催した、下町に暮らす本好きの一人。そんな横堀さんにオススメの本を教えていただきました。

自宅が図書館になるなんて、考えてもいなかった

『彼岸の図書館—ぼくたちの「移住」のかたち』

著者:青木真兵・海青子

出版社:夕書房

ここ2、3年のあいだ、“住み開き”について考えている。“住み開き”という言葉はずっと前から聞こえていたが、するっと通り過ぎていた。それが変わってきたのが、新長田でいろんな人々の暮らしに触れ、もしかして今の私たちの家族にとって、住み開くことで何かが動き出すかもしれないと思ったのだった。私も旦那も引きこもり体質。しかも、今住んでいる家は到底誰も招待することが出来ない程、狭くてモノに溢れている。さらに、二人とも掃除も片付けも大の苦手。向いていない三条件が揃っている。それでも、惹かれるものがある。その理由の数々がこの本に紡がれているように思う。個の場を開くことで、家族ひとりひとりを活かすことになる直感があるのだ。

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私は隣の家の人が何を食べているのか知らない

『故郷の味は海をこえて—「難民」として日本に生きる』

著者:安田菜津紀

出版社:ポプラ社

今年のお正月に実家近くの本屋さんで見つけた一冊。児童書コーナーで平積されていて即買い。日本では、私の暮らしのすぐ隣に「難民」として生きている人々や家族の暮らしがあることを、知らなければずっと知らずにいる社会構造になっている。この本では、日本に暮らす人々による、7つの地域をルーツとした故郷の味が登場する。様々な記憶や思い出の詰まった故郷の味を通して、故郷での暮らしや、今の日本での暮らしについて紐解く。写真も豊富に掲載されていて、いろんな情景が目に浮かぶ。あぁ、どのご飯も食べてみたい。そして、そのご飯の背景にあることを、もっともっと知りたいと思うのだ。

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(本文抜粋)観せるのが主ではなく、自らがたのしむのが主でありたい。

『家庭用児童劇』

著者:坪内逍遥

出版社:ほるぷ出版

編集部からは手に入りやすい書籍を…という要望があったのだが、元町の古本屋さんで見つけた貴重な書籍を紹介させて頂く。日本の近代文学の成立に大きな影響を及ぼした坪内逍遥によって記された、大正11年に出版『家庭用児童劇』の復刻版(昭和48年に出版)。ちなみに、大正11年は1922年、今から98年前である。12の児童劇の台本が収録され、これらの台本は家庭の中で(会場は自宅で、出演者は子どもたちが中心に)上演する事が前提となっている。当時、この台本を自宅で上演した家族がどれほどあったのか全く想像できないけど、約100年前にこんな事を考えて出版までしてしまう作家がいたことが面白い。どなたか、自宅で、児童劇を上演してみたい方いらっしゃいませんか? この本を一緒に楽しんでくださる方を募集します!

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自宅待機も長くなると、三食のご飯に対しての家族の一喜一憂があらわになり、食事の準備がなかなかのプレッシャー。また、家族だけで自宅に引き籠っていると、風通しが悪く、些細な事でも火花が飛び散る。暮らしには、いつだって他者が必要なんだと実感する。そんな事を思いながら選んだ三冊です。

NPO法人DANCEBOX | プログラム・ディレクター

横堀ふみさん

神戸・新長田在住。劇場Art Theater dB神戸を拠点に、滞在制作を経て上演する流れを軸に、ダンスを中心としたプログラム展開を行う。同時に、アジアの様々な地域をルーツにもつ多文化が混在する新長田にて、独自のアジア展開を志向する。ベトナム人の夫をもち、一児の母でもある。

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