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髙木晴香さん

高木晴香が選んだ3冊

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    STAYHOME特別企画「下町選書」、第一弾として本を紹介するのは、シタマチコウベでライターを務める高木晴香です。神戸の大学に通いながら、シタマチコウベのライターやSNSの“中の人”として活動中。また、古本と下町が好きで、昨年には和田岬で「和田岬一箱古本市」を企画するなど、地域の中でも活動しています。そんな髙木晴香のオススメ3冊、ご覧ください。

    生活を楽しくするヒントが詰まった

    『深夜夜行バスに100回くらい乗って分かったこと』

    著者:スズキナオ
    出版社:スタンド・ブックス

    外出自粛以降、数日経って自宅での生活に飽きてきた頃に、私が敬愛するライターのスズキナオさんが書いているとあって手にとったこの本。スズキさんはフリーライターなのだが、「チェアリング」という町中どこでも自分の場所にしてしまうというすごい発明をした方。裏輪呑みというアンダーグラウンド呑みと同じ匂いを感じさせるこの発明は、巷を賑わしている。(詳しくはgoogleで検索してください。)本作は、そんな天才スズキさんが日常の中で素通りしてしまうような出来事や景色を心ゆくまで探求した記録集となっている。きっと分かる人には分かるこの魅力。町歩きや町のディープスポット好きな方、一見くだらないことを全力で楽しむのが好きな方へオススメです。ちなみに、シタマチコウベでお馴染みの「中畑商店」さん、「木下酒店」さん、「淡路屋」さんも登場しているのでお楽しみに。

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    “あるべき姿なんてない”のかも

    『違国日記』

    著者:ヤマシタトモコ
    出版社:祥伝社

    異国じゃありません。違国です。これは、35歳の独身女性と15歳の女子が共同生活を突然開始し、その価値観の違いやなんやかんやが本当に違国だってこと。この突然の共同生活で登場人物が向き合ったのは、相手ではなく自分。私たちが社会の中で、家族の中で、それぞれのコミュニティで求められている“あなたらしさ”と、自身とのギャップ。大人になって、無意識に周りに合わせることを覚えた私たちに、新鮮な問いを投げかけてくれます。コロナで変わらざるを得ない社会の中で、私たちも少し自分と向き合う時間を作って、見直してみることはあるんじゃないか。生活感あふれる描写は穏やかに。心に染みるシリーズ。

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    究極のグルメレポート、いや、人生。

    『ハイパーハードボイルドグルメリポート』

    著者:上田遼平
    出版社:朝日新聞出版

    最後にご紹介するのは、テレビ東京の番組が本になったという本作。番組のことを知らなかったので、本で初めて知ったのですが、本当にびっくりしました。いわゆるグルメレポート兼海外案内番組じゃありません。世界のなんとかキューみたいな笑いではありません。シリアスです。だって、取材先はロシアのカルト村、台湾のマフィア、リベリアの元少年兵たち、ケニアのゴミ山。こんなパンチの効いた場所で、そりゃきっと危険で、デンジャラスで面白いんでしょう。となめてかかったら、全然違う。その向こうにあったのは、グルメリポートの真髄、食べること=生きること。グルメリポートから生とは何かが見えてきます。最後に、King Gnuの井口理さんの言葉を借ります。「貧しくても、罪人でも、女でも男でも、みんな等しく平等に食べて生きている。おれたちみんな血の通った人間なんだと教えてくれる。すげー。」

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    仕事も授業もリモートで行われるようになり、初めは慣れない思いをしましたが、慣れてきた最近。でも、3週間延期ということで、これからの家で過ごす時間をどう楽しむか、考えているところです。コロナで刻々と状況が変化している中で、私たちも変化が求められている。そんな時に、本は新たな視点をもたらしてくれるものだと思います。ぜひ、この機会にお気に入りの1冊を見つけてみてください。

     

     

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    髙木晴香さん

    1998年生まれ。徳島県出身。 2017年神戸大学国際人間科学部グローバル文化学科入学。 アートマネジメントを専攻。 在学中にインターンとして、下町芸術祭プレイベント「KOBEMEME」に携わる。 翌年の下町芸術祭2019では、こてヘッドを担当。 同年の春よりDORでアルバイトを始め、企画・編集の面白さを学ぶ。 気になる分野は「本屋さん」「メディア」「人権」「台湾」「暮らし」。

    掲載日 : 2020.05.04

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