怒涛のスケジュール、と言っていいのだろうか。
最近、神戸・東京の往復が多くなり東京から帰った次の日はダンス留学のメンバーが「おかえり」と言ってくれるようになった。
国内ダンス留学では3組の振付家を招いて作品を上演するプログラムがあり、クリスマスに上演する森下真紀さんが最後の振付家となる。
今日もその上演に向けたリハーサルだった。
真紀さんの創作はいつも、丁寧な身体づくりではなく「楽しむ」ことから始まる。
ひたすら「ポイン」と鳴り続ける音楽でジャンプしたり、名前にメロディをつけて歌ったり、腹の底から大声で自己紹介をすることもある。
いくつもの引き出しに毎回まんまと乗せられ、いつの間にか全員大笑いして創作が始まっていく。
今回踊る森下真紀さん振付の公演「ベートーヴェン交響曲第九番を踊る」は、真紀さんが一度上演した「第九」をベースに全4楽章すべてを踊ることになっている。
驚くほど緻密で素早い振付を踊ったり、反対に技術よりもシンプルにパワーだ!という大胆でむき出しのエネルギーで踊ったりする。
この作品を見れば、クリスマスのお祝いムードどころか人間賛歌まで到達するほどの膨大なエネルギーを劇場で体験できる。
簡単に言うと、きっと元気がもらえる。
コロナ禍で溜まる鬱憤をこの日だけは笑いに変えに劇場へ来てほしい。
森脇 康貴|ダンサー・俳優
大阪府出身、神戸市長田区在住。立命館大学文学部哲学倫理学専攻卒業。在学中より演劇を始め、京都を拠点にミクストメディアな作品を発表し続ける劇団「安住の地」で俳優として活動中。観客の想像を遠くまで連れていける身体の存在に強く惹かれ、「国内ダンス留学@神戸」に参加。見る人の心に「言葉や意味になる前の風景」が立ち上がる現象を踊りと考え、目に見える身体を介して空間に新たに見えてくるものを探求している。
掲載日 : 2022.12.15