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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

森脇康貴

十二月二日(金)

2022.12.14

今日は2週間ぶりのやすみだった。

熟睡。

でもまだ体の奥のほうで疲労の黒い塊が両手を広げて居座っているのを感じる。
気分を変えるために外に出ることにした。

よく喫茶店で作業をする。
喫茶店ではだいたい脚本を読んだり、たまに貰うHPやフライヤー作成の仕事の時間に当てたりしている。

今日は家の近くにある喫茶ミルというところへ行った。
しばらく店内で過ごしていると、2人ずつだった会話が、店員を含めた店内全員での会話になっている。

さらに家族連れがやってきて一気に店の席が埋まる。
すごい活気だ。

そんななかふと隣の席の人を見ると、とても美味しそうなピラフを食べているのが目に入った。
よくあるチェーン店だとトーストやパスタしか頼めないのでコーヒーだけのつもりだったのに、思わず注文してしまった。

やってきたピラフは鉄板の上でジュージューと音が鳴っている。
そんなピラフは、食べると身体の疲れを忘れさせる美味しさだった。

出演する公演の稽古が佳境に入る。

今回は生物たちの「いきのこり」を描いたとても大きなスケールの話だ。
でもただの動物の話ではない。
いま世界で起きていることや自分たちの半径5m以内で起きている些細な諍いも描く超大作だ。

夜に新神戸から東京へ向かう。

いきのこりたい。

登場人物

森脇 康貴|ダンサー・俳優

大阪府出身、神戸市長田区在住。立命館大学文学部哲学倫理学専攻卒業。在学中より演劇を始め、京都を拠点にミクストメディアな作品を発表し続ける劇団「安住の地」で俳優として活動中。観客の想像を遠くまで連れていける身体の存在に強く惹かれ、「国内ダンス留学@神戸」に参加。見る人の心に「言葉や意味になる前の風景」が立ち上がる現象を踊りと考え、目に見える身体を介して空間に新たに見えてくるものを探求している。

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