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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

上園瑠佳

九月二十日(火)

2022.10.13

東京の友だちが神戸にやってきた。我が家に1泊だけする予定が2泊に。台風が来るということで、3日目は始発で帰って行った。3泊目は、ないか。よく食べてよく飲んで色んな人に会った2日間だった。

神戸でできたカメラマンの友だちが東京の友だちが持ち歩いてるピカチュウ(みたいなもの)のアー写を撮っていて、え、なんで?ってなった。

東京にいる時は部屋の鍵を閉めていなかった。そのおかげで私がどこかに泊まりに行っていても、友人の誰かしらが私の部屋にいた。

六畳の狭い部屋に、二人掛けのソファ。もう誰のものかもわからないTシャツが洗濯籠に入っている。タコ足配線。歯ブラシは10本あって、布団は一個しかないのに最大5人泊まったことがあるあの家。人数が多すぎて私が他の友人の家に泊まりに行ったことすらある。

(東京で住んでた家)

(現在住んでいる家)

姦しい友だちがいない部屋は風を叩く窓の音が深く響く。みんなが帰った日は、もう友だちの溜まり場になることはないこの家でずっと過ごしていた。午前2時ごろから外に出ると来ていたはずの台風はとっくに居なくなっていた。風は夏をめくって、秋の章へ連れて行こうとしている。涼しい。すこし歩くことにした。

ノエビアスタジアムの芝生広場は、なんかの訓練所みたいな感じがして好き。なんのって聞かれてもわからない。なんとなく、誰かがこの場所で、泥臭くなどない、わたしが一生味わうことのない映画みたいに美しい努力をしている気がするのだ。いつまでも居れそうだったが、明日からの仕事を思って家に帰った。

登場人物

上園瑠佳|派遣社員

東京都大田区出身。2021年3月旅行で来た際に神戸に一目惚れをし、2022年6月に転居。憧れの神戸市民デビューを果たす。現在はスーパーの店員に派遣社員として従事している。レジを打つのが速い。レジを打つ時間が来ることを心の中で「ゾーンに入る」と呼んでいる。本とお酒と散歩と音楽と好きな人たちに会うために働いている。それ以上でも以下でもない。
note: https://note.com/pekezooono

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