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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

人が集い生まれた和田岬のニューカルチャースポット

兵庫区和田岬、兵庫運河に囲まれたこの町は、古くから造船業が盛んで沿岸部には三菱重工や川崎重工をはじめとした多くの工場が立ち並んでいます。地下鉄海岸線「和田岬」駅のすぐ近くには笠松商店街や工場で働く人々が愛する老舗食堂や酒場が点在し、懐かしい下町の佇まいが垣間見えます。そんなこの町に2014年にオープンした創作居酒屋「カルチア食堂」。築50年ほどのビルにできた「カルチア食堂」は、岡山県出身の幼なじみ二人、料理人の仲島義人さんと建築士の平井陽さんによって手作りで作られました。オープンした翌年の2015年には、「カルチア食堂」のお客さんとともに隣接した3階建ての元釣具屋ビル「となりビルヂング」の改修をはじめ、約1年で完成。現在、「カルチア食堂」の2階は常連さんの住居となり、3階には仲島さんが住んでいます。「となりのビルヂング」の2・3階は、デザイナーの住居兼事務所となり、1階はオープンスペースとしてイベントなどで使われています。

 

 

 

街を耕すビル | みんなでつくろう

本記事はこうべ空き家活用支援事業サイト「みんなでつくろう」より抜粋し掲載しております。

 

 

 

Q どんな建物を改装したの?しているの?

建物2棟なんですが、どちらも築45年ほどの3階建ての小さなビルです。最初に1棟目の1階にカルチア食堂を作って、経営が軌道に乗ってきた頃に、3階の空きスペースを改装して、アトリエ・ギャラリー「余白と公房」を作りました。

それから翌年、空き家だった隣の建物まで借りてしまって、3階は住居、2階は写真スタジオ、1階の用途はまだ決まってませんが、ただ今改装中です。突然和田岬にふざけた食堂兼酒場をオープンしたかと思うと、2棟目まで借りて改装始めたわけで。地元からは好奇の目で見られています。

 

 

物件概要 延床面積約100平米/鉄骨造3階建(カルチア食堂のビルヂング)、となりのビルヂングともにほぼ同じ)
かかった日数 カルチア食堂:4ヶ月 / 余白と公房:1ヶ月 / となりのビルヂング:2ヶ月〜(現在も改装中)
お金のこと [改装費] カルチア食堂:250万円(設備工事、厨房機器含む) / 余白と公房:20万円 / となりのビルヂング:200万円(既存解体撤去、設備工事含む)

 

 

Q なぜこの場所・この建物だったの?

和田岬の耕し甲斐のある土地柄にひかれました。

なおかつ、たまたま空いていたこの3階建てのビルヂングですよ!3階もあったら店だけじゃなく色々できるがん!和田岬ええがん!と。直感なんですが、間違ってなかったです。

【余白】、これ芸工大の松山君が見つけてくれたキーワードで、気に入っとるけん使っとんですが、少し寂れた感じ、空き家の多いこの町に、僕らが入り込んで楽しくやっていける余白を感じてました。あと平井は空海が好きなんで、和田岬については「大輪田の泊!」とか言って喜んでました。

建物ごと借りることでイメージがぐんぐん広がって、2階に平井が移り住んだり、3階を改装してギャラリーにしてみたり。色々可能性があるんで、視野が広がりました。隣の建物まで借りるという発想も、その流れですね。

少しリアルな部分に触れると、家賃が驚くほど安いのも魅力です。「カルチアのビルヂング」は3階建てですが、おそらく都内のちょっとしたワンルームくらいの家賃です。「となりのビルヂング」に至っては、三ノ宮のちょっとしたワンルームより安いですね。寛大な大家さんあってのことですが。

 

 

 

Q お気に入りの部分はどこ?

 

好きなものを好きなように組み合わせて作ってるんで、全てに愛着がありますが。

例えばテーブルや棚なんかも作ってみたら意外と上手くいったんで、調子づいてタイル貼ったりモルタル塗ったり。けっこうその場の勢いだったりするんですけど。友人の厚意で色んな種類のタイルを大量に入手できたんで、厨房内についてはタイルでかなり自由に遊んでます。息子に自由に貼らせたりして。

あととなりのビルヂングですが、もう釣具屋ではないけど、正面に掲げられた「釣具」の看板はしばらくそのままにしておきたいなあと思っています。この写真はその解体・改装チーム、名付けて“カルチア交芸団”です。後ろの「釣具」、ええ感じでしょ。

 

DIYについてもっと知る

 

 

 

ビフォーアフター | みんなでつくろう

BEFORE

 

 

AFTER

DIY プロセスをもっと見る

 

 

 

つくった人

仲島義人さん・平井陽さんについてもっと知りたい方はこちら

 

カルチア食堂 仲島義人さん「酒場のマスターだからこそ出会えた、和田岬の町」

 

 

 

ヤスダヤビル家主/つくる人 平井陽さん 「週末だけでつくりだす豊かな空間と空きビル生活の実践」

職人に教わる漆喰塗りワークショップ@コミュニティサロンGnu(ヌー)

「職人に教わる漆喰塗りワークショップ@コミュニティサロンGnu(ヌー)」

長田区二葉町にある昭和4年に建造された旧二葉小学校「ふたば学舎」。2018年11月にその斜め向かいにコミュニティサロン「Gnu(ヌー)」がオープンしました。

今回は、「Gnu」のオープンに先駆けて開催された左官職人 人見正美さんに教わる漆喰塗りワークショップの様子をレポートします。

 

 

 

コミュニティサロン「Gnu(ヌー)」とは??

ワークショップの会場となった「Gnu」は、建築士 角野史和さんが代表を務めるまちづくりデザインオフィス「こと・デザイン」に併設されたコミュニティサロン。このサロンには角野さんが趣味で集めている全国各地のまち歩きマップやローカル情報誌が収蔵された私設ライブラリーも設置されており、誰でも気軽に立ち寄れる地域の交流の場になっています。元々この建物は、長田区の地場産業である「靴づくり」のミシン工場として機能していました。そのことから、ミシンで「縫う」ように情報と人が縫い合わされる場になることを願って「Gnu」と名付けたそうです。

 

 

 

いざ、漆喰塗り体験に挑戦!

今回のワークショップには、明石高専の学生や地域の方々7名が参加しました。講師を務めていただいたのは左官職人 人見正美さん。タイ王室の修繕工事にも携わった経験を持つベテラン職人さんです。

まずはじめに、床や漆喰を塗る壁面の養生からはじまりました。漆喰で汚れないように床は割いたゴミ袋やブルーシートで覆い、柱や天井はマスキングテープを用いて養生しました。その際、漆喰の厚みを考慮して壁面から2mmほど離して貼り付け、下の方は寝転がりながらも丁寧に養生していきました。

次は、漆喰を練る作業。

角野さんが希望するクリーム色の漆喰に仕上げるため、粉漆喰にカレー粉のような黄色のセメント石灰着色剤と水を加えて専用のミキサーで混ぜ合わせていきます。大量の漆喰を練るためかなりの力仕事。学生たちが交代しながら色むらがなくなるまで練りました。

今回使用するのは漆喰に砂を混ぜ合わせた「砂漆喰」。強度が高く、ヒビが入りにくいのが特徴だそうです。

いよいよ漆喰塗りへ。

あらかじめ人見さんに塗っていただいた下塗り材の上に漆喰を塗っていきます。下塗り材は仕上げの漆喰が下地から剥がれにくくさせる重要な役割だそう。

 

漆喰塗りはスピードが命。漆喰が乾いてくる前に綺麗にならさないと凸凹になってしまします。まずはお手本として新見さんに実演いただきましたが、スルスルといとも簡単そうにコテを滑らせていきます。

 

 

見よう見まねで学生たちもチャレンジしますが、コテの角度が難しいのか思うように漆喰が伸びていきません。

コテの扱いは理屈ではなく慣れるしかない、ということで四苦八苦しつつも続けること20分。最初は少しの凹凸も直そうと必死だった学生たちは、徐々にコツを掴んできたのかスピードも上がり、大胆さも増していきました。

仕上げは綺麗にならすのではなく、手でテクスチャーをつけていきます。手のひら全体を使って乾く前の漆喰に渦巻き模様や抑揚をつけ、動きのある壁面に。

私もコテと盛り板(漆喰をのせる板)を持っていざ漆喰塗りに挑戦!

まずはコテに漆喰をのせるのですがコツが必要で、漆喰が落ちてしまいそうなぐらいに盛り板を傾けてコテにのせます。一見簡単そうに見える動作も実際に挑戦してみると意外と難しく塗り出す前から関門に激突。

今度は漆喰を壁面にならしていきます。中央が分厚くならないように、口の字を書くように塗り、真ん中は最後に余った漆喰で塗ります。漆喰を薄く伸ばすコツは進行方向のコテ端を少し浮かせて角度をつけて塗ること。この手の感覚をつかむのが非常に難しく、コテの角度が甘いと、から回るばかりで伸びていかない。はたまた角度をつけすぎると漆喰が削れてしまって下地が見えてしまうのです。試行錯誤を繰り返し、担当壁面が終わる頃にようやくコツをつかみ始めました。

手が慣れはじめると黙々と作業こなす者や、喋りながら作業する者、職人の技に釘付けになる者などそれぞれが思い思いに作業を進め、完成まで約4時間。

出来上がった壁面は、担当した人によって模様の付け方が異なり、個性が際立つ味わいのある壁面となりました。

ワークショップ終了後には、角野さん行きつけのお好み焼き屋さんでプチ打ち上げ。コテを使って食べるお好み焼きは絶品でした。

 

 

 

BEFORE & AFTER

before

 

after

 

サロン主が趣味で集めた各地のまち歩きマップやドローカル系地元情報誌などの私設ライブラリーを併設したコミュニティサロン。開いているときはどなたでも立ち寄っていただけます。

長田区久保町8-2-3