• twitter
  • Instagram
  • facebook

神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

週刊下町日和

中元俊介 1st week

2020.05.29

週間下町日和、第9弾にご登場いただいたのは中元俊介さん。1986年生まれ 画家・芸術家。大阪芸術大学卒業後、ドイツへ留学。流れ流れて現在は新長田に寄生中。

 

皆さん毎度、始めまして。こんにちは、こんばんは。中元俊介と言います。

4週にわたって僕の作った作品と、しがない文章を綴りますので、しばらくお付き合いしていただければ幸いです。

 

さて、、、

 

僕は抽象画を描いています。抽象画というと「あぁ、あのわけ分からんやつね」と多くの人が思っているんではないでしょうか。

 

 

ということで今回は、何でそんなわけ分からんもんを好き好んで描いているかということを書いていこうかと思います。

一言で言えば、わけの分からないもの中毒です。

 

 

夕方の空の色の移り変わりを見て、綺麗だなって思うでしょ?

 

でもなんで綺麗に見えるのかは分からない。色が綺麗なのか、雲の形が面白いのか、恋する人と一緒に見たからか、どうしようもなく孤独を感じた後だったからか。

わけ分からん。でも綺麗。

 

初めて人を好きになった時も。

 

笑顔がポートレート写真のように頭から離れない。話しても話しても話題が尽きず、周りは暗くなっていくのに、どうしても足が帰路に向かない。眠る前に奇声を発しながら布団の上をゴロゴロ転がる。

わけ分からん。でも楽しい。

 

小さな幸せも。

 

朝入れるコーヒーがいつもより美味しく感じる。おつりの額が888円。遠くの公園から子供の声が聞こえる。友達の肩にテントウムシがとまる。バターの匂いがする。

 

わけ分からん。でもうれしい。

 

 

そんな、わけの分からないものが大きな意味を持って、生きる活力を燃やそうとしているように僕は感じます。

 

わけが分からなくてイライラすることや不安になることもいっぱいあるけど、わけが分からないからワクワクするものや魅力的に感じるものもたくさんある。

 

わけ分からんけど、なんか良い。そんなふうに思ってもらえるものを作りたいと思って絵を描いています。

 

 

今回の作品は「グリッドシリーズ」。ドイツで暮らしていたときにエレクトロニカミュージックに影響を受けて描いたものを、新長田に来てからもう一度描き直したものです。それを下町の路地の中の色々なスポットに配置して撮影してきました。

 

背景がモヤーっとして、四角がいっぱいあって目がチカチカするけど、また見てしまう。わけ分からんでしょ?でも良いと思ってもらえるとうれしい。

 

あなたの生活の中に、わけの分からないものの居場所を少しでも提供できれば幸いです。

 

 

 

 

 

《5月紹介》下町日和、第9弾は、画家・芸術家の中元俊介さん。 1986年生まれ 画家・芸術家 大阪芸術大学卒業後、ドイツへ留学。流れ流れて現在は新長田に寄生中。

週刊下町日和 一覧へ