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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

ゴー!ゴー!ハーバーランド編 by富田祐介・藤田祥子:後編

vol.20

2020.02.05

今宵は前編に引き続き、ハーバーランド駅周辺での飲み歩きです。ゲストは淡路島在住のライター、藤田祥子さん。「今夜、シタマチで。」史上最多の7軒はしごを目指して、お昼から下町を巡っています。そんな彼女たちの長旅を、とにてお届け。果たして記録達成なるか?陽気な吞兵衛たちの挑戦を見届けましょう。

文:藤田祥子 写真:横山佳奈恵

 

<前編>はこちらから

菊池のお父さん、お母さん、常連さんのお兄さんに別れを告げ、次に目指したのは「中畑商店」です。そう、出戻りです笑。今度は店内に入ってみんなと話ができたらいいなぁ。なんて言いながら稲荷市場へと戻ります。


ひかり

すると前編でお邪魔したひかりの娘さんが「あら、帰ってきたんやね、角打ちどやった~?」と窓から声をかけてくれます。帰ってきたことがちょっと恥ずかしく、照れながらご挨拶。


中畑商店

すると「お!三宗くんやん!」と、トミー。前編でご紹介したのですが稲荷市場に拠点を置き、この商店街を見守り続けている「salon i’ma」の三宗さんとその家族が、中畑商店にいらっしゃいました。

お店のお父さんとお母さんと三宗さん一家は本当の家族のよう。三宗さんの娘さんも呑兵衛たちを横目におやつをもぐもぐ。その姿をニコニコと見つめる店内の人々たちの様子は、なんだかぐっとくるものがあります。ささ、酔っぱらいの涙腺が緩む前に、お目当ての熱燗を注文。久々の嬉しい再会に乾杯です。

店に居合わせた常連のお兄さんが、またまた声をかけてくれて、お店のことを教えてくれます。「ここは朝の9時半にオープンして、朝からみんな飲むんや。僕も仕事帰り、週に6日は来てるで」。

これまでのお店を振り返ってみても、どのお店も常連さんが話しかけてくれました。ゆっくりのんびり、17時からの時間を楽しんでいて、その楽しみ方ってええやろ?って感じで見せてくれる。これが下町っていうんかなぁ。

そろそろ私もええ感じになってきました。ここで取ったメモには「ええ感じやけど、記憶があいまい」と残していました笑。

三宗さん一家や常連さんたちに今回の呑み歩きの企画の話をしていたら「スパイスのお店は行っとき!」と。そうそうハーナちゃんも神戸駅で中畑商店とニューヤスダヤはおさえたいと話してくれていたのでした。

というわけで次なる6軒目のお店は「ニューヤスダヤ」に決定。

「私達7軒は行かないとだめなんで!」何に責め立てられているのか、もはやわからない台詞を残し、みんなとお別れ。三宗さんの娘さんが何度もお店から出てきて追いかけてきてくれて手を降ってくれる姿に、またまた胸をきゅっと締め付けられながら、稲荷商店街を後にしたのでした。

稲荷市場、またこよう。みなさんも、ぜひ。

フラフラとした足取りの3人と、シラフでシャキと歩くかなえちゃん。大衆スパイスに近づくと……。なんと、閉店時間を過ぎていました。看板は真っ暗。

「あーっ、他のお店で呑みすぎたか!!」と猛省。とはいえ瞬時に切り直しが効くのが呑兵衛たちのいいところ。

「よし、開拓しようぜ!」とリーダーのトミーもいつもの調子がでてきました。どうしようかなぁなんて歩いていると、検索するよりも早く店が見つかります。次なるお店はお寿司屋さんの「義」。


こちらも平日の夜というのに常連さんで店内は満席。なんとか4人分の席をあけていただいて、着席。もう、何度目かわからない、乾杯っ!

「酔っ払うと途中でお寿司はさみたくなるよなぁ……」セレブ発言のトミーが注文したのは、穴きゅうとかっぱ巻き。(あ、よかった、安くつく人で笑。)

さすがに6軒目となるとお腹もいっぱいになってきましたが、ついつい美味しそうなつまみには心がゆらぎます。巻物以外に、白子ポン酢とお任せで寿司の握り8貫をオーダー。(お腹いっぱいちゃうんか!笑。)

ここでまたまたかなえちゃんのカメラが常連さんの注目を集めます。かなえちゃんがファインダーをのぞくと、寿司を握る大将もビシーッとカメラ目線でサービス!笑。

隣に居合わせた3人組のお父さんたちに話しかけてみると、かつて同じ職場の同僚だったとのこと。今日は久しぶりに、一緒に働いていた町に呑みに来たのだとか。「若いのにええ感じで呑み歩いとるな!」謎に褒めてもらって嬉しい気分。

酔っ払っていいんだ~という安心感を言い訳に、また進むビール笑。お腹いっぱいといいながらぺろりとお寿司もたいらげて、ここもテンポよく「よし、次の店いこ~!」。

とうとう本日の目標、7軒目!お腹がパンパンでそろそろ眠くなってきた私も呑兵衛魂を奮い立たせ、いざ!「さっきから気になったお店がある」と嗅覚を発揮するトミー。稲荷商店街を出たところにある「きんちゃんち」を目指します。


きんちゃんち

すると閉店して暖簾を下ろしていたひかりの娘さんにまたまた再会。「え、まだこのあたりでウロウロしてたんやねー!ほんまによう呑む人らやね、気持ちええわ~!」これは褒められているのかしら?笑。いやきっと褒めてくれているはず!

 

呑兵衛で讃えられることもないので、ありがたい気持ちと恥ずかしい気持ちで目標の7軒目焼き肉の「きんちゃん」に到着です。

崩壊気味の胃ですが、焼肉の匂いには負けちゃいますよね。はい、セットでお願いしますー!

一晩でお寿司も焼き肉も食べるなんて、背徳感満開。取材にも関わらず私はここで一眠り。ごめんなさい。(体力至らず……!!)

もう飛び飛びの記憶の中で、ビビンバだけはしっかり食べた記憶が、朧げに頭の中に残っています……。あ、そうそうこの美味しそうなビビンバ。

時計の針は22時に。舞子から淡路島に戻る最終バスは23時半。「7軒、やってやったなー。バスまでもうちょっと時間があるし、もう塗り替えられへん記録に挑戦しよ!8軒目や!」恐るべし、ハシゴ酒マスタートミー。


「締めはラーメンでしょ!前にも行ったんですけど、あんかけラーメンがおすすめです」ハーナちゃんに案内してもらって最終地点は台湾ラーメン「祭」に決定。もうラーメンが入る空きなんて、誰のお腹にも残っていないはずなのに……。足がお店へと向いてしまいます。

おすすめの台湾ラーメン「もう無理やで~」と言いながら一口食べると……。するするっと。ずるずるっと!あーめっちゃおいしい!

一口、もう一口と食べすすめるとおでこから汗が吹き出る辛さ。「ここで、ニューヤスダヤに行けなかったスパイス気分も回収されましたね」とかなえちゃん。シラフでここまでついてきてくれてありがとう……笑。

みんなでひとつのラーメンを分け合い、仕上げのビールを流し込み、これにて本日の呑み歩き終了。「やってやったな!」というトミーに「うん、やってやったな!」と夫婦で謎の達成感。

金庫番のハーナちゃんの封筒にも、もはや数百円しか残らず。16時から呑み始めて最後のお店を出たのは23時。7時間で8軒(正確には7軒だけど)を呑み歩き、声をかけてくれた人、話を聞いてくれた人は20人近く。

常連さんばっかりでなかなか難しかったりして?なんて心配はどこ吹く風。どの店も大将やお父さんお母さんが迎えてくれて、常連さんたちが“この町の17時からの楽しみ方”を教えてくれました。

下町の呑み歩き、また新しい遊びを発見してしまったなぁ。と見上げると朧月夜。これだから呑み歩きはやめられない。またこの町には来れる気がする、っていうかまたみなさんに会いに来よう。そんな予感を残して淡路島へと戻ったのでした。

ただただ楽しい企画にお誘いいただき、ありがとうございました!新記録達成バンザイ!笑。

 

 

 

※掲載内容は、取材当時の情報です。情報に誤りがございましたら、恐れ入りますが info@dor.or.jp までご連絡ください。

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