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下町くらし不動産 vol.24

地元に愛された喫茶店を
トリミングサロンに 

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リノベーションされた空き家や空き地に伺ってレポートする「下町くらし不動産」。
今回は、24年5月末に開業した「トリミングサロン コパン」へ。長年、地域で愛されてきた喫茶店物件に入居して、喫茶店らしさも残したままにトリミングサロンという異業種へと転換。その見事な建物の再活用ぶりを取材しました。

 

シックなトリミングサロンができるまで

オーナーの岡本薫さんは2011年に塩屋で「トリミングサロン コパン」を開業。口コミ中心の営業を続けてきたが、自身の子育ての環境なども考えた結果、移転を決意。新長田の現物件に出会った。
探していた条件は、店舗付き住宅であること。そして、トリミングサロンという業態の性質上、車での来店が多いため、路地ではなく車道に面していること。

岡本さん:仕事と子育てを両立できる場所というので、新長田界隈で考えていたところに、「新長田シタマチスタートアップ」プロジェクトの話を聞いて応募しました。ただ、どうしても路地中の物件とかが多くてあきらめていたら、この物件を紹介されて、絶対にここだ! って。私、コーヒーは飲めないけど、もともと純喫茶が大好きで。だから、もとの雰囲気はなるべく残したいんですと大工さんにも相談しながら改修を進めました。

「喫茶シスター」として長年営業を続けてきた物件。車でのアクセスにも応える角地の立地。

とても特徴的なレザーで覆われた天井照明とカウンター。店内での位置と長さは変わっているが、喫茶店から引き継いだもの。

シャンデリアもそのまま引き継いだ。いわゆるトリミングサロンのカラフルさではなく、シックで落ち着いたトーン。これも岡本さんの好みにうまく合ったという。

トリミングだけでない場の活用も

もともと、トリミングサロンに待合スペースを併設しているくらいのイメージだったが、ここで喫茶店「シスター」をおよそ50年営業してきた大家さんの柴田さんと会って話を重ねるうちに、待合というよりは喫茶スペース併設と呼ぶべき改修に自然となっていたという。

岡本さん:塩屋では自宅の庭に小屋を建ててやっていて、そのときに比べると十分な広さのある物件なので、トリミングサロンだけでなく、ときにはイベントなども開けるような場にしたかったんです。トリマーさんの勉強会だったり、保護犬・保護猫の譲渡会だったり。だから、サロンとの仕切りになってるガラス戸はすべて開けれれるような形で、ワンフロアの状態にもできるようにして。

中央のガラス戸をすべて右に寄せると大きなワンフロアに。

ケイティは6歳のミニチュアプードル。見事な看板犬ぶり!

バリカンを使わずになるべくハサミで仕上げることをモットーに営業。なので、得意な犬種はビションフリーゼ。「カットを楽しんでもらいたいし、その子のかわいらしさを出したいから」。

聞けば、岡本さんはも動物看護師として働いていた時代があり、老犬のトリミングも積極的に受け入れているという。だからこそ、コスト重視のトリミングではなく、動物の健康にも配慮したトリミングに注力している。

岡本さん:ここで譲渡会を開きたいというのもそうですけど、動物を飼うということへの意識がちょっとでも高まっていくような機会もつくっていけたらと思っています。そのためにも十分なくらいの場所がつくれましたから。


喫茶店の思いも引き継ぎながら

喫茶スペースはサロンの店休日にだけ開店するつもりで始めたが、オープン1週目から喫茶店難民になっていたご近所さんたちの要望を受けて、週2日の営業を決定。なんといっても、ご近所にかつては10軒以上あったという喫茶店、今はもう営業しているところがないのだという。

岡本さん:実際に開店してみたら、「ずっとここの喫茶店に通ってました」「どんな場所ができるのか楽しみにしてた」って話してくれる人もすごく多くて、そういう街の人たちの声も大事にしたいなって。

「コーヒーのこと教えたるわ」と言っていた柴田さんだが、店舗の引き継ぎを見届けるようにして亡くなった。だからこその思いもある。

岡本さん:そんな大それたことはできませんけど、うん、ちゃんとやらないといけないなって思ってます。

喫茶の棚は改修を担当した小畔雅史さんの設計。小上がりもある喫茶は子連れにも人気とか。

掲載日 : 2024.08.23

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