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子どものそばで大人が働くコワーキングスペース+シェアハウス

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    リノベーションされた空き家や空きビルに伺い、どのような場所に生まれ変わったのかをリポートする不動産コラム。第11弾は、2021年4月にオープンしたシェアハウス併設のコワーキングスペース「Sobani Omusubi(そばにおむすび)」です。地下鉄海岸線の駒ヶ林駅から、本町筋商店街を通って徒歩4分。株式会社マチアケ代表の玉井美里さんに明るく出迎えられ、場所が生まれた経緯や改修内容についてお話を伺いました。

    元助産院の記憶を継いで

    玉井さんの会社は、神戸市内で7軒のシェアハウスを運営しています。シェアハウス以外の用途では使いにくい特徴的な場所を物件サイトで探していたところ、長田区にある元助産院の空き物件を見つけました。玉井さん自身も出産を経験し、幼少期の子どもと過ごす時間の大切さが身に沁みたこともあり、子育てと創業の支援を兼ねたワーキングスペースをシェアハウスに併設することにしました。

    「私たち大人が働くかっこいい姿を子どもに見てもらいたくて、『子どもたちに魅せる、大人たちのWork Place』というコンセプトにしました。元は助産院で、その前は産婦人科だったこの場所で、親と子が仕事を理由に離れず、つながりを育んでもらえればと考えています。『Sobani Omusubi』は、利用者の“そば”に寄り添い、人々が“結ばれる”場にしたいという思いを込めてネーミング。共に働いたり、暮らしたりするなかで、人間関係や仕事のつながりが生まれることを願っています」


    「Sobani Omusubiの向かいにある果物屋のお母さんはここで出産した」といった50年にも渡る建物の歴史や思い出を地域の人から聞きながら、物件が持つ歴史的・文化的価値を感じたという玉井さん。地域の財産を失くさないよう、リノベーションが得意な工務店に依頼して元の間取りを活かしながら改修を進めました。

    「まちの一部になっている建物の魅力を消したくなくて。物件も文化だから、継いで価値を乗せていくことで地域の人も愛着を持って接してくれると思いました。ほかの方に住んでもらう場所ですし、建物と10年、20年付き合っていくつもりで工事業者にしっかり依頼して耐久性のある仕上がりに。安くなるからとDIYをして短期間での経年劣化を起こしてしまった経験もあるので、床や壁のはがし作業以外は基本的にお願いしました」


    建物の間取りとスペース

    6階建ての物件で、延べ床面積は計約500平方メートル。建物全体の改修に掛かった日数は5ヵ月ほど。スタートアップ(革新的なアイデアで市場を開拓し、短期間で成長する企業)の支援拠点の整備を促す神戸市・兵庫県の補助制度に認定され、建物改修費550万円の補助を受けて改修を行いました。1〜4階の間取りと内部のスペースを、改修前後の写真とともにいくつかご紹介します。

    【1・2階の間取り】
    1階に入ると、受付・フリースペース・キッズスペースがあり、子どもが遊ぶ姿を見守りながら仕事をすることができる。2階には個室オフィスや、モニター・イス・キャビネットが設置された個室ブースなど、さまざまなワークスペースが設けられている。


    【1階授乳室】
    フリースペースの一角を壁で区切って扉を付け、授乳室を設けた。子どもがぐずっても周りの目を気にせず、ゆっくり授乳・調乳できる。0歳の子どもを育てるお母さんがよく利用しているそう。

    【2階のオープンスペース】
    産婦人科の時は新生児室だった場所。左手の小窓は赤ちゃんを眺めるための窓だったと、ここで出産した近所の方に教えてもらったという。建物の歴史や役割を理解して、間取りはむやみに変えずに改修を進めた。

    【2階の個別ブース】
    セパレートされたスペースにはモニターとイスが付いており、月々の基本料金に2,200円プラスすると利用できる。また、完全に仕切られた個室のブースが同フロア内にあり、そちらは分娩室だった部屋を活用。自分の好みに合わせて仕事環境を選べるのも魅力的。

    【3・4階の間取り】
    3階には貸し会議室が1室ある。3階の一部と4、5階は、シェアハウス「International Sharehouse Marche」のスペース。3階にあるシェアハウスの玄関は、オフィス利用者が使う階段とは別の階段で1階からつながっていて、居住空間のプライバシーを大切にしている。4階には、住人の共有スペースとしてリビングやキッチンがある。

    【4階のシェアハウス・キッチン】
    シェアハウスの部屋は埋まっていて、現在の住人はアメリカ・中国・マレーシア・日本など多国籍。学生もいれば社会人もいる。清掃は管理側が行っていて、きれいにしておくことで住人側もきれいに保つように意識してくれるそう。

    【4階のシェアハウス・和室】
    描かれた絵は六甲山をイメージ。住人同士のコミュニケーションが育まれるリビングスペースで、見学に来た海外の人の反応が特にいい部屋。

     

    命が生まれた場所で

    毎日の子育てと仕事で忙しい家族を応援するために、Sobani Omusubiでは「ファミリープラン」を用意しており、同一世帯の家族であれば誰が使っても基本の使用料金を同じにしています。たとえば、お父さんとお母さんが交代で子どもを保育園に送り迎えしている場合は、送迎の前後で別々に利用することができるというもの。

    Sobani Omusubiのホームページでは、各スペースの詳細・使用料金などの情報が細かく紹介されています。内覧も可能ですので、ご興味のある方は訪問前にホームページよりお問い合わせください。かつては新しい命が生まれていた場所で、リノベーションやビジネスのアイデアが生まれるかもしれません。

     

    掲載日 : 2022.01.12

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