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11/14 下町芸術大学 島原万丈編「センシュアス・シティ(官能都市)という視点から 下町の魅力を見出す」

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    11月14日、9月に始まり約2か月に渡って開催されてきた下町芸術大学も、残すところあと1回となりました。今回、そんな第10回目の講演をしてくださったのは株式会社LIFULL/LIFULL HOME’S総研で所長を務める島原万丈さん。テーマは「センシュアス・シティ(官能都市)という視点から下町の魅力を見出す」というもので、都市の魅力を測る新しいものさしとして「官能都市」をキーワードに、今までにない革新的な都市設計を教えていただきました。場所は、半屋外で、ちらちらと人の通る丸五市場。自転車に乗ったおじちゃんや、にこにこ笑う子どもたち、ときには飲み屋からの陽気な声が聞こえてくる、下町ならではという温かさを感じられ、今回の講演にぴったりな場所でした。
    さて、皆さんは「官能都市」と聞いて、最初にどのようなものを想像したでしょうか。
    恋が始まる街?なんだかドキドキする?
    こんなふうに思った人もいるかもしれません。島原さんが熱い想いを持って提案する「官能都市」の魅力を、これから紹介していきます。

    レポート:辻本衣菜(神戸大学インターン)

    均質化していく都市

    現代の都市は、点在する低未利用地や老朽化した木造狭小建物を積極的に再開発し、良好な都市型住宅の供給や快適な歩行空間を設計しようとしています。これは、近代建築の巨匠であるル・コルビジェの影響を受けたもの。住宅が密集していないどこでも光が入る輝く都市、垂直田園都市のスケッチ、パリ万博で発表されたヴォアザン計画、そして車に優しい街、その象徴となる大きな道路に重点が置かれる都市が未来都市だとされました。しかしヨーロッパではこのヴォアザン計画は受け入れられず失敗に終わったのですが、日本だけが未だこの計画を実行しています。車のための街と退屈な歩行道路、都市型開発で郊外も同じ構造となり、各地に並ぶ商業施設、こうして街のアイデンティティが失われかけているのです。
    「ここはどこだ、どこにいるんだ?」
    「どこへ行っても一緒じゃないか!」
    島原さんのこの言葉に、今までいかに自分が何も考えず生きていたのかを思い知らされ、ただ便利で暮らしやすい街は良い街だという思い込みは覆されました。

    私たちは都市の魅力をどのように測ってきたか

    島原さんは講演の中で、とある不動産サイトによる住みたい町ランキングのアンケート結果を紹介してくれました。しかしその結果を見ると住みたい街とはいわば街の人気投票であり、知名度の勝負となり、住みたい街は住んでよかった街とは違うのです。
    デンマークの建築家ヤン・ゲールは、「街は人々が歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話すのに適した条件を備えなければならない。これらの基本的活動は人間の感覚器官や運動器官と密接に結びついている」という言葉を残しています。この言葉のように、人間が身体で経験し五感を通して都市を知覚し、街と人間の関係性と身体性を合わせることで「センシュアス・シティ」の指標が作られました。センシュアス度は関係性と身体性を軸に8指標に分け調査されます。関係性の指標には、『1)共同体に帰属している 2)匿名性がある 3)ロマンスがある 4)機会がある』の4つがあり、身体性の指標には、『5)食文化が豊か 6)街を感じられる 7)自然を感じられる 8)歩ける』が挙げられます。これらを合わせて8つの指標で街を見たとき、神戸市のセンシュアス度は134都市中46位という結果になりました。結果を見てみると都会性が思ったよりも低く、街を感じる、歩ける、という順位は比較的良かったようです。この8つの指標から成るセンシュアス・シティランキングは、“私が主語”であるというところが大きなポイントです。センシュアス度と幸福度には正の相関関係があることも立証されています。

    「神戸にはもっと官能が必要だ」

    五感を最大限に働かせ、自分の感覚を楽しませることこそが、官能的な都市の魅力を見出す上で必要不可欠なのです。
    “都市を感じてみる”ということに注目した生活を実践してみたいと思いました。

    掲載日 : 2019.01.09

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