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神戸の新しい魅力に出会うウェブマガジン

シタマチコウベ

下町日記

ゆるっとハーバーランド編 by 池田浩基

vol.07

2018.07.13

第5弾は大輪田泊として繁栄した平清盛所縁の町「相生町」を舞台に飲み歩き。最寄駅の「ハーバーランド駅」は神戸ポートタワーや大型ショッピングモールで有名なベイエリア。一本路地を入れば下町の雰囲気に。隣駅「中央卸売市場」から仕入れた食材を堪能できるお店がたくさんあります。下町らしい人情味あふれるお店を巡る今夜のはしご酒人は、写真家の池田浩基。 のんべえたちの成り行き任せな一夜の旅をお楽しみください。

文:池田浩基 写真:岩本順平

 

夕方、17時
ピコーン!メッセンジャーがなる。

 

誰かが 大切な誰かと 落ち合う時刻
僕はあろうことか
今日、取材であることを忘れていて
取材前に なんと

 

馬鹿面でがっつりと
ラーメンとチャーハンを平らげていた。
携帯に目をやると
今日の下町飲み歩き取材、よろしくお願いします!

 

僕らしいスタートとなった。
なんともドラマチックな立ち上がり。

 

気を引き締め
神戸歴34年にして初めて降りた駅
地下鉄ハーバーランド駅から
徒歩5分。
みなさんご存知のハーバーランドと
下町 新開地の間にある
僕の中で未開拓地。

 

降りた瞬間に肌になじむ空気感。
相生町。

 

集合場所の店に行くと
スタート地点として予定してくれていた店に張り紙が。今日はお休み致します。

 

集合早々
えっ今日どうするー??
キター!一番好きなパターン!イレギュラー万歳!いつかしたいな漫才!。。。。
知らない場所を楽しむのに計画はいらない!
あくまで僕のスタンスは
いつでも「無計画」
起こった出来事に
流れるように
身を任す。
顔を上げれば
知らないうちに どっぷり浸かっている。
プロデューサーはたった一言
では、あなたの嗅覚について行きます。
今日は好きにしてください。
丸投げ最高!
身を任せダイブ!
いつもフラつくのりで
フラフラ〜 なんとなくこっちかなー。そのまんま 嗅覚を頼りに
歩き始める僕
くんくん、、こっちやな。。
疑うことなく付いてくるスタッフ。

 

今日も楽しい夜になりそうだ。。
根拠なくスキップで歩き始める僕。

僕の道選びは 至ってシンプル。
感覚で、できるだけ人が
通った数が少ないであろう空気感の
道を選ぶ。
言い方を変えると
超地元の人しか通らないであろう
道を選択して歩く。
たどり着くのは
地元の人しか 顔を出さない 飲み屋。
その町のリアルな情報源であり
町の本質を知ることができる選択。
よそ行きに作られた 顔に興味はなし。

 

さあ!すっぴんを見せてくれ相生町〜!

一寸亭

その感覚を頼りに たどり着いた
完全な住宅街にポツンと構える
1つのお店。というか自宅に看板がある感じ。
一寸亭という暖簾。
うん、ここや!

 

知らない人が突然入るとびっくりするやろな。
チース!勢いよくドアを開けると
好きだ。と行ってしまいそうな空気感。
これこれ。
若い子きたからびっくりした〜!と店のお母ちゃん。
時刻は5時半。
もうほぼ出来上がっているであろう
きっと毎日来てるであろう
おじさんたちが盛り上がっている。
店のお母さんの顔を見れば分かる。愛情。

おっちゃんが絡んでくる。
おっちゃんベロベロやな〜!
アホゥ〜まだ今飲み始めたばっかや!
嘘つけー!
下町のおきまりの儀式を終えた後

 

旬の魚の塩焼き(近くの海で取れたもの)、山芋短冊を頼み乾杯!
僕たちと店のかあちゃんと、おっちゃん達と
ああだこうだ喋りながら
笑い声が交差する。
偏見だがこういう店のチャンネルは
だいたい、相撲か野球。
今日は相撲のBGM。

お通しの大根葉としらすの炒め物を一口食べて
声を揃えて「うまい!」
普段食べへんとこ、美味しくするの好きやねん。と一言。
その精神大好きです!
お通しがうまい店は何食ってもうまい。
僕の雑な哲学と
空気感が相乗し
豆腐ハンバーグ、いかの刺身(近くの海で取れたもの)と特製餃子を追加注文!
まだ1軒目やで。。と言いつつあっさり完食。
このお母ちゃんの子供は こんな美味い飯を食って大きくなったんか〜と
想像を膨らましていたら
息子が近くで店やってんねん!特にごぼうの唐揚げめちゃ美味いから行ったって!
とお母ちゃん。
美味い飯を食って育った人の飯はうまい!また僕の雑な哲学?と場の流れで
縁の糸をつたって 息子さんの店へ。

 

うん 好きな流れです。

チャーす!と飛び込み
しっかり忘れずごぼう唐揚げと牛すじ煮込みを頼み
様子を見る。
う、うまーい!
料理の好きなところは
同じ食材でも人によって全く化けるところ。
ごぼうってこんなうまかったっけ??
食材と作り手の人生のコラボ。
そして
あんかけ台湾ラーメン、特製カレーを
憎めない満面の笑みで進めらる。

うーん。
僕の胃の中でチャーハンとラーメンが
あぐらを組んで言ってる。
もうこれ以上入らんって!!

 

黙れ!
店主のおすすめも食べずに
この店を語れるか!!これも仕事だ!

 

いや、はっきり言おう。
俺は食いたいんだ!

 

絶対にうまいであろう
あんかけ台湾ラーメン、特製カレーを!!
明日からダイエットするから!!
いや、明日死ぬかもしれないんだから!

 

何とか胃袋と無理やり話しをつけて
笑顔でオーダー。

うまい。どれもこれも。
美味い飯を出されると
ぐんぐん酒が進む。

 

やはり気さくな息子さん店主と
コントを炸裂させお店を後に。
いっぱい笑ったが内容は覚えていない。
美味しいご飯とお酒と笑い。
当たり前のように話に突っ込み合う
ノリのいい常連客。
下町だね〜。
しかしもう限界。
多分、ワイングラス1杯分も入る余地はないんだろう。
ここが限界か。。諦めかけていたその時。
もう1軒いきましょかー!
すまん!俺が先に根をあげてどうする!2軒で飲み歩きなどと言えるものか!!

 

よし。。まだ。。進もう!!

 

僕以外のメンバーも
胃袋が限界を迎え
エアロスミスが聴こえてきそうな
地球を救いに行くかのような
満身創痍、険しい形相で
お腹を抱え
中華料理屋の前で佇む。

満州亭

よし、、いくぞ!
ガラガラー
いらっしゃいませー!
すいません。餃子1つ。。
あと、ビール。。
あっ 以上、、で。。。

努力ではどうにもならないことがある。
そう教えられた気がした
34歳。梅雨入り間近。

 

7月に生まれてくる息子にも
いつか教えてあげよう。

 

いっぱい食べたら いっぱいお腹が出るということを。

 

餃子はうまかった気がする。。

 

そうだ。夏までに3キロ痩せよう。

 

そう硬く 誓った夜だった。

 

ところどころ失った記憶を探しに
また会いにゆきます。
相生町。
出会いと笑いをありがとう。
ずっとそのままで在って欲しい。
いつも。いつまでも。

 

 

 

※掲載内容は、取材当時の情報です。情報に誤りがございましたら、恐れ入りますが info@dor.or.jp までご連絡ください。

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