下町くらし不動産

町のコミュニティとつながる暮らしの相談窓口/本町まちづくり工房

2019年5月8日


町のコミュニティとつながる暮らしの相談窓口/本町まちづくり工房

新長田の町を南北にはしる本町筋商店街の一角に、「本町ものつくり工房」の看板が掛かったガラス張りの建具に白を基調した内装が可愛らしいお店があります。ここは元々、新長田にある老舗ガラス屋の職人が工房兼ギャラリーとして営んでいましたが、2016年に六間道で多世代型介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」を運営する首藤義敬さんが引き継ぎ、「本町まちづくり工房」としてオープンしました。そして2018年、長田区・兵庫区南部を対象にした神戸市の助成「アーティスト・クリエイター等の活動拠点支援事業」を受け、クリエイターやアーティストだけでない、町の人の暮らしの相談窓口として生まれ変わろうとしています。

- 「本町ものつくり工房」の看板がかかっていますが、ここは元々どういった場所だったのですか?
首藤さん:
ここは元々、長田区二葉町にある老舗ガラス屋の3代目であるガラス職人の古舘嘉一さんが、地域でものづくりをされている方々の工房兼ギャラリーとして運営していました。築90年以上の歴史を持つ古民家を改装してオープンしたそうで、この町の職人によるものづくりワークショップや展覧会なども行われていて、いわばクリエイターの活動拠点であり、クリエイターと町の人を繋げるハブのような場所でした。僕がここを引き継いだのが、介護付き高齢者住宅「はっぴーの家ろっけん」を建設中の2016年。僕ははっぴーの家を建てるときに、「6階建ての施設ができるとしたらそこで何をしたいですか」っていうのを町の人に問いかけるワークショップをしたんですよ。ただ高齢者住宅を建てるのではなく、町にこの施設ができて良かったな、関わりたいなって思ってもらえるようなものを作りたいと思って。そういう思いに古舘さんは賛同してくれて、ぜひこの場所も使って欲しいとお声がけしてくれたんです。ここの近くには地域密着型のスーパーがあるからいろんな人が日常的に前を通るし、地域の人との関わりが生まれやすい場所だろうなと思って借りることにしました。

 

- ここではどのような活動をしているのですか?
首藤さん:
2階ははっぴーの家ろっけんで働く看護師や介護士、ケアマネージャー(介護支援専門員)の事業所が入っていて、1階はイベントやコワーキング利用などができるオープンスペースにしています。使いたいという声があったら貸す感じで。はっぴーの家では福祉事業のプロフェッショナルたちが働いているから、週に1回はここで医療や介護の相談窓口もしています。
昨年、神戸市の助成制度「アーティスト・クリエイター等の活動拠点支援事業」を受けて、カフェができるようにキッチンを整備しました。

- なぜカフェを始めようと思ったのですか?
首藤さん:
僕は別にカフェがやりたいわけではなくて、カフェができるというのがここで起こることの可能性を広げる一つのきっかけだと思っています。人が仲良くなるきっかけとして一緒にご飯を食べたりお茶を飲むっていう、その時間と空間を共有することはすごく大事だなと思っていて。例えばホットコーヒーを一杯頼んだら、少なくとも10分はその場にいて、コミュニケーションが生まれる。
この間もはっぴーの家で働くキッチンスタッフがお菓子づくりが得意だということで1DAYカフェを企画したり、子どもたちがコーヒー屋さんをやったりしました。今度ははっぴーの家に暮らすおじいちゃんおばあちゃんにも一緒にカフェをしてもらおうと思っています。そんな風にキッチンができたことで、いろんな人が挑戦できる場になったし、普段出会わない人たちとの接点が生まれるきっかけになっています。水回りを整備するのは時間もお金もかかることで、もし全部が自費だったらすごく時間がかかってたと思うけど、ちょうどいいタイミングで助成事業に出会えて、この場所を活用していく後押しになったなって感謝しています。

 

- 今後の展開を教えてください。
首藤さん:
僕がここでやりたいと思ってるのは、この町の暮らしにまつわる相談所。医療や介護の相談だけじゃなくて、子どもの暮らしでいうと、習い事を紹介したり、ここを寺子屋として使ったり。今度はっぴーの家に暮らすカナダ人のドッグが英会話教室をするんですよ。この町の魅力として、外国人がすごくたくさん住んでいる。だけどなかなか日常的な接点は生まれにくい状態で。だからこの場所で英会話教室をしてもらうとか、母国料理でカフェをしてもらうとか、こちらから仕掛けることで外国人と町の人が関わるきっかけになればと思っています。それに最近、この町にアーティストやクリエイターの移住がすごく増えているので、彼らにとっても何かできる場所であってほしい。クリエイターたちは家にこもって作業をすることが多くて、なかなか町のコミュニティに入るきっかけが生まれにくいと思うから、本町ものづくり工房の用途もそのまま残して、コワーキングスペースやアトリエとして使ってもらったり、ワークショップをしてもらったりして、地域の人との関係性を作っていってほしい良いなと思っています。
8月にはここに不動産の事務所もおく予定です。ただ物件を紹介するだけじゃなくて、移住や住替えの相談にものって、暮らしを作っていくサポートもする不動産。僕たちがコンセプトとして言ってるのは、“引っ越し初日から友達がいる、コミュニティがある暮らしをつなげます”ってこと。だからこの場所は、訪れた人が町のコミュニティに繋がれる場所にしたいと思っています。暮らしにまつわることならジャンルを問わない世代を超えた町の相談窓口になっていくと面白いですね。そのためにできることからちょっとずつ仕掛けていきます。

 

本町まちつくり工房

本町筋商店街に構えるジャンル・世代を問わない町の相談窓口。医療や介護の相談から、移住・住替え相談、習い事・ワークショップ相談、まちのお困り事相談、コワーキング、その他スマホの使い方から相続のお困り事まで、なんでもご相談いただけます。
住所:神戸市長田区二葉町3-1-11

首藤義敬さん

株式会社Happy代表取締役。
遠くのシンセキより近くのタニンをモットーに、多世代型介護付きシェアハウスはっぴーの家、移住専門不動産・高齢者福祉の相談窓口等をミックスしたアトリエなど、ちょっと新しい不動産事業、ちょっと新しい福祉事業などなど、暮らしの中にあるアタリマエをリノベーションする会社代表。

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