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10/11 下町芸術大学 尾野寛明編「地方で事業を起こしていくことの喜びと事業」

2018年12月11日


下町芸術大学第6回目が、10月11日に新長田の「はっぴーの家ろっけん」にて開催されました。テーマは「地方で事業を起こしていくことの喜びと苦悩」。有限会社エコカレッジ代表取締役の尾野寛明さんは、島根県の書店跡地でネット通販古書店を運営しながら、就労継続支援A型事業所を展開し、高齢化で担い手不足に悩む過疎地のあらゆる地域資源を障がい者の仕事にする試みを行なっています。現在は東京と島根を1週間おきに行き来する「二地域居住」 を実践しながら、都市部と農村をつなぐネットワークの仲介者として、地域づくりに貢献しています。今回は自身の経験を踏まえながら地方での事業についてお話しいただきました。

レポート:荒井凛(神戸大学インターン)

過疎地域で事業をはじめた経緯

尾野さんは一橋大学の研究室に所属していましたが、同僚や上司との方向性の違いから研究室を出ることに。その後、大学の教科書リサイクル販売事業をゲリラ的にはじめたそうです。その仕事から専門書がよく売れることに気づき、場所をインターネットに移し、古書店を開業します。そして2006年に本社を島根に移し、過疎地域ならではの魅力である地代の安さから、古書店には欠かせない広い倉庫を安価に手に入れることができたそうです。また、障害者の方の就労支援を行う就労支援A型事業所として、古書店を運営しており、島根県と岡山県の二箇所で事務所を経営し、過疎に悩む地域で障害者雇用を生み出しながら、事業を展開されています。
こうした経歴を経て、現在尾野さんは”風の人”と呼ばれるようになりました。ひとつの土地に留まることなく、地域で必要とされる事業を展開していく様を表した言葉だそう。その仕事ぶりを聞いていると、尾野さんのフットワークのあまりの軽さに驚きを隠せませんでした。

地域の複雑な課題を解決する 「A×B」の発想

尾野さんにとって、地域で複雑化する課題解決において大切なことは「自分自身の興味あることと地域づくりとをつなげること」だそうです。そのためには一見関係なさそうな組み合わせを考えることも必要で、それは“アート×福祉”や、“医療×観光”、はたまた“若者×地域”など様々でした。そういった各地の事例をいくつか紹介していただきました。その中でも印象的だったのが“教育×福祉”の組み合わせ。岡山県岡山市の後楽館高校という公立高校にて行われる取り組みです。“地域に開かれた学校”をモットーとする後楽館高校では月1回の割合で「地域住民との話し合いの場」を設け、生徒たちと地域住民の対話の場として勉強会を開いていました。しかしそこに来るのはいつも同じメンバーで、地域と学校のつながりを深めるには人数も多様性も足りない状況でした。そこに目を付けたのが後楽館高校のとある教員。「工夫すれば良い世代間交流の場となるのではないか」と思い、勉強会を開く代わりに食堂を一般開放したのです。その名も「らっかんランチ食堂」。年齢に制限は無く、子どもも大人も集まって高校生と共に昼食をとる形式です。幅広い世代の方々がお昼を食べに訪れるので、地域についての多岐にわたる情報交換が可能となったそう。本当の意味での世代間交流を実現させた例と言えます。

質疑応答

来場いただいた方々と質疑応答をおこないました。

来場者 : お話では地域で男性と仕事の話をすることが多いようですが、実際に地域で権力を持っているのは男性なのですか?
尾野 : そういった男女の差はあまりありません。しかし会長などは男性が務めている場合が多いので、ある意味では男性社会の地域もあります。
来場者 : 仕事はどうやって取ってくるのですか?依頼や宣伝など、どういったことをしていますか?
尾野 : 基本的に何でもします。宣伝もしますし、その宣伝を見て依頼が来ることもあります。またこちらから営業をかけて仕事を取ることも多いです。ただ実際に仕事として成立するのは3件に1件というところが現状でしょうか。

まとめ

「地域プロデューサーとして働きたいと思うなら、まずは”代打”の仕事をすることだ」と言う尾野さん。仕事をする側がキャンセルした仕事は大体が期日の迫っているものが多く、誰もやりたがらないそう。
また、地域での町づくりは掛け持ちで何かをしようとする若者の力が必要だと強く言います。起業家ならではの視点から、私たちにできることや事業について大切なことを教えてくださいました。

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主催

新長田アートコモンズ実行委員会、DANCEBOX

企画協力

千十一編集室

助成

平成30年度文化庁劇場音楽堂等活性化事業(db)、兵庫県県政150年記念事業、
神戸市「協働と参画」推進助成、大阪コミュニティ財団